書類選考/カジュアル面談を行う
さて、転職成功ガイド(前編)でStep1~4まで見てきた。次は本番の書類選考~選考/面接ステップへ進んでいこう。自分だけの履歴書・職務経歴書が手元にあり、受けたい企業が見つかっていれば、自信を持って選考に進むことができるはずだ。
転職活動の9つのステップ
Step1:転職すべきか自問する
Step2:情報収集をする(求人サイトやエージェントに登録)
Step3:履歴書・職務経歴書を作成する
Step4:転職したい会社を探す
Step5:書類選考/カジュアル面談を行う ←中編はここから。
Step6:企業研究や面接準備を行う
Step7:選考/面接を行う
Step8:内定/条件交渉等を行う
Step9:退職交渉~入社
書類選考の重要性
書類選考は転職プロセスの最初の関門。履歴書や職務経歴書を提出して、応募企業に対する第一印象をアピールしていこう。履歴書・職務経歴書は自身の経験やスキルを明確に伝えるだけでなく、その企業にどのように貢献できるかを具体的に示す必要がある。特に、企業が求めるスキルセットや価値観と一致する点を強調するとよい。
書類選考なら任せてくれ。毎回、100社近くエントリーしているからな。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって言うし。
鉄砲が下手すぎる場合はどしたらいいニャ?
おいおい、二人とも。書類選考はやみくもに出しちゃだめだぞ。
応募企業ごとに志望動機を書いたり、PR内容を変更までする必要はない。ただし、もし事業会社と代理店を一緒に受けているような場合などは、PR内容などは注意しておいてほしい。事業会社と代理店は求める人物像など大きく異なるから、片方では合致するが片方では合致しないようなケースがあるからだ。
書類選考通過数を上げるコツ
書類選考通過数を上げるコツ、これは間違いなく求人票に書いてある必須要件と歓迎要件をしっかり読み込むことだ。そして、求める経験を満たした求人に丹念に応募していくことだ。
よく〇〇に関する業務経験1年以上、マネジメント経験3年以上といった記載があると思う。その他、学歴であったり、業務知識であったり。職種や業界によって記載は様々ある。これを丹念に見ていくに限る。
必須要件は応募の土台になる条件。これをクリアしていれば書類選考が通過する可能性は出てくる。歓迎要件は、即戦力級の人材に求める経験なので、これを満たしていれば余程でなければ書類選考は通過するだろう。
書類選考通過率が低い時 - その①
応募職種が不一致の可能性
自身の経験職種と応募職種が合っているか、求人職種の確認をしよう。例えば、デザイナーなのにWebディレクターで応募している、広告担当なのにSEO中心のマーケティングで応募しているなどだ。
エンジニアでも社内SEと開発SEではまるで要件は違う。違いを理解したうえでチャレンジは問題ないが、自分の通過率などを見て通過しないなと思った時は、経験に合わせた職種へ応募するように調整をかけていこう。
書類選考通過率が低い時- その②
年収(スキル)アンマッチの可能性
応募している求人の年収と自分のそれを照らし合わせてみよう。年収差が大きい場合は注意が必要だ。
例えば、自分が新卒2~3年目で年収400万円台、そして、年収が600万~800万円の求人に応募していたとしよう。この場合は、書類選考通過率は下がる可能性が高い。おそらく、このクラスの求人票は即戦力求人かマネジメント経験を必須にしていると思われるためだ。
あなたが優秀な人材であったとしても、適材適所な募集に応募しなければやはり通過は難しい。イケメンアイドルがお笑い芸人のオーディションに応募してもうまく行きづらいであろう。それと同じ理屈だ。
書類選考応募数の目安
結論から言うと、転職ギルドでは、20代なら20社、30代なら23社、40代なら27社の応募をおすすめしている。この数値は内定を2社取るために必要な書類選考数だ。できれば、複数内定を取ってそこから選べるようになってほしいと思ってるので、少し多めの応募数になっている。
詳細は、おすすめの応募数目安に書いているからそちらを参照してほしい。
中には、書類選考応募数が上記よりも少ない数で内定を取っている人もいるだろう。もちろん、書類選考数は少ないにこしたことはない。ただ、あまりに少ない書類選考数で内定が出せそうな時は、少しだけ注意してほしい。
なぜなら、もっと上の会社や求人に手が届く可能性があるからだ。書類選考通過率が80~100%みたいに高い時は、もう一段上のチャレンジをしてみるのもありかもしれない。受験で例えるなら、ワンランク上の高校や大学を目指せるかもしれないということだ。
企業研究と面接準備を行う
企業研究は、応募先の企業について深く理解するための重要なステップ。企業のウェブサイトやニュース記事、業界レポートを通じて、企業のビジョン、ミッション、文化、最近の動向を把握することが重要。
また、企業が直面している課題や競合他社の動向も調査し、自分がその企業でどのように貢献できるかを明確にすることも大事。具体的に「Company(自社)、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)」の3つの頭文字を取ったものとなる。こちらに関しては、企業分析(3C分析)に詳細な情報を書いてあるので参照してほしい。具体的な企業の例を添えて解説してある。
恋愛の場合、相手を口説きたければ、相手の趣味や好きなものを調べようとするだろう。そして、そこからデートプランを考えるだろう。面接でも同じことが言える。調べれば調べるほど選考で聞きたい内容が見えてくるだろう。仕事の解像度も上がり、働くシーンも見えてくるだろう。
企業研究は手を抜きやすいポイントではある。働きながら転職活動をする場合には、なかなか企業研究をする時間もないだろう。ただし、面接通過率に大きな影響を与えてくるので、手を抜かずに企業研究をして貰えたらと思う。
面接準備の方法
面接準備では、一般的な質問に対する回答を準備することに加え、自分の強みや経験を具体的な事例で説明できるようにすることが求められる。また、応募企業に関連する特定の質問やケーススタディにも備えるべきである。
想定質問を考え模擬面接を行うのがベストだ。友人や家族にフィードバックを求めることで、自信を持って本番に臨むことができる。しかしながら、そんな簡単になかなか知人や友人、家族で一緒に模擬面接をしてくれる人はいないだろう。
ほかの猫さんと出会ったことないニャ。獣医のイケメン先生が唯一のお友達ニャ。
よしよし問題ない。僕が面接の練習に相手になるよ。
そういう時は、やはり転職エージェントが頼りになる。すべての転職エージェントが面接対策や準備の手伝いをしてくれるわけではないが、求職者に寄り添い型のエージェントは細かく対応をしてくれるところもある。
実際、転職ギルドマスター(私)が所属していたエージェントもかなり細かく対応をしていた。求職者さんごとに選考で聞かれるであろう想定質問シートを作った。その人の経歴・経験から浮かび上がる質問を書き並べ、それに対して想定の回答を一緒に考えていった。
面接の質問は突拍子もない質問はまず来ないと思っていい。準備次第である程度対応が効く。面接対策シートについてはまた別のページで詳細に解説していこう。
選考で見られているポイント
次に、実際の面接の中ではどういうポイントが見られているか確認しておこう。面接官は何を知ろうとして質問をしてきているのかイメージできるだけで、だいぶ緊張も解けるのではないだろうか。
職務経験とスキル:
・過去の職務経験が募集している職種にどれだけマッチしているか
・専門的なスキルや知識がどの程度あるか
・具体的なプロジェクトや職務の詳細
職務実績:
・これまでどういう実績を上げてきたか
・実績を出すためにどういう工夫をしてきたか
・実績の出し方に再現性はありそうか
コミュニケーション能力:
・チームメンバーやクライアントと円滑なコミュニケーションを取れるか
・聞き手としてのスキルや意見を分かりやすく伝える能力
問題解決能力:
・業務課題に対してどのように対処するか
・分析力や論理的思考力、実行・推進力はどうか
転職軸とキャリアゴール:
・これまでどういう軸で就業してきたか
・長期的なキャリアプランや目標が会社のビジョンと一致しているか
選考/面接を行う
面接には、一次面接、二次面接、最終面接など、複数の段階がある。それぞれの面接で求められる内容や評価ポイントが異なるため、対策が必要である。
一次面接では主に基本的なスキルや経験が評価されるが、最終面接では企業のカルチャーフィットやリーダーシップ能力が重視される。各段階での準備を怠らず、全力で臨むことが重要である。
ただ、普段から転職を生業としていない限りは、選考フェーズに合わせて対策を練るのも難しいだろう。そこである程度簡単に対応できるポイントを伝えておきたい。
面接官に合わせた面接対策
面接対策のアドバイスは、ずばり、「面接の相手が誰かを知る」ことだ。これは地味だけど、非常に有効的だ。選考官によって見極めをしてくるポイントがある程度絞られるからだ。面接の想定形式も3類型に絞られてくるのでありがたい。
①面接官が人事の場合
面接官が人事の場合は基本的にはあまり突っ込んだ技術や現場の話はしてこない可能性がある。人事が現場上がりの場合はまた話は別だが、一般的な人事の場合は、職務内容の確認はそこそこにコミュニケーション能力や人柄などの定性面を見てくる可能性が高い。
そして、人事面接は比較的一次選考のケースが多い。人事がある程度総合的な見極めをして、面接でスクリーニングをかけていると思ってくれればいい。人事が面接官の場合はバランスよく行うがの良いだろう。技術や職務の細かい話ばかりにならないように。志望度のアピールやマインド・コミュニケーション能力などの定性面のアピールなどバランスよくだ。
②面接官が現場の場合
面接官が現場’(事業部)の人の場合は、技術や職務経験の確認が中心になると思っていいだろう。現場ならではの目利き・見極め(選考)をしてくるわけだ。
そのため、エンジニアなら技術力やプロジェクトの詳細、営業なら営業実績のことなど、しっかり話せるように準備しておこう。これまでの仕事内容やその実績の棚卸が欠かせないわけだ。
③面接官が経営陣の場合
オーソドックスなケースではあるが、面接官が経営陣(代表取締役や役員、事業部長など)の場合は志望意欲やカルチャーフィットなどを見てくるケースが多いだろう。
面接の順番的には、現場+人事が通過してくれた人を経営陣が見ることが多い。現場からは技術や職務能力についてOKが出て、人事から人柄やコミュニケーション能力などのOKが出ている。現場と人事がOKと言ってるのであれば、経営陣は志望意欲やカルチャーフィットなどを最後に確認しよう、というわけだ。
稀に、超少数のベンチャーや中小企業の場合、いきなり一次面接で代表が出てくる場合がある。その後に二次面接や最終面接で現場が面接をする流れだ。
このケースは、企業が少数がゆえに、真っ先に代表が求職者の見極めをしてくるパターンと言える。いきなり代表取締役の選考で、実質最終選考からスタートみたいなものなので緊張する。ただし、最初に関門が来てそれを突破すればその後の通過率は高いと思われるので、前向きに選考に臨んでみてほしい。
カジュアル面談
ここ数年の選考で、特にインターネット系の企業の選考では、カジュアル面談を設けている企業が増えてきた。企業から直接スカウトを送ってくるダイレクトリクルーティングと呼ばれる採用では、カジュアル面談スタートが過半ではないだろうか。
カジュアル面談は、応募者と企業の双方が相互理解を深めるための場である。形式ばらない雰囲気の中で、自分のキャリアビジョンや志望動機を企業に伝えることができる。
企業側も、応募者の人柄やコミュニケーション能力を直接確認できるため、選考過程において重要なステップとなる。カジュアル面談を有効に活用することで、双方事前にミスマッチを防ぐ材料を得て、正式な面接に向けて準備を整えることができる。
もこはいつでもフォーマルなのだ。ラグドールという血統のネコなのだニャ。
おいおい、カジュアル面談だからと言って甘く見るなよ。カジュアルという名の「面接」をするかもしれんぞ。
相変わらず、鬼面接官が怖いことを言っている。でも、今回ばかりは鬼面接官はファインプレーをしてくれた。
カジュアル面談は名目上は「面談」という名前の通り、選考要素は無いと言われている。しかしながら、「選考要素のないカジュアル面談などない」と思ってくれた方が良い。
そもそもなぜ企業はカジュアル面談をしてるのだろうか。そして、なぜ急激にここまで浸透しているのだろうか。その理由のひとつは、今は売り手市場で求職者よりも求人の方が多く、優秀な人材を集めることに四苦八苦しているのが要因のひとつと考えられる。
売り手市場では、取り合いなので企業は優秀な人材に自社へ応募して貰うのはとても大変。求職者は色々な企業やエージェントからスカウトを貰っている。それゆえ、「いきなり書類選考からの面接」と言うよりも、「カジュアル面談スタート」と言って、ハードルを下げて求職者に応募喚起くるわけだ。
とは言いつつも、内定を出せる求職者の数に変化はない。カジュアル面談でできるだけ間口(求職者からの応募)は広く取りつつも、一定のふるいにかけてくるわけだ。
ここで伝えたい大切なことは、カジュアル面談スタートだったとしもて、気を抜き過ぎないでほしいということ。だからと言って、固くなりすぎる必要もない。本来のカジュアル面談の狙いが果たせなくなるので、気を抜き過ぎずで臨んで貰えればと思う。
リファレンスチェック
リファレンスチェックという言葉を聞いたことはあるだろうか。自分で経験がなくとも、同僚の転職で協力してあげたという人はいるかもしれない。
中途採用におけるリファレンスチェックとは、求職者の過去の職務経験や人柄、スキルについて確認するために行うもの。求職者が以前働いていた会社の上司や同僚、取引先などに連絡を取り、情報を収集するプロセスのこと。
リファレンスチェックを通すことで、履歴書や面接での情報が正確であるかどうかを確認し、本当に採用した後に活躍してくれそうか最終確認を行うステップになる。とある調査によれば日系企業の20%近くがリファレンスチェックを導入していると回答しているそうだ。
転職ギルドマスターの経験から見ても、概ね20%の企業が導入しているというのも感覚的にはあり得るかなといった印象だ。リファレンスチェックの導入企業はインターネット系企業が多い。ジュニアやタレント層(いわゆる若手)には実施せず、ミドルやハイクラスの求職者だけに実施を絞る企業もある。
安心してほしいのだが、勝手にリファレンスチェックされることはなく、事前に同意を求められる。外資系のリファレンスチェックは詳しくないが、日系企業が導入しているリファレンスチェックの場合は、企業が質問してくれる相手を求職者が指定できるケースが過半だ。
尚、回答者に困った場合でも、前職、前々職の上司や同僚、取引先等、ある程度範囲を広げて貰えることもある。
リファレンスチェックで見ているポイント
スキルや職務経歴/内容の確認:
求職者が提供した職務経歴が正確かどうかを確認する。候補者が実際にどのような業務を行っていたか、そのパフォーマンスやスキルレベルを選考内で聞いた内容と一致しているか確認を行う。
人間関係やコミュニケーションスキル:
候補者が同僚や上司、部下とどのように関わっていたか、人間関係の構築やコミュニケーション能力について情報を確認する。実は現在の会社や前職で問題行動を起こしていなかったか、協調性に問題はないかなどの確認を行う。
マネジメント層の場合は、マネジメント実態などについても質問があるだろう。例えば、マネジメントの人数などだ。なので、選考の際にはつい見栄を張りたくなるが、実際の人数を言うに限る。
仕事への姿勢や勤務態度:
候補者の仕事に対する姿勢、モチベーション、姿勢についても確認される。それこそ、遅刻や欠勤などの基礎的な所から、アンケート回答者が知る範囲でのあなたの転職理由などについても聞かれることがある。
リファレンスチェックで落ちるケースはあるか?
もちろん、可能性はあるというのが回答となる。面接の中で聞いた内容とリファレンスチェックで得られた回答が著しく整合性が取れない場合、企業側としては見送ってくるだろう。
ただし、転職ギルドマスターの経験上では、実際にリファレンスチェックで見送れたケースはほとんど見たことがない。誇張せず、偽らずに履歴書・職務経歴書を作成し、真摯に面接を臨んでいる分には何の心配もしなくていいだろう。まじめに仕事をして、適切な人間関係を保っておけば何も怖くないのだ。
尚、もし現職の人間関係が一時的に不安な状態だったとしても安心してほしい。前述の通りリファレンスチェックの回答者はこちらから指定できるケースが多い。普段からまじめに仕事をしていれば何も心配になることはない。
転職成功ガイド2024(中編)では主に、応募したい会社探しや書類選考・企業研究や面接の流れ・ポイントなどを見てきた。最後は、後編を見ていこう。後編では内定以降の流れと注意点を解説しているぞ。
転職ギルドでは実践的で体系化された転職ノウハウを徹底解説していくぞ。続きもぜひ見ていってくれると幸いだ。