人材紹介(エージェント)業はBtoB(法人営業)とBtoC(個人営業)の両方の経験を同時に積むことができます。そのため、営業職として転職を考えている場合、人材紹介はおすすめです。
この記事では、人材紹介の仕事がどのように営業職としてのキャリア形成に役立つのか、また転職先としてなぜ魅力的なのかを詳しく解説します。
当コンテンツの骨子
#人材紹介の徹底解剖
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人材紹介をおすすめする理由
BtoBとBtoCの経験を同時に積めるから
営業職においてBtoBとBtoCどちらの道を選ぶかは非常に大事です。一度どちらかを選択すると、その後、もう一方を選ぶにはなかなか難しくなります。
BtoBではビジネスにおける課題解決能力が重視され、長期的なビジネス関係を構築するスキルが必要です。一方、BtoCでは迅速かつ柔軟な対応力が求められ、個人のニーズに合わせた柔軟な提案力が重要になります。
ぞの点、人材紹介はBtoBとBtoCを同時に経験できるのです。企業(BtoB)に対しては採用領域のコンサルティングを行い、求職者(BtoC)に対しては転職の希望を伺い希望の会社の求人を紹介します。
世の中、さまざまな営業の仕事がありますが、BtoB(法人営業)とBtoC(個人営業)を同時に経験を積める職種はほとんどないでしょう。しかし、人材紹介なら、ハイブリッドな経験を積むことができるのです。
キャリアパスが広がるから
BtoBとBtoCの両方の経験を積める人材紹介を経験した後は、BtoBとBtoC両方のキャリアの選択肢が開けます。
BtoB側の仕事はRAと呼ばれ、法人営業を行います。企業の採用課題のコンサルティングをするため、コンサルティング能力が身に付きます。
BtoC側の仕事はCAと呼ばれ、求職者に対して面談を行い、求人提案を行います。ホスピタリティだけでは務まりません。キャリアカウンセリングというセンシティブな話を行うため、高いコミュニケーション能力が身に付きます。
コンサルティング能力を有した法人営業能力と、カウンセリング能力や豊富な企業の知識を有したコミュニケーション能力が掛け合わされると、営業領域におけるキャリアの価値が飛躍的に高まります。営業としての汎用性が高まるためです。
その結果、一気に営業としてのキャリアパスが広がるのです。
人材紹介の職務内容と得られる経験
次に、実際に人材紹介ではどのような仕事をしているのか見ていきましょう。
人材紹介の仕事は、主にRA(リクルーティングアドバイザー)とCA(キャリアアドバイザー)という二つの役割に分かれます。2つの役割が合わさって初めてサービスが成り立ちますが、それぞれ異なる業務内容を持っています。
業務内容を確認しながら、合わせて積める経験も見ていきましょう。
RA(BtoB)領域
・新規取引先の開拓
まず、人材紹介は紹介先の企業や求人がなければ始まらないため、RAは企業の新規開拓業務を行います。具体的には、自社で集客している人材と相性の良い企業を探し、人材紹介契約の締結をします。
そのために、問い合わせのあった企業と商談をするか、こちらから企業へ新規開拓のアプローチをしていきます。新規開拓と聞くと大変そうなイメージがあるかもしれませんが、人材紹介の新規開拓はそこまでハードルが高くありません。成功報酬モデルのため、人材紹介契約の締結に関しては費用は発生しないからです。
<得られるスキル / 経験>
・ターゲティング能力
・新規開拓のアプローチ能力
・大小さまざまな企業と打ち合わせ
企業と商談が決まったら、どういう人材紹介を行っているのか、どのような人材をどれくらい紹介できるのかを人事や採用のキーマンにプレゼンをします。
一口に人材紹介といっても、営業に強いエージェントなのか、ITに強いのか、マスコミに強いのか、得意領域はさまざまです。職種以外にも、ハイクラスに強い、第二新卒に強い、あるいは、RACA両面型、専業型と説明すべき内容は多いです。毎月、面談している求職者の層や人数は変動しますので、絶えず、自社の集客(面談している層)のデータにも精通している必要があります。
また、商談先はベンチャー、スタートアップから大企業まで広がるため、商談スキルは相当に磨かれるでしょう。時には紹介料率や返金規定に関して企業と契約条件の個別交渉を行うこともあるでしょう。
<得られるスキル / 経験>
・ファシリテイト能力
・自社のデータ分析能力
・契約条件の交渉能力
・ベンチャーやスタートアップとの取引経験
・大企業との取引経験
・求人要件のヒアリング
人材紹介契約の締結まで進んだ場合は、求人要件のヒアリングを行います。しかし、これが思ったほどに簡単ではありません。
人事や企業の担当者も採用のプロではないため、自社の採用要件を的確に掴んでいないケースもあるためです。また、どのように自社の採用ブランディングをしていいかわかっていないケースも多々あります。
単純に必須要件や歓迎要件だけを聞けばよいわけではありません。企業の組織構成や創業経緯、事業の特徴などさまざまヒアリングをして、魅力的に求人を作るための材料を集めなければなりません。
<得られるスキル / 経験>
・ヒアリング能力
・コンセプチュアルスキル
・求人情報の作成・掲載
ヒアリングが終わったらそれをまとめ、求人票に起こします。この求人票の作成が地味に大変なのです。
なぜなら、作成すべき求人票が1社1枚とは限らないからです。営業、デザイナー、マーケティング、ディレクター、経営企画、経理、総務と多岐に渡る職種の求人を作ることもあるでしょう。
また、量だけの問題ではなく、どのように求人を魅力付けするかRAの手腕が問われます。全く同じ会社の同じ求人でも、書き手が異なるだけで、応募してみたくなるか、そうではないかの差がはっきりと生まれてしまうのです。
<得られるスキル / 経験>
・ドキュメント作成能力(スピード)
・ドキュメント作成能力(魅力付け)
・求人情報の社内広報
求人の作成が終わったら、主にCAに対して求人の広報を行います。
せっかくRAが新規で取引先を開拓しても、CAからしてみれば、何百社、何千求人の中の1社に過ぎないからです。CA業務をやってみるとわかるのですが、CAはどうしても自分が詳しく知っている企業を求職者へ紹介してしまう傾向があります。毎月何十社と取引が開始される新しい企業をインプットするのは大変だからです。
そういう前提の中で、朝礼や面談の合間などを見計らってCAへ求人の紹介をして、なんとか印象付けを行いその企業のファンになってもらわなければならないのです。RAの社内広報の能力が問われます。
<得られるスキル / 経験>
・求人を魅力的に語れるプレゼン力
・求人を短時間で語れる要約力
・求人にマッチする候補者のスクリーニング
CAにどれだけ取引先の企業のプレゼンをしても、必ずしも求職者へ提案してもらえるかわかりません。
そのため、自社の面談済求職者のデータベースをチェックして、採用要件に見合った求職者を見つけたら、その人に求人を提案する必要もあります。RAは企業の代理人的な役割もあるので、クライアントの人事の代わりに、社内の求職者データベースを見て、クライアントの売り込みを代わりにしてあげるイメージです。
クライアントの代理人のようなアクションが社内で取れるようになると、企業からは強い信頼を得ることができます。信頼力が高まれば、企業がエージェントに書類選考合否を判断する権利(面接確約の権利)を渡してくれるようなこともあります。
<得られるスキル / 経験>
・データベースのリサーチ能力
・クライアントとの強固な信頼構築能力
・選考進捗管理
求人を作成し、社内でクライアントの認知度が上がってくると、飛躍的にそのクライアントへの紹介数が増えていきます。そうなると、今後は多くの選考進捗が発生します。
書類選考フェーズ、面接フェーズ、内定フェーズで次々と進捗が発生します。そうなると、毎日のように合否が出ますし、合否が出たら理由も確認しなければなりませんし、面接日程の調整もしないといけません。企業によっては、1社だけで同時に数十名の選考進捗が発生することもあります。ミスなく、漏れなく、遅滞なく進捗を回せる能力が必要となるのです。
<得られるスキル / 経験>
・進捗の正確なディレクション能力
・面接対策
エージェントのスタイルにもよりますが、RAをしていると求職者に対して担当している企業の面接対策を行うことがあります。
平たく言うと、クライアントの魅力をCAの代わりに求職者へ訴求し意向上げをします。また、面接の傾向や対策を伝えて、面接の通過率を向上させるためのお手伝いをします。
<得られるスキル / 経験>
・企業の魅力のプレゼン能力
・面接傾向を把握する情報収集能力
・面接対策を通じたコンサルティング能力
・内定後の求職者の意向上げや条件交渉
無事内定が出たとしても、RAの仕事はそこで終わりではありません。
せっかく内定を出ても、年収や入社希望日などが折り合わずスムーズに内定承諾に至らないこともあります。求職者の意向があまり高くなく、内定辞退濃厚のケースもあります。
入社条件が折り合わない時は、RAは企業と求職者双方の意向を確認して、条件交渉を行います。
求職者の意向が低い場合は、意向が低い理由を確認して企業と相談し、意向が低い理由の払しょくを図ります。面接官の印象が悪かったり、別の会社の意向が高かったり、何等か意向が理由があるはずなのでその理由の特定と打ち手を考えなければなりません。
<得られるスキル / 経験>
・ロジカルかつ冷静な交渉能力
・的確な情報把握能力(提示年収の妥当性などの判断)
・採用決定後のフォローアップ
内定承諾後に最後に大事な業務があります。それは、成功報酬の請求業務と入金管理です。
入社後に成功報酬の入金まで見届ける責務があります。きちんと請求書は届ているか、金額は間違えてないかなどの確認が必要となります。お金周りの業務はCAには発生しない領域なので、きちんと管理できる人材になっておきたいところです。
<得られるスキル / 経験>
・請求書周りの業務経験
・契約後の入金管理
CA(BtoC)領域
・面談調整
CAの業務は、まずは転職支援サービスに申し込みのあった求職者との面談調整から始まります。
引っ越しを問い合わせした時のイメージをしてもらえればわかりやすいのですが、求職者はたえず多くの転職エージェントから声がかかります。そのため、転職支援サービスの申し込みがあったからといってうかうかしていられません。
そのため、スピーディに面談日のアポイントを取り、面談の詳細の案内を行う必要があります。
<得られるスキル / 経験>
・スピーディな面談調整の連絡能力
・予約システムやSMSなどの使いこなし
・面談前準備
CAは面談時間までにアポイントのあった求職者の履歴書・職務経歴書やそのほかの事前情報を読み込みます。
その人の経歴やスキルはもちろんこと、なぜ1社目を選んだのか、なぜ2社目を選んだのか、どういう転職軸だったのか、現職に抱いている不満はなんだろうかと想像をしながら行間を読み取ります。面談の際に質問したい内容も事前に考えておく必要があります。
<得られるスキル / 経験>
・経歴やスキルの読み取り能力
・転職動機などのプロファイリング能力
・求職者とのキャリアカウンセリング面談
キャリアカウンセリング面談はCAとして最も能力が問われるシーンの一つです。
求職者から頼りないと思われると転職支援サービスを利用してもらえなくなるので、全心血を注ぎ面談を行います。求職者が求めている情報を伝えつつ、こちらも転職支援に必要な情報のヒアリングを行います。
ただし、ただ聞けばヒアリングすればよいというわけではありません。求職者自身が希望条件や転職軸を言語化できていないことも多々あります。その時は、こちらでうまく言語化しながらヒアリングを行います。
また、時に希望条件がとてつもなく高いこともあります。たとえば、新卒で年収800万円ほしいといった例です。その場合は、適切に市場平均などの話をしながら、期待値を調整していく必要も出てきます。
<得られるスキル / 経験>
・ヒアリング能力
・言語化スキル
・期待値調整能力
・求職者のスキルや希望に応じた求人紹介
求人紹介もまたCAにとっては面談と同じくらい大事な業務です。そして、CAによって実力差が出る難しい業務でもあります。何が難しいかと言うと、理由は主に3つあります。
<求人紹介が難しい理由>
①覚えなければならない企業の数が多いから。
②本人の希望通りに提案することが必ずしもハッピーになるとは限らないから。
③本人が希望条件を言語化できていないこともあるから。
必ずしも内定を狙えそうな会社だけ紹介すればいいわけではないですし、かといって、スキルと希望条件が見合っていない有名企業ばかり提案すればいいわけでもありません。希望と現実の良い塩梅を見計らないながら求人提案をしなければならないのです。
<得られるスキル / 経験>
・多くの企業や求人理解
・求職者のスキルと求人要件の目利き
・求人のプレゼン能力
・履歴書や職務経歴書の作成支援
履歴書・職務経歴書支援もまた必要に応じてCAが行います。そして、手腕が問われる業務でもあります。
最近はAIによる作成ツールもたくさんありますが、本人が言語化できていない、あるいは、強みとして自覚していないスキルや経験に関しては、人の手を使ってでしか履歴書・職務経歴書に反映できません。
本人が作り上げてきた履歴書・職務経歴書をもとにヒアリングをしていくと、もっとアピールポイントがたくさんあるのに勿体ないなと思えるケースが多々あります。そういった時に、本当の実力を反映してもらうために履歴書・職務経歴書の作成支援を行います。
履歴書・職務経歴書の作成支援は、慣れていないと一人当たり2,3時間は平気でかかってしまう業務です。それでも、求職者のことを思えばこそやりたくなる付加価値業務なので、CAとしてはぜひマスターしておきたいところです。
<得られるスキル / 経験>
・求職者の魅力発見
・ドキュメント作成能力(言語化)
・書類選考における推薦業務
応募したい企業が決まり、履歴書・職務経歴書が整ったら書類選考(推薦)に入ります。
履歴書・職務経歴書の誤字脱字がないか、年齢や経歴の年数などは間違えていないか、魅力ある内容に仕上がっているか最終チェックし、推薦文を添えて企業へ推薦を行います。
システムの力ももちろん借りますが、推薦漏れがないよう、ミスなく、漏れなく、遅滞なく推薦業務を行わなければなりません。1日に3名の求職者が書類選考をスタートし、1名の求職者あたり10社応募がした場合、1日で30社の応募手続きをしなければなりません。
手早く確実にこなさなければならない業務なのです。
<得られるスキル / 経験>
・スピーディな事務推進力
・正確な事務推進力
・面接対策のアドバイス
求職者の選考が進み面接フェーズに入った場合、優秀なCAは面接対策(模擬面接)を積極的に行います。
この面接対策は結構難しく、求職者のことだけでなく企業側の視点も持って臨まなければなりません。面接官はどういう質問をしてくるのか、何に対して深掘りしてくるのかを仮説立てし、求職者と想定問答を行います。
面接慣れしていない求職者が多いので、模擬面接とまではいかなくとも、想定質問を一緒に考えてあげるだけでとても喜ばれることでしょう。
<得られるスキル / 経験>
・面接官視点での想定質問の洗い出し
・求職者のスキルや経験の棚卸し
・選考進捗のフィードバック
選考が進むと、時に不合格で落ちることもあります。というよりも、落ちて不合格連絡をするのが過半の業務と言っても過言ではありません。
不合格連絡をするのは誰だって嫌なものです。求職者は自信を失いますし、凹みますし、CAだって凹みます。目を背けたくなり、ついついメールでぽろっと不合格を伝える事務仕事になりがちです。
しかしながら、できるCAはしっかりと不合格理由を求職者に伝えます。不合格理由はなんだったのか、準備不足だったとしたら何がわからなかったのか、そういうことを求職者と膝を詰めて会話をします。面接通過率の改善のヒントが面接不合格理由に眠っているので、地味ですが丁寧に対応したい業務となります。
<得られるスキル / 経験>
・CAとしての強いマインド
・フィードバックを通じた求職者との信頼関係
・転職先意思決定のサポート(クロージング)
担当している求職者に内定が出ると、その求職者に内定を承諾するか断るか判断してもらうために、必要な情報を整理して意思決定のサポートをします。
まずはオファー条件に目を通し、求職者の希望に沿っているか確認を行います。次に、求職者が意思決定できそうかヒアリングを行います。意思決定をするための情報が足らない場合は、オファー面談の設定を行い、足らない情報を確認する場を提供します。
この意思決定の際に必要な能力が「俯瞰力」と「倫理観」の2つでしょう。
俯瞰力とは、求職者の転職軸、オファー条件、企業の成長性、職場環境、求職者が並行で進めている選考進捗、回答期限などすべての情報を整理したうえでのアドバイスできる能力です。
倫理観は、本当にその内定先に決めることが求職者にとって有益そうかどうかを考えることです。もしかしたら、もう少し転職活動を継続したら、もっと有利な内定が出るかもしれないからです。
<得られるスキル / 経験>
・俯瞰力
・倫理観(ビジネスとキャリアの両立)
・退職交渉のサポート
内定承諾後は、入社までフォローします。
特に退職交渉に関してはしっかりした支援が必要です。初めて転職をする人は、退職交渉も初めてとなります。どのタイミングで、誰にどうやって退職を伝えたら良いか、引き留めに合った際にどのように向き合うべきかなど個々にサポートします。
退職交渉で入社日が遅延ししてしまうと企業が入社の受け入れでへそを曲げてしまうこともあります。そういったことにならないように、円満退職のフォローを行います。
<得られるスキル / 経験>
・忍耐力
・信じる力
人材紹介経験後の7つのキャリアパス
ここまで人材紹介の仕事内容をRA(BtoB)とCA(BtoC)の領域に分けてみてきました。
これらの職務経験を積むことができれば、営業職としてのスキルはもちろん、それ以上に広がるキャリアパスが多く存在します。以下に7つのキャリアパスを紹介します。
1.スペシャリスト / エキスパート職
人材紹介のスペシャリストとしてキャリアを極めていく道です。
そして、スペシャリストの中でもさらに3つの道があります。もし、スペシャリスト志向の場合は、下記から目指したいスペシャリストの姿を追いかけてみるといいでしょう。
・高いNPS(顧客満足度)を誇る人気コンサルタント
・業界トップクラスの腕利きコンサルタント
・年収1,000万円プレイヤー
2.マネジメント職
マネジメントポジションへの昇進を目指すことも可能です。人材紹介の中でキャリアを縦に進めます。
チームリーダーやマネージャー、事業部長として、他のリクルーターを指導し、彼らの目標達成をサポートする役割を担います。このキャリアパスでは、リーダーシップスキルや戦略的思考が身につけられます。
人材紹介は、組織が大きくなればなるほど、比例してRA/CAの人数が増えていきマネジメント職の人数も増えていきます。上が詰まっているという業界でもないため、マネジメントチャンスは比較的恵まれることでしょう。
3.営業企画職
人材紹介会社で働いていると企画職にチャレンジできる機会もでてくるでしょう。
なぜなら、人材紹介は多数の企業データや人のデータを取り扱うため、データに強い人を求めるからです。数千社の企業データ、数万人にも及ぶ人材データを取り扱います。
企業側は業種、資本、サービス内容、仕事内容、採用要件、人事のデータ、社員数、文化など、数えきれない項目のデータを蓄えます。求職者側は、年齢、性別、職種、年収、在籍企業、希望条件、履歴書・職務経歴書など、こちらも数えきれない項目のデータを格納します。
データは貯めているだけでは意味がありません。活用のために、「営業企画」が必然的に求められます。データをクレンジングし、整理し、マッチングに活かしていきます。コンサルタントの勘や経験だけでは会社が俗人化してしまうのです。
データが好きな人や企画職に興味がある人に関しては、自ずと企画職の白羽の矢が立つことでしょう。
4.マーケティング職
人材紹介は、現場のRA / CAでもマーケティングに転向できるチャンスがあります。
具体的には、スカウトマーケティング、SEO担当としてメディアの運営、広告出稿を行うマーケティングの機会があります。
会社が小さなうちは、ビズリーチやリクルートダイレクトスカウト、DodaX、AMBIなどの転職媒体でスカウトを打って求職者の集客を行うことが多いでしょう。しかし、会社が大きくなるにつれてよりスカウト以外の仕入れが必要となります。
会社の成長に伴い、メディアの運営やリスティングなどのWeb広告、動画広告とマーケティング範囲が広がっていきます。マーケティングに興味がある人にとっては、人材紹介はチャンスの多い業界になるものと考えられます。
5.人事職
人材紹介経験者が人事へ転身することは多いです。3人に1人は転職時に人事へ転身するのではないかと感じるくらい、よく見るキャリアパスとなります。
人事の中でも、採用・リクルーティングの領域でとても相性が良いです。さらに、CAよりもRAの方が、企業側の採用プロセスなどに精通しているため特に相性が良いでしょう。
人事の仕事はいくつかに区分できます。「採用・リクルーティング」、「労務管理」、「育成・人事制度」の3つです。企業は新卒・中途採用で通年活動を行うため、採用のプロフェッショナルであるエージェント経験者は人事の採用要件にぴったりというわけなのです。
6.HR採用・組織人事コンサル(社外)
人材(HR)の仕事でプロフェッショナルを極めるため、採用・組織人事コンサルの道に進む人も一定数います。
人材に関わる仕事は、採用だけではなく、育成、定着、制度作りとタレントマネジメントの領域にも繋がっていきます。リンクアンドモチベーションや識学などのイメージを持ってもらうと分かりやすいかもしれません。
採用・組織人事コンサルのやりがいは、1人の採用というレベル感の仕事ではなく、組織や会社単位での課題解決がミッションとなる点でしょう。
採用コンサルティングは採用プロセスの設計と最適化を支援します。どういう媒体で求人を出し、どういう求人構成にしたらいいかなどのアドバイスを行い、時に、ハンズオンで実際にスカウトを打ち、面接調整のお手伝いもします。組織人事コンサルティングは、企業の新しい人事評価制度作成の手伝いや、社員研修・教育などのお手伝いをします。
7.独立開業
人材紹介会社で経験を積んだのちに独立する人は多いです。実際、筆者の知人や以前の同僚でも独立したメンバーは複数います。
人材紹介は、何年か経験を積んでいくと、自分なりの人材紹介における哲学やポリシーが確立され、こだわりが出てきます。企業や求職者と日々接するうちに、自分なりの哲学やポリシーに基づく採用 / 転職支援をしたくなってくるわけです。
そういった時にふと独立が頭によぎり、そして、ある程度実力がついてきた後に独立のチャレンジをするために巣立っていく流れがあるのです。独立願望がある人に関しては、人材紹介はおすすめしたい業態のひとつと言えるでしょう。
以上で、「営業職として転職するなら人材紹介がおすすめ。BtoBとBtoCの両方の経験が積める稀有な職業。」の解説は終わりとなります。
人材紹介はBtoBとBtoCの両方の経験を積めるため、営業としてのキャリアは飛躍的に広がります。営業だけでなく、人事などの選択肢も出てくるでしょう。
営業職として新たな挑戦をしたい、さらなる成長を目指したいという方は、人材紹介の世界をぜひ検討してみていただければと思います。