総合広告代理店グループではなく、独立系や中小のWEB(インターネット)広告代理店への転職を考える際、「どこも同じに見えて志望動機が作れない!」と感じることはないでしょうか。
業態によっては志望動機が作りづらいという問題は、なにも広告代理店だけではありません。銀行や証券会社、SIerなどカラーを出しづらい業態の会社には共通して起こりうる悩みです。
しかし、しっかり見ていくと、WEB広告代理店にもそれぞれの特徴があり、それを理解することで自分に合った会社を見極め、より説得力のある志望動機を作成することができます。
この記事では、WEB広告代理店を見極めるポイントと、志望動機を作成するためのノウハウについて解説します。
WEB広告代理店を見極める3つの切り口
広告代理店を見極める切り口は主に3つあります。3つの切り口で順番にチェックすることで、かなり詳しくその会社の特徴を掴むことができます。
3つの切り口でだんだんと理解を深めていくので、少し面倒でもしっかりとその広告代理店の見極めをしましょう。会社の特徴さえ掴めれば、志望動機は格段と作りやすくなります。
Step1:企業タイプで見分ける
WEB(インターネット)広告代理店と一口に言っても、多様な形態があります。
まずは業界全体の中で、自分が関心を持っているWEB広告代理店がどのような形態にあるのかを把握しましょう。大きく分けると、以下の3つの種類があります。
総合広告代理店グループ系
総合広告代理店グループは、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌などのマスメディアからWEB広告まで、幅広い媒体を扱う広告代理店です
電通や博報堂やADKなどの大手がこのタイプに該当し、規模も大きく多岐にわたるサービスを提供しています。WEB広告代理店としても活動していますが、グループ全体でマス広告も手掛けているので、連携したプロモーションを行う機会もあるでしょう。
いわゆる統合型のマーケティングに触れるチャンスがあり、大手のクライアントを相手に仕事もしやすい環境なので、魅力的な職場となるでしょう。
ハウスエージェンシー系
ハウスエージェンシーは特定の親会社の広告業務を専属的に担当する広告代理店です。
たとえば、明治アドエージェンシーはわかりやすいでしょう。名前の通り、お菓子の明治(Meiji)の子会社で明治のお菓子や企業ブランドのプロモーションのお手伝いを主に行っています。
ハウスエージェンシーだと、自社のグループ商品を取り扱うので、商品やサービスを深く理解し、長期的な広告戦略を立てやすいのが特徴です。また、親会社は名のあるブランド企業であることが多いので、大手志向の方には合った職場になるでしょう。
独立系
独立系のWeb広告代理店は、どこの企業グループにも属さず自分たちで独立独歩で会社を運営しています。最も数が多いタイプとなります。
総合広告代理店グループでもないため、マス領域は強くありません。リスティング広告やSNS広告、SEOといったデジタル施策を中心に提供しています。
また、ハウスエージェンシーではないので、クライアントは親会社の広告を企画・運用するという縛りもありません。近年、スマートフォンの普及やインターネット利用の増加により需要が増しており、新しいマーケティング手法を学びたい方にとって適しています。
Step2:得意な広告の種類で見分ける
次に、各代理店が得意とする広告の種類で見分けてみましょう。
WEB広告にもいくつかのジャンルがあり、代理店ごとに強みが異なります。WEB広告代理店と一口に言っても、得意な広告手法が違うとその会社の特徴も大きく分かれます。
リスティング(検索連動型)広告
リスティング広告は、検索エンジン上で表示される広告で、検索キーワードに連動したターゲティングが特徴です。基本的には、Google広告とYahoo広告の2つになります。
リスティング広告に強い代理店では、検索エンジンの仕組みやキーワード戦略に詳しいスタッフが多く、徹底したデータ分析を行っていることが多いです。数値分析や運用効率を重視する方には、リスティング広告に強い会社が向いているでしょう。
アドネットワーク広告
アドネットワーク広告は、名前の通り「Ad + network」で広告をネットワークさせた仕組みを持つ会社です。
複数のWebサイトやアプリに広告を配信できる広告ネットワークサービスの仕組みを作り、広告主に提供しています。広告主は、1つの広告ネットワークを通じて、多数のサイトに広告を掲載できるため、広いリーチが期待できます。
アドネットワーク広告は広告のプラットフォームとなるため、高い技術力やノウハウが必要です。そのため、独自のアドネットワーク広告の仕組みを持つ代理店は、競争力の高い広告代理店と言えるでしょう。
SNS / 動画広告
SNS広告を得意とする代理店は、FacebookやInstagram、Twitter、TikTokなど、SNSプラットフォーム上での広告運用を行います。ターゲット層が若年層であったり、ビジュアルに強い広告が必要な場合に適しています。
時に芸能人やインフルエンサーを起用し、クリエイティブな視点が求められ、トレンドに敏感であることが求められます。
SEO / コンテンツライティング
SEO(検索エンジン最適化)を得意とする代理店は、検索エンジンを意識したサイトの検索順位を上げる施策を行います。ひとことで言えば、Google検索で上位表示をさせるためのノウハウを持ち、コンサルティングを行っています。
コンテンツ制作や、技術的な改善を通じて、検索エンジンからの集客を目指します。HPやメディア、ブログの運営や、コンテンツマーケティングに関心がある方に適しています。
アフィリエイト
アフィリエイト広告は、成果報酬型の広告手法です。アフィリエイトは商品やサービスの紹介記事などを通じて、実際の成約や販売に繋がった場合にのみ広告費が発生します。
バリューコマースやファンコミュニケーションズが有名です。Web広告代理店の中でも、アフィリエイトはアフィリエイトと、独自の立ち位置を形成しています。
Step3:強みで見分ける
次に、以下のような強みごとにさらに区分けしてみましょう。丁寧に特徴を見ていくことでその会社のカラーが分かり、志望動機と繋げやすくなります。
コンサルティングに強い
コンサルティング力を前面に押している代理店は、クライアントの課題を詳細に分析し、戦略から具体的な施策までを提案することに重きを置いています。
単なる広告運用に留まらず、事業成長に向けた長期的なビジョンを持つため、課題解決力や分析力を活かしたい方に向いています。広告のノウハウを身に着けたいというだけでなく、自分自身の成長もしていきたいという人にはうってつけの会社と言えます。
広告運用に強い
広告運用が強い会社は、広告認定資格の記載があるかで判断が付きます。主に、Google広告とYahoo広告の認定パートナーのランクをググるとよいでしょう。
Google広告の場合は、Google Partners プログラムと呼ばれるもので、Member、Partner、Premier Partner という3つの参加レベルがあります。Premierクラスの企業は全体の3%にしか過ぎません。
Yahoo広告の場合、Yahoo!マーケティングソリューション パートナープログラムと呼ばれ、最上位は「7つ星」となります。7つ星の会社は2024年11月現在は、サイバーエージェント社だけとなっています。
数字やデータ分析に強い
数字やデータ分析に強い会社は、自社でマーケティング / CRMツールを開発しているケースが多いです。自前で広告の分析や管理ツールを有しています。
顧客の広告運用支援を通じてデータを収集し、そのデータ結果をシステムに蓄積し、分析します。分析結果を顧客に還元することで、より高い広告効果を出すために循環を行っています。
選考を受けようとしている会社が自社でマーケティング / CRMツールを開発している場合は、データ分析に強みを持っていると認識していいでしょう。
大規模なプロモーションに強い
力を持っている広告代理店は、大規模なプロモーションを手掛けていることが多いです。インターネット広告だけにとどまらず、マス広告との連携、交通広告の貸し切り、SNSやリアルプロモーションとの融合もしています。
大規模プロモーションの実績があるかどうかは、その会社のHPやニュースから実績を丹念に見ていくほかありません。なぜなら、広告予算を開示していることは通常あまりないからです。
取引企業に大手企業の名前があったとしても、もしかしたらその会社のLP(ランディングページ)しか作ったことがない、というようなこともあるかもしれません。時間はかかりますが、その会社のプロモーション事例を拾っていくのが最善となります。
特定の業界に強い
広告代理店によってはアパレルに強い、ECに強い、医療に強い、など特定の業界ごとに強みを発揮する会社があります。
特定の業界に強い代理店だと、その業界に精通した深い知識を得ることができるので、自分の中で武器が確立しやすいでしょう。その会社のWEB制作や広告運用だけでなく、WEB周り全般のコンサルティングを請け負っている会社もあります。
もし、広告代理店へ未経験で入ろうと思っている方は、自分が経験している業界に近い代理店があれば、そこを受けてみるのはかなりおすすめです。
クリエイティブ制作に強い
広告運用だけでなく、バナー広告、動画広告、ランディングページの制作、SNSコンテンツのデザインなど、効果的なクリエイティブ制作ができる代理店は差別化されています。
デザイン、コピーライティング、コンテンツ戦略が高いクオリティで提供できる代理店は、より高い訴求力を発揮します。人の心に刺さり、人を動かすクリエイティブ設計をしていきたい人は、デザイン力が高い代理店がピッタリでしょう。
DX / IT支援に強い
広告の企画や運用にとどまらず、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の支援も行うことで、企業全体のマーケティングや営業プロセスの改善をサポートする代理店もあります。
また、IT化の支援が得意な代理店もあります。例えば、プロモーションを通じて顧客の獲得を行い、そこから予約システムや顧客管理のシステムなどをセットで開発していくなどのイメージです。
このようなDX / IT支援に強い広告代理店の場合は、自身の能力においても広告や宣伝以外領域にも伸ばすことができます。
事業の多角化に強い
広告代理店の中でも、広告代理業以外のビジネスを展開している企業は多くあります。選考を受ける会社のサービス内容は必ず目を通しましょう。
例えば、SEOコンサルティングに強いナイル社は「おトクにマイカー 定額カルモくん」というマイカーリースのサービスを展開しています。他には、渋谷に上場しているジェイフロンティア社は、ウェルネス領域のビジネスをしていますが、もとは広告代理店です。
その会社のサービス内容をしっかり見ることで、広告代理店を軸にビジネスを展開したいのか、多角化も考えているかある程度方向性を考えることができるでしょう。
会社の特徴から志望動機を考えよう
ここまで紹介したようなポイントで代理店を見分けることで、自分がどの会社にマッチするのかが明確になります。
志望動機がなかなか作れない場合は、自己分析が足りないか、企業の分析が足りないかのどちらかに当てはまります。今回の記事は企業分析を深めるためのノウハウですが、ぜひ企業理解を深めて志望動機を作り上げてほしいと思います。
自分自身の能力も高めたいと思っている人はコンサルティングに強い広告代理店の相性は良いですし、顧客と深い領域で対話したい人は業界特化型の広告代理店の相性は良いでしょう。きっと、納得する志望動機が作れるはずです。
広告代理店は特徴を掴むのは難しいので、諦めずに頑張りましょう。最後に、下記の記事が参考になるかもしれないのでよければ気になる人はチェックしてください (^_^)/~