履歴書・職務経歴書

社内SE |職務経歴書の作り方とフォーマット。IT+組織を動かす力=社内SE

社内SE/情報システムの職務経歴書の作り方

社内SEは人気の職種だ。ITの力を使い、社内の内側から組織を動かすことができる。しかしながら、採用ハードルは高い。

ITの知見があるだけでは足らず、組織を動かせる / 支える力も求めれる。つまり、「IT + 組織を動かす力」を職務経歴書でアピールしなければならない。このアピールポイントに気付けているかで書類選考やその後の通過率はガラリと変わる。

もこネコ
もこネコ

もこも社内SEするニャ。あたたかいサーバールームでお昼寝してくるニャ。

もこちゃん、サーバーの監視(お昼寝)してくれるのね。何かアラートがでたら教えてね。

美人事
美人事

お昼寝しながら社内SEが務まるのかは疑問だが、インフラの監視をしてくれるらしいので任せてみよう。

これから、魅力あふれる社内SEの職務経歴書の書き方を解説していく。また、そのフォーマットも用意してあるのでぜひ活用してほしい。

社内SEの生態を知ろう

社内SEの職務経歴書の作成を進める前に、まずは、社内SEがどういう仕事をしているか確認しておこう。社内SEの生態を頭に入れることで、職務経歴書での魅力的なアピールポイントが浮かび上がってくる。

観点1:ひとり情シス or 大企業社内SE

社内SEの仕事内容は企業の規模によって大きく2分される。中小・ベンチャー企業で働く社内SEと大企業で働く社内SEだ。

ひとり情シス」という言葉があるように、中小・ベンチャー企業で働く社内SEはひとりでほぼすべてのIT領域を見ることになる。一方で、大企業の場合は社内SEの仕事は分業されている。社員数や事業規模も大きいため影響範囲が広く、奥深い。受ける会社の規模感によってアピールすべきポイントを変えるのが良いだろう。

「ひとり情シス」の場合は、経験領域の広さや柔軟性、小回りの良さや組織への愛着などがアピールポイントとして適しているだろう。

「大企業社内SE」の場合は、大規模なプロジェクトマネジメントスキルや確実性の高い仕事の進め方などが、魅力的に映るのではないだろうか。

実態として、「ひとり情シス」が求めれる会社はどれくらいの規模感なのだろうか。結論、300名程度までの会社が中小・ベンチャーの「ひとり情報シス」サイズで、300名より大きい会社が分業化した社内SEの組織を持つサイズと考えている。

理由は、全国情シス実態調査2023の「情報システム部門の平均人数(従業員規模別)」によると、社員数300名くらいの会社は社内SEが3名程度という数値が見て取れるからだ。3名以下だと職務範囲は広いはずだ。一人のマネージャーを中心に「ひとり情シス」が2名いる感じではないだろうか。

観点2:主な職務内容

次に、社内SEがどのような仕事をしているのか確認しよう。職務内容は多岐に渡るため、自分の強みや経験領域がどこでフィットするか確認してほしい。

1.システム企画導入、保守運用

社内SEの基本的な業務として、ITシステムの企画・導入・保守運用が挙げられる。組織のDX化を進めるため、新システムの導入や既存システムの改善に関する計画を立て、導入後の運用・保守も担当する。システム障害が発生した場合の対応や、日々のメンテナンスも重要な役割である。

大企業の場合は、SAPを入れている企業も多いだろう。SAPの知識や経験がある人は、大企業社内SEへのチケットを持っていると言っても過言ではない。中小・ベンチャー企業の場合は、Filemakerのように古くから使われているシステムやノーコード開発のツールを使っている所もあるだろう。

2.社内インフラの管理 / キッティング

社内ネットワークや電話システムなどのインフラ管理も社内SEの重要な職務の一つである。特に、ネットワークの安定稼働やトラブルシューティングは企業全体の業務効率に直結するため、適切な管理が求められる。また、リモートワーク環境の整備や社内外のコミュニケーションツールの導入・管理も重要な業務となる。

中小・ベンチャー企業の場合は、社内インフラはワンフロア分だけの管理かもしれない。しかし、大企業の場合はそうはいかない。他拠点管理が前提となる。PCやモバイルキッティングだけでも数千台、下手したら万に近い管理が必要となる。ちょっとした更新だけでも、一大プロジェクトとなる。

3.ヘルプデスク・ユーザーサポート

日々のITサポート業務として、社員からの技術的な問い合わせやトラブル対応を行うヘルプデスク業務も含まれる。社内のIT環境に精通していることが前提であり、迅速な対応とユーザーに分かりやすい説明が求められる。特に、ITリテラシーが低い社員に対しては、丁寧かつ的確なサポートが必要である。

4.セキュリティ管理・BCP

社内SEはセキュリティ管理も求められる。Active Directoryを使ったID管理といった地味な所から、企業のセキュリティポリシーの策定・運用や、外部攻撃への対策、内部不正の防止など、多岐にわたるセキュリティ管理を担当する。

災害時や緊急事態に備えたBCP(事業継続計画)の策定や、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の導入・運用も求められるだろう。

5.IT資産管理

社内で使用されるハードウェアやソフトウェアの管理も、社内SEの責任範囲である。資産の導入から廃棄までを一貫して管理し、適切なライセンス管理や更新手続き、予算の最適化を行う。また、資産の定期的な棚卸しやリース契約の管理など、資産に関するあらゆる業務を担う。

中小・ベンチャーの場合は、せいぜい端末も100台程度でまだ目に行き届く資産が多いだろう。しかしながら、企業規模が大きくなるにつれて事業部ごとで独自のソフトウェアを契約をしていたり、端末を用意ししていたりと、管理が難しくなってくるだろう。IT資産管理は地味だが、バランスシートへも記載が必要な重要な仕事なのだ。

6.内部統制・IT監査

大企業や上場企業の場合は、内部統制やIT監査の職務も入ってくる。社内SEは、企業内のITガバナンスを強化し、法令遵守やコンプライアンスの確保に寄与する。また、外部監査への対応や、業務プロセスの改善提案なども、社内SEが担当する場合がある。

たとえば、内部統制(IT統制)だけでも、中期IT化計画や、組織図の作成、社員の教育や研修計画、ソフトウェアの管理台帳の用意など多岐に渡る項目の用意をしなければならない。中小・ベンチャー企業の社内SEでは行わない、大企業の社内SEゆえの代表的な仕事内容と言えるだろう。

観点3:求めるスキルと人物像

1.IT知識と技術力

社内SEには、幅広いIT知識と実務的な技術力が求められる。システムの設計・構築から運用・保守まで、一貫して担当できる知見が必要であり、新しい技術やトレンドにも常にアンテナを張っていることが重要である。

特に中小・ベンチャー企業を受ける場合は、「ひとり情シス」になる可能性が高いため、手が動くことは魅力的なポイントとなる。大企業と異なり、予算も限られるため、手を動かすシーンは多いだろう。職務経歴書で技術に対する想いはきっと通じるはずだ。

大企業を受ける場合であっても、ベンダーの言いなりにならないためにも、組織のDX化を効率よく進めるためにも、最新のIT知識と技術へは精通しておくことが好ましい。

2.チームワークとコミュニケーション能力

社内SEは、他の部署や経営陣とのコミュニケーションを円滑に行うためのスキルが不可欠である。もしかしたら、社内SEで一番大事なスキルはコミュニケーションスキルかもしれない

システムの改修や新ツールの導入ひとつとっても、協力がなければ進まない。ベンダーとも友好的な協力関係を築ける力が必要だ。ITに関する専門用語をわかりやすく説明し、組織やプロジェクトを進めて行かなければならない。

エンジニアが社内SEを受ける際、職務経歴書で技術力だけアピールしてしまうケースがある。それだと、社内SEの求める人物像には足らないのだ。チームワークやコミュニケーション能力もぜひアピールしておこう。

3.プロジェクト管理能力やマネジメントスキル

ITプロジェクトの推進には、プロジェクト管理スキルが欠かせない。社内SEは、限られたリソースや予算内で効率的にプロジェクトを進行させ、成果を上げるためのマネジメント能力が求められる。

基幹システムから、SFA、人事や勤怠システム、どのような領域のマネジメントが必要となるかわからない。何千名も使うシステムのプロジェクト管理かもしれない。また、ひとつのプロジェクトだけでなく同時で複数のプロジェクト管理が求められるだろう。

そのため、PLやPMなどでマネジメント経験がある場合は全面的にアピールしていこう。社内SEで必要な大事な要素を抑えることができるはずだ。

4.ベンダーコントロール

外部のITベンダーとの交渉や契約管理も、社内SEの役割の一つである。自分たちがシステムを作る側ではなく、ベンダーを通じて作って貰う立場に変わる。

信頼できるベンダーを選定し、適切なコスト管理とサービスの品質確保を行うことが求められる。RFPを作成することもあるかもしれないし、要求定義を一緒にまとめることもあるだろう。自社の業務プロセスを理解し、最上流からプロジェクトを進めるためベンダーコントロールをしなけれればならない。

マネジメント能力、プロジェクト管理能力、協力関係を構築できる能力、これら3つの能力がバランスよく必要となる。

5.課題解決と業務改善への意欲(主体性と責任感)

社内SEには、日々の業務の中で発生する課題を自主的に解決し、業務改善を推進する主体性と責任感が求められる。自ら課題を発見し、改善策を提案・実行する姿勢が重要であり、企業の成長に貢献できる人材が求められる。

顕在化する問題にばかり対応していると、企業の成長は止まってしまう。中小・ベンチャー企業の場合は、企業の成長フェーズに従い先回りした対策を打たなければならない。上場する場合は、それに耐えうる内部統制の仕組みを整える必要がある。

社内SEの仕事は家事と似ているかもしれない。家事は見えない家事がたくさんある。社内SEも見えなくて評価がされづらいタスクが山ほどある。率先して見えない組織の負(課題)を探し、向き合えるお節介型のタイプの方が合う。

職務経歴書から課題解決や業務改善に対する熱意を感じ取れれば、きっと人事や面接官に伝わるはずだ。

職務経歴書の参考例

記入用フォーマットのダウンロード

※開発SE→社内SEの記入用フォーマット
※Word形式

開発SE→社内SEのフォーマットはこちら


※インフラSE→社内SEの記入用フォーマット
※Word形式

インフラ→社内SEのフォーマットはこちら

職務経歴書の書き方のポイント5点

Point1.職務要約

職務要約とは分かりやすく言うと、自己紹介。できるだけ簡潔に、かつ、自分の職務や経歴全体をうまく説明できるように書くといい。

字数の目安は「200~300文字」くらいに留めるのが良いと転職ギルドでは考えている。人が1分で話す文字は「300文字」と言われているからだ。職務要約は長くなり過ぎると冗長なイメージを与えてしまうので、書き過ぎに注意しよう。

Point2.活かせるスキル・経験・知識

ここの項目は、自分を俯瞰して「箇条書き」にする。コツは、「自分の経験が最大公約数になるイメージ」になるように書き出すこと。

社内SEの場合は下記5つの求めるスキルや人物像を中心に、書くとよいだろう。技術だけに偏り過ぎず、「IT + 組織を動かす力」の力をアピールできる内容でまとめていこう。

1.IT知識と技術力
2.チームワークとコミュニケーション能力
3.プロジェクト管理能力やマネジメントスキル
4.ベンダーコントロールの経験
5.課題解決と業務改善の経験

Point3.プロジェクト概要

ここの項目は、これまで担当してきたプロジェクトにおいて、いかに全体を俯瞰して仕事をしてきたかをアピールしたい。どのような業界のどういうシステムで、どのような機能の開発を行ってきたのか。新規なのか、リプレイスなのか、改修なのか。書ける場合は、そのプロジェクトの課題まで書けると最善だ。

社内SEの場合は、課題を上流から取り組み解決へと導いていく。プログラミングだけ行ってきました、テストだけ行ってきました、という職務経歴書ではアピールが足りない。

もちろん、PLやPMでなければプロジェクト全体を把握は難しい。大規模な銀行、保険システムの開発で2次請けや3次請けの場合はプロジェクトのごく一部しかわからないだろう。しかし、作業者として仕事をしている人と、少しでもプロジェクトの全容を知ろうとしている人とでは、社内SEの適性はまるで異なる。分かっている範囲でしっかりと書き切ろう。

Point4.実績・取り組みについて

ここの項目では、あなたがどのようなアプローチで実績を出してきたのか必ずアピールしてほしい

社内SEになるとプロジェクトを完遂する責任が付いて回る。ただシステムをローンチすればいいわけではない。新しいシステムを導入し組織がどれだけ効率的に動けるようになったのか、before afterまで成果を求めらえる。

エンジニアはなかなか実績が見えづらい職種だとは思う。社内SEとして適性がある人は、自分が関わったプロジェクトで自身がどのような痕跡を残したのか、どのような実績を残し、改善が起きたのか成果にこだわりを持っている。

大きな成果や改善を残していなくてもいい。大事なのは、きちんと成果を意識して仕事をしてきたというアピールなのだ。

Point5.自己PRは求める経験から逆算

社内SEの職務経歴書では、自己PRはとても大事だ。なにしろ、SEではなく「社内SE」としての適性をアピールできる大事な場所だからだ。

理想的な社内SEは、「ITの知見・技術力があり、積極的に組織課題を探し、周囲と協力しながら課題解決にまい進してくれる人。」というイメージが近いだろう。この理想像から逆算してアピールできる内容を盛り込んでほしい。

尚、当記事内の参考例で記載した、3つの自己PRの狙いを下記にまとめてみた。よければ参考にしてほしい。

  • 「開発定例MTGでのファシリテートの経験」の狙い
    会議のファシリテートは主体性と責任感がなければその役割を担えない。そのため、ファシリテートの経験を記載することで、主体性や責任感があるとアピールした。また、副次的に社内で経営陣や役職者、現場と上手くコミュニケーションが取れるというアピールにも繋がると思い記載をした。
  • 「プロジェクトを進行させるマネジメント力」の狙い
    社内SEは絶えず、複数のプロジェクトの並行管理が求められる。開発スキルだけでなく、プロジェクト管理能力もアピールすることで社内SEとしての適性をアピールした。
  • 「自発的なシステム化でユーザーから感謝をいただいた原体験」の狙い
    社内SEは顕在化している問題だけでなく、見えない課題や困りごとを率先して拾っていく「献身的 / お節介」なマインドが求められる。そのため、自発的に動いて感謝を貰ったエピソードを書くことで社内SEの適性をアピールした。

以上で、「社内SE |職務経歴書の作り方とフォーマット。IT+組織を動かす力=社内SE」の内容は終わりとなる。ITの知見や技術力だけをアピールするのではなく、組織を動かす力についてもアピールして職務経歴書の作成を進めてほしい。

もし、作成で困ったことがあれば、下部の問い合わせより連絡してみてほしい。できる範囲でアドバイスをさせてもらいたいと思う。

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