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当記事では、IPO(上場)を予定している企業の魅力をリサーチし、転職やキャリアに役立ててもらうための情報を発信します。
企業にとって上場はゴールではなく通過点です。この先、更に成長して有名な企業へ変貌するかもしれません。そんな金の卵をちょっとでも早くに知ってもらうために企業を調査し、解説していきます
株式会社アスアの会社紹介
株式会社アスアは、1994年に設立され愛知県名古屋市を拠点に、物流コンサルティングや通信ネットワークソリューションを提供する企業です。
社名には「ひとりひとりの輝きが明日(アス)の未来を開(ア)ける」という意味が込められています。物流業界の課題解決を目指し、幅広いサービスを展開しており、約30年かけてついに上場まで漕ぎつけています。
会社概要と業績
企業名:株式会社アスア
本社:愛知県 名古屋市 中村区
資本金:資本金4,000万円(IPO前)
社員数:約137名(臨時雇用者含む)
上場区分:東証グロース(予定)
事業内容:物流・通信・IoTの総合コンサルティング事業
上場予定日:2024年9月26日(木)
参考資料:同社有価証券報告書
■決算情報(単体)
会計年度 | 売上高 | 昨年との比較 | 営業利益 | 昨年との比較 |
---|---|---|---|---|
2019年06月期 | 1,098百万円 | --- | 135百万円 | --- |
2020年06月期 | 1,094百万円 | -0.3% | -10百万円 | --- |
2021年06月期 | 1,143百万円 | +4.4% | 61百万円 | --- |
2022年06月期 | 1,227百万円 | +7.3% | 108百万円 | +77.0% |
2023年06月期 | 1,238百万円 | +0.9% | 114百万円 | +5.5% |
事業内容
アスアは主に3つの事業領域を持ちます。下図を時系列になっているのですが、創業期から新しい事業を着々と積み上げてきているのがわかります。
創業期の1995年に通信ネットワークソリューション事業を開始、2002年に物流業界向けのコンサルティング事業、2014年からCRMイノベーション事業を開始しています。各事業について少し細かく見てみましょう。
コンサルティング事業
物流事業者が内製化しにくい安全活動を短時間で実現するノウハウを築き上げ、安全活動を継続的に最適化するコンサルティングサービス「TRYESプログラム」を展開しています。
アスアにアウトソースすることで、物流企業の管理者が行わなければならない業務を削減することができます。TRYESプログラムは、「TRYESサポート」と「TRYESレポート」の2つのサービスで構成されています。
a. TRYESサポート「対面型コンサルティングサービス」
物流事業者の継続した安全活動を提供するサービスです。コンサルタントが物流事業者の現場に訪問し、燃費データ、交通事故データを活用し、効率的な安全活動支援をアウトソースにて実施します。
b. TRYESレポート「安全活動支援の定額クラウドサービス」
物流事業者に特化した「安全活動支援の定額サービス」です。充実した教育コンテンツと管理者の負担を減らす機能で、継続した安全活動やドライバー教育を実現します。法令に沿った「法定12項目」の教育資料の提供などを行っています。
CRMイノベーション事業
顧客管理システム(CRM)はアスアの注目すべき事業の1つです。
コンサルティング事業で行っている安全活動のデータベースを応用し、エコドライブの支援を行っています。車両の走行データや運転行動データを収集・解析し、エンドユーザーの安全に対する行動変容を促します。
自動車メーカーが展開するコネクティッドカーから得られた膨大な走行データから運転特性を分析し、独自のメッセージング技術で安全運転やエコドライブ習慣の定着に役立つメッセージを生成するシステムを開発し、運用しています。
通信ネットワークソリューション事業
創業当初からの事業として一般企業を対象としたビジネスフォン・複合機・サーバー・ネットワーク機器などの企業向け通信・OA機器の販売・工事・保守・コスト削減などのコンサルティングを実施し、東海地区を中心に3,000社の顧客を抱えています。
事務所拡張、レイアウト変更、移転、出店などのスポット的な対応から、総合的な保守サービスまで、法人を対象にした最適なネットワーク環境の構築を継続的に支援しています。
アスアの7つの魅力
1.何といっても愛知の上場企業!
2024年09月現在、日本には3,834社の上場企業があります。そのうち、愛知県の上場企業は219社。おそらく、219社のうち、多くの企業はトヨタグループを筆頭とする自動車に関わる製造メーカーになるでしょう。
製造業が強い愛知、東海エリアの中でアスアは独立系で非自動車関連企業として上場を予定しています。
愛知県で転職先を探す場合、非製造業系の企業を探すのは結構大変です。愛知で就業を考えている人にとって、大事な一社になっていくといいですね。
2.物流・運送業界の社会課題解決企業
かねてより、物流・運送業界では「2024年問題」が問題視されています。働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課され、ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限され、ドライバー不足が懸念されているのです。
2030年には輸送力の供給不足により「全国で約35%の荷物が運べなくなる」と言われており、運輸効率向上が急務とされています。また、労働時間の上限を決めたことで、ドライバーの年収が減ってしまう懸念も出ており、下記のような影響が出ると言われています。
・物流などのコスト上昇
・運送企業の利益減少
・働き手の収入減少・人手不足の深刻化
このように業界が改革が迫られている中で、物流業界の安全面から改善のコンサルティングができる同社は、時代のニーズに沿った事業を行っていると言えます。
3.今後の全国展開に期待
アスアは主力サービスである、TRYESサポートを大手物流事業者を中心に営業エリアを全国に展開する方針です。
東海という製造や物流の競争が激しいエリアでシェアを広げてきたサービスであるため、今後の拡販は期待してよいのではないでしょうか。しかも、IPOで知名度や信用力が上がるため、相乗効果でシェアを獲っていけるものと思われます。
<現在のターゲット>
中部:7,322社
<将来的なターゲット>
東海を除く全国物流事業者数:55,805社
北海道:3,584社
東北:4,845社
北陸:2,938社
近畿:10,408社
中国:4,374社
四国:2,381社
九州:6,457社
4.30年かけてIPOへたどり着いた粘り強さ
アスアは、1994年に設立され、創業期の1995年に通信ネットワークソリューション事業を開始。2002年に物流業界向けのコンサルティング事業、2014年からCRMイノベーション事業を開始しています。
1994年から数えて約30年をかけて上場まで来ています。
通信ネットワークソリューション事業で基盤を作りながら、時代を先取りする形で物流業界のコンサルティングを開始しています。そして、Saasモデルのストック型ビジネスを展開し、コネクテッドカーのデータを活用したCRMシステムまで作り上げています。
時代の最先端のサービスも作りつつ、堅実性も兼ね備えており、一見すると地味ですがかなり将来性のある会社と言えるのではないでしょうか。
5.事業ドメインとバランスの良さ
アスアの特徴として事業ドメインとバランスの良さが挙げられます。
事業ドメインは、ビジネスのニーズが高く続きそうな物流業界をターゲットとしています。その上で、物流企業向けの対面コンサルティングやSaas型の定額クラウドサービスを運営しています。リアルとオンライン双方で顧客と接しているのです。
また、創業期から通信ネットワークソリューション事業を行っているのも、地味ですが同社の基盤を強く支えています。通信ネットワーク領域は、いわゆるインフラ領域のため、不景気の時期でも安定した売上を期待できます。
下記が実際の事業部別の決算内訳となります。
・コンサルティング事業 :663百万円
・CRMイノベーション事業 :243百万円
・通信ネットワークソリューション事業:331百万円
各事業でバランスよく売り上げを立てており、ガッチリした事業構造を持っていると言えるでしょう。
6.最先端技術を活用
アスアは物流業界向けのコンサルティングに強い会社ですが、事業の中身を見ていくと、実はインターネット系企業ではないか?というくらい、新しい技術を活用したビジネスを展開しています。
CRMイノベーション事業では、コネクテッドカー(インターネット機能が繋がった車)のデータを活用したエコドライブ支援をしています。車両の走行データや運転行動データを収集・解析し、運転者に還元しています。
データを色々取りためている企業は多いですが、実際に活用してマネタイズができている会社はまだまだ少ないでしょう。この先、運転に関する領域のデータ活用で、先進的な役割を果たしていく可能性があります。
7.ストック型のビジネスモデル
アスアでは、経営上の目標達成状況を判断する下記の指標を追いかけています。
・売上高営業利益率
・TRYESサポート年間実施件数
・TRYESレポート契約社数
・TRYESレポート登録人数
利用者から解約の申し出がない限り継続的に毎月売上が計上されるストック型ビジネスを行っているため、いかにまた顧客満足度を向上させることで解約率の低減を図れるかが経営の肝となっています。
アスアの事業モデルは、Saas系のサブスクリプションモデルと同じであるため、顧客満足と売り上げを同じベクトルで追える強みを持っているのです。
アスアの不安要素
不安要素を挙げるとすれば、競合企業が多く競争が激しいことでしょう。
実際、上場申請の有価証券報告書においても、競合企業に関する言及があります。この先、ビジネスを全国展開をしていく中で、シェアを獲りつつ、強固な競争力を有するサービスに磨き上げていく必要があるでしょう。
当社の事業においては、いずれのソリューションにおいても、競合企業が複数存在しており、一定の競争環境があるものと認識しております。当社においては、他社にない商品機能や品質、またスピーディーな機能追加やクラウド化対応、導入しやすい価格設定などにより競合他社との差別化を図り優位性を有していると考えております。しかしながら、特出した機能的優位性をもった新商品の販売や極端に安価な価格設定により競争が激化した場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
有価証券報告書より
採用状況
公式採用ページはこちらです。
2024年9月現在の公式HP上で確認できる募集は下記3職種でした。各職種ごとに平均残業時間の記載があり丁寧な印象を受けます。全社平均〇〇時間というようなごまかした書き方ではないのが良いですね。
・コンサルタント/営業
・通信・IT機器の提案営業
・社内SE
※全社的に残業は10h程度のようで、会社全体で残業をしない風土らしいですよ。落ち着いて働けそうな環境そうです。
なぜ、IPO(上場)企業を取り上げるの?
順番が前後しましたが、なぜIPO(上場)企業を取り上げているのか、少しだけ前提について触れておこうと思います。
安定と成長を追えるから
まず、IPO(上場)をすると投資家から多額の出資をしてもらうので、企業は財務面で安定性が出ます。そして、調達した資本を使って積極的に事業にお金をかけられるので成長が期待できます。
上場直後というのは、調達したお金が最も残っている状態でもありますし、知名度が一気に高まります。そして、企業の安定度は飛躍的にアップしつつも、これから更に調達をした資金を使って成長しようというタイミングでもあるのです。
社員として働く側からすれば、IPOをするタイミングで入社できれば、財務面的にも安定だし、成長性も追うことができるので、二兎追うことができるタイミングとなるのです。
決算や財務情報が公開され透明性が増すから
IPO(株式公開)をすると決算情報や財務情報の開示義務が生まれます。
非上場時代は決算を公開していない企業も多く存在します。どれだけ優秀な企業であっても、決算や財務情報がない段階では、その会社の安全性をどこまで信じていいかわかりません。
チャレンジはしてみたいけど、ベンチャーやスタートアップほどにリスクは取りたくないなというタイプの人にとっては、IPOのタイミングは企業の情報がたくさん出てくるのでチャンスとなります。
先回り転職のチャンスがあるから
先回り転職とは、わかりやすく言うと「人気が出る前にその会社に入って、会社が大きくなるのと一緒に恩恵を受けてしまおう」という考えになります。
yahooや楽天、メルカリといったメガベンチャーはご存じですよね。これらメガベンチャーに転職しようとすると、その人気から高い競争率を勝ち抜かなければなりません。採用ハードルはとても高いです。
しかし、これらメガベンチャーにも規模が小さくそこまで有名ではない時代がありました。もしもタイムマシンがあって、上場前の有名になる前に選考を受ける機会があったらどうでしょうか。きっと、今ほどに採用倍率は高くないことでしょう。この考えを「先回り転職」と名付けています。
とはいえ、未来のメガベンチャーや有名企業を探すのは簡単ではありません。その点、IPO(株式公開)をしてタイミングであれば、大多数の中から一歩抜きんでた状態となり、一方で、資金もあって成長性も残しているので、未来のメガベンチャー発掘の可能性は高まります。
これからIPOをして羽ばたこうとする会社を早い段階で知って、未来の金の卵に先回り転職できるチャンスを探していこうと思っています。
以上で、「【IPO企業×先回り転職情報】愛知の物流コンサル企業!株式会社アスア」の解説は終わりとなります。
愛知、名古屋で数少ない非製造業種の上場企業となります。まだまだ東海エリアで基盤を持っているだけですが、IPOを契機に全国展開していく予定なので、この先にかなり期待が持てるのではと思っています。
現在、愛知県に住んでいる方はもとより、愛知県外に住まわれている方でUターン転職を考えている方は、詳しく調べてみてはいかがでしょうか。