転職・面接ノウハウ

面接で不合格になった7つの分類から対策を徹底解説!評価されやすい回答例と改善のための心構えとは?

面接の不合格理由を徹底解明

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

中途採用の面接は、すべての選考ステップの中で一番緊張する。面接が苦手という人はとても多いことだろう。転職ギルドマスターももちろん苦手だ。

たった1回の面接で自信を無くしてしまうこともある。誰だって落ちたくはない。でも、安心してほしい。書類選考が通過している場合は、実はスキルや経験は満たしているということが多い。

履歴書・職務経歴書から読み取れるスキルや経験は合格しているからこそ面接に至っているのだ。

これから、これまでの先人たちの面接不合格理由をまとめて体系的に整理していく。他人の失敗からポイントを読み取り、先回りして学習を進めて欲しい。

「愚者は経験(自分のミス)に学び、賢者は歴史(他人のミス)に学ぶ」

これはドイツの鉄血宰相と呼ばれたオットー・フォン・ビスマルクの格言。自分の失敗を振り返って「次気をつけよう」と考えるのはまだまだ甘い。他人の失敗を見て「自分もそうなるかもしれない、気をつけよう」と気を引き締められる人になってほしい。そう、あなたは賢者となるべし。

転職騎士
転職騎士

ふふっ、ついに自分も「賢者」になる時が来たか。名前を転職賢者に改名するかな。

なんだ!?これまでの私が不合格にした理由をまとめてくれるのか。ならば、その上の不合格を出してやろう。

鬼面接官
鬼面接官

実力が本当に不足している場合は致し方ない。しかし、先に触れた通り書類選考が通過しているということは、企業はスキルや経験に何かしら魅力を感じてくれているのだ。

面接の不合格理由を科学することで、面接攻略の糸口が見えてくる。本記事では、なぜ面接で落ちてしまうのか、その理由と傾向を徹底的に調査する。そして、面接の不合格理由を体系的に整理するので、そこから面接突破の糸口を見つけてほしい。

面接不合格理由の7分類

転職エージェントとしてこれまで何千名の方の面接をお手伝いしてきた。そこで気づいたのは、面接で見送られるのにはいくつかのパターンがあるということだ。

転職ギルドで大別したところ、面接不合格のパターンは下記7分類になる。具体例もたくさん載せているのでしっかりと確認してほしい。愚者は経験(自分のミス)に学び、賢者は歴史(他人のミス)に学ぶ、を実践してほしい。

コミュニケーション能力の問題

まず、面接不合格の理由で真っ先に挙げたいのがコミュニケーション能力の問題だ。不合格理由の上位に必ずと言っていいほど上がってくる。どういったパターンや事例があるのか早速見ていこう。

回答がずれる / 返ってこない

回答がずれるという面接不合格理由は、実はとても多い。面接官からの質問に対して適切な回答ができていないのだ。この不合格理由は結構多く目にする。

自分は大丈夫と思っていても緊張のあまりうまく行かないこともある。上司や同僚から回答がずれているよと言われたことは、一度や二度はきっとあるはずだ。事例を見てみよう。

ケース①

面接官の質問1あなたは、開発が大幅に遅延していた銀行送金のシステムに後半からプロジェクトマネージャーとして参画して、見事トラブルを収め納期に間に合わせたそうですね。どうやって、間に合わせたのですか?
求職者の回答1ありがとうございます。はい、大変なプロジェクトでした。納期遅れから現場の士気が下がっていたので、日々進捗を管理し叱咤激励をして士気を盛り上げてなんとかプロジェクトに間に合わせました。

一見すると、回答は成立しているのだが、面接官は求職者が叱咤激励の話を聞きたかったのだろうか?いや、そうではないだろう。

面接官は、どこにプロジェクト遅延の課題があって、どうやってみつけたのか?課題解決の根本原因は何だったのか?を知りたがっているはずだ。

ケース

面接官の質問2あなたの長所を教えてください。
求職者の回答2私の長所は、様々なビジネス書を読むようにしていることです。なぜビジネス書を読んでいるかというと、ビジネス書を読むことで、自分の足らないスキルが埋め合わせできて、日々成長できるからです。

こちらの事例2はどうだろうか。面接官は「長所を教えて欲しい」と言っているが、ビジネス書をなぜ読んでいるのかの回答に変わってしまっている。

この質問を受けて回答するのであれば、「日々自己研鑽を怠らないことです。具体的には、ビジネス書を読むなどして、日々の学習を継続し・・・」といった内容良いだろう。いきなり長所の具体例を答えてしまい、そこから、具体例の理由を答えてしまっている点が質問の答えとしてずれている。

回答がずれないためには、面接官や質問者の意図を考えよう。どういう回答を聞こうとしているのか、一度想像しよう。

こちらも緊張しているので、面接中に回答がずれてしまうことは誰だってある。ただ、もしも話しているうちに回答が合っているか自信がなくなってきたら、面接官に求めている回答になっているか聞き返してみよう。ズレは修正したらいいだけなのだから。

話が冗長 / 長い

面接不合格のひとつに、「冗長、話が長い」というのはこれもまた多い。自己紹介をはじめたら、止まらない人。答えを求めたら、理由から入り始める人。誰もが思い当たる節はあるのではないだろうか。

話が長いというのはどういうことだろうか。単純に話している時間が長くて聞き手は退屈というのもあるが、「結論が出てくるまで長い」という意図がある。

職場のシーンでイメージしてみよう。自分の武勇伝ばっかりで結局何が言いたいのか分からないという上司もいるだろう。理由を聞いているのに聞きたいことが出てくるまでに5分かかる部下もいるだろう。

冗長で話が長いと言われないための解決方法は下記だ。

  1. 結論から言おう
    結論から言うコツは、PREP法で話していく。聞き手は結論から聞きたいのだ。Yes / Noをもめられている時もあれば、解を求められている時もある。恐れずに結論から言おう。
  2. 何を話すのか要旨をまとめよう
    一番伝えたいことは何なのか。1行で回答するとしたら何を言うべきなのか。要旨がまとまっていないことには、結論ファーストも難しい。
  3. 面接官との会話をキャッチボールで
    結論から先に言えば、その後に面接官が関心を持ったことを続いて質問してくれるはずだ。それに対して回答を続ければいい。例えば、下記のような感じだ。

    面接官:あなたが一番苦労した仕事のエピソードを教えてください。
    あなた:年末のお歳暮で商品が届かないという大クレームを起こしたことです(こんな簡単な回答で良いのかな、ドキドキ)。
    面接官:(数秒沈黙)
    面接官:それは大変なエピソードですね。どのようなクレームがありましたか?

    ここでの数秒の沈黙は、わずか数秒とはいえとても怖い時間だ。ただ焦りは禁物だ。面接官によっては、クレームの種類と対処方法を聞いてくるかもしれない。別の面接官によっては、商品が届かなかったのかの原因を聞いてくるかもしれない。

    相手の顔を見て、もっと話してほしそうだったら話せばいい。まずは、結論から話して相手の「次」を待てばいい。

話が抽象的すぎる

面接お見送り理由のひとつつに、話が抽象的過ぎるというのがある。

話が抽象的過ぎると、何を言いたいのかが伝わってこない。これはどういうことだろうか。下記のマーケティング担当者の例を見てみよう。

面接官の質問あなたが○○化粧品のマーケティング担当者として従事した際、どのような成果を上げたか教えてください。
抽象的な回答私はマーケティング担当者として、自社商品のブランディングに従事しました。特にNPSに意識し、広告予算が限られてている中で注力すべき商品の取捨選択を行い、無事認知拡大に成功しました。成果が認められ、社長賞をいただくことができました。

上記の回答だと、なんとなくマーケティングに従事し、NPS(顧客満足度の指標)を意識してブランディングに従事したことはわかる。しかし、具体性がないので何をしたのか分からない。

では、模範解答はどういうのが良いだろうか。下記を見てみよう。

面接官の質問あなたが○○化粧品のマーケティング担当者として従事した際、どのような成果を上げたか教えてください。
模範回答私の成果は、新製品だった〇〇という基礎化粧品の売り上げを半年で黒字化できたことかと思います。新製品だったので予算が限られていたのですが、NPSを意識することで口コミがうまく進み、予算を抑えつつ売り上げを達成することができました。おかげさまで、社長賞をいただくことができました。

もっと良い回答はいくらでもあると思うが、少なくとも上の抽象的な回答よりは何をしたのか分かると思う。ポイントは具体と抽象のバランスが良いからだ。

<模範解答の良い所>
・新製品のマーケティングということが分かる
・新製品なので予算が限られたということも納得する
・下記の因果が分かる
NPS(顧客満足度の指標)を意識
→口コミが増えた
→クチコミから売上に繋がった
→社長賞を獲得できた

印象が暗い / 雰囲気が固い

この問題は持って生まれた性格もあるだろう。面接は緊張もする。それでも、暗いと思われては勿体ない。コミュニケーションが苦手な人はこうしたらいい。

〇 落ち着きがある
✖ 暗くて固い印象がある

ぼくもキャリアカウンセリングの仕事をしている時以外は、性格は暗い(笑)。いわゆる一匹オオカミタイプで、場に合わせて明るくふるまうとか苦手なタイプだ。人にどうこう言える立場では120%ない。

しかし、明るくふるまうまではいかなくとも、暗い印象を与えてしまうと百害あって一利なしなので、なんとか避けてほしい。例え、エンジニアやデザイナーのような専門職でもだ。

暗い / 固い印象を与えてしまうと、「組織に馴染めなそう」「お客さんの前に出せなそう」「マネジメントコストがかかりそう」などと言った判断に繋がってしまう。

暗い印象を避けるためのチェックリスト

  • オンライン面接の時はカメラを見る。下を見ない。
  • 対面面接の時は相手を見る。
  • できれば笑顔を作る。
  • 相槌をして、会話についていく。
  • ぼそぼそ話さない。
  • ネガティブな言いまわしを避ける。
  • こちらからも質問をする。

コミュニケーションが苦手な人に積極的にコミュニケーションを取ろう!といっても、すぐには変えられないだろう。それでも、相槌くらいはできるはずだ。

上述の通り、コミュニケーションが苦手な人でも、「〇落ち着きがある」を目指そう。

スキルや経験のミスマッチ

多くの求職者が面接で不合格となる大きな要因に、スキルや経験のミスマッチがある。スキル・経験ミスマッチと一言で片づけるには、ここの内容は多岐に渡り奥深い。少しでも分類分けすることで、その対応策を考え、選考に役立てて貰いたい。

尚、上の方が職位が高い人たち向け、下の方が若手向けの不合格理由の順番で並べてある。

マネジメントスキル不足

募集ポジションがマネジメントレイヤーであったり、リーダー候補の場合は当然マネジメントスキルは見られる。

仮に、若手のメンバーポジションであっても、マネジメント志向なのかスペシャリスト思考なのかは選考の場で問われることはある。そのため、自分は将来マネジメントをしたいのか、スペシャリストでいたいのか、普段からその理由も含めて考えておくと良いだろう。

マネジメントに関しては下記のような質問があると思われる。いつでも回答ができるように準備しておいてほしい。

  1. マネージャーとしての経験年数と、何人の部下を持ったことがあるか。
  2. マネージャー / マネジメントの役割はどのようなものだと思うか。
  3. マネジメントに求めらえるスキルは何があるか。
  4. あなたのマネジメントスタイルはどういうものか。
  5. マネージャーとして / マネジメントの失敗談。
  6. 成績が良くない社員との接し方。

具体化と抽象化の力が弱い

この面接不合格理由は、コンサルティングや企画職などの課題解決を求められる仕事に多い。

具体と抽象を双方を見ることで、課題の本質的な解決能力が問われる。具体や抽象、どちらかに偏り過ぎてしまうと改題解決能力に不安のフラグが立ってしまうわけだ。

具体化とは
漠然とした物事をはっきりとした形にすること。つまり、具体化が弱いと言われる場合は、抽象的な傾向やデータなどから具体的なアウトプットを示せる力が弱そうという評価になる。

面接のフィードバックで具体化の力が弱いと言われた場合は、面接での話している内容が抽象的過ぎるのだろう。もっとエピソードや数値などを交えて、バランスを取らないといけない。

抽象化とは
複数の情報に共通する要素を抜き出すこと。重要ではない細部の情報を取り除き、物事の本質を捉える力を見ている。

面接のフィードバックで抽象化の力が弱いと言われた場合は、面接での話している内容が具体の内容ばかりなのだろう。もっと、プロジェクトの課題や背景に対する言及をするのが良い。

成果に対する再現性が弱い

この不合格理由は採用難易度が高い企業やメガベンチャー系の会社から言われることがある。

成果の再現性=成功の要因をきちんと分析できているか。成功の経験を転用・活用できそうか。

成果の再現性があると思われないと、マグレの実績だったのではないか、その人の力ではなく組織や周囲の力にただ乗りしていただけなのではないかと思われてしまう。

このように言われないためにも、どうやって実績を出して来たのか、自分の口でその因果を説明できるようにしておかなければならない。そのためにも、上の「具体と抽象」を意識しておくといいだろう。

ドキュメント能力が弱い

ここで言うドキュメント能力とは、きれいでわかりやすいパワーポイントや企画書を作る能力、という意味ではない。

プロジェクト推進をするような人や、ディレクション業務をする人、エンジニアの場合は該当するだろう。例えば、エンジニアの場合は基本設計書や要求定義書を書いたことがない場合はこの指摘を受けやすいかもしれない。設計書などもそれにあたる。

ドキュメントを適切なタイミングで残しているかどうかで、場当たり的にプロジェクトを回して来たのか、瞬発力だけで仕事をしてきたのかどうかが分かる。

ドキュメント能力をあえてアピールする場ないかもしれないが、どういったドキュメントを作成してきたかを聞かれることはあるかもしれない。一応想定しておこう。

データや数字の意識が弱い

データや数字の意識が弱いというのは、何がまずいのだろうか。

結論から言うと、PDCAが回せていないということを意味する。改善をするには、数値を見て、仮説や適正な目標を立てていくがその大事な根拠を見れていないということを意味するからだ。PDCAは成長のための大事な要素だ。

下記では、職種ごとのデータや数字の意識が弱いという不合格理由の具体例を見てみよう。代理店や制作会社に勤めている人は、時にデータが取れずどうにもならないこともあるが、意識しておくことにこしたことはない。

職種不合格例
広告担当広告のプランニングと出向までに留まり、広告を展開した後の顧客の反応まで追えていない。そのため、サービス改善までをお任せする当社の職務には経験が不足している。
ディレクター制作のディレクションが中心となっている。クリエイティブコントロールや納期管理が中心となっており、ユーザー体験まで目が行き届いていない。
デザイナー制作が中心となっていて、数字が見れておらずUIやUXまで意識が及んでいない。データが見づらい環境であったとしても、仮説立てが弱いと判断した。
営業コミュニケーションの取り方だけに話が集中している。リストアップへの工夫や歩留まりから逆算した目標の立て方などの話がほしかった。

データや数字を見るというのは、一朝一夕で身につくものではない。

今回は、面接不合格理由のひとつとして取り上げているが、本来はキャリアを高めるために欠かせないスキルのひとつになる。データや数字に対する意識を高めるだけで、転職に限らず仕事の中でも高い評価と地位を得ていくだろう。仕事はきっと楽しくなり、年収も100万、200万円と変わってくるはずだ。

企業文化や組織バランスとのアンマッチ

企業は自社の文化や価値観に合う人材を求めている。以下のような理由で不一致が見られると、不合格となることがある。

企業理念 / カルチャーアンマッチ

採用活動におけるカルチャーフィットとは、企業のカルチャー(価値観、ビジョン、雰囲気)と、候補者の価値観のマッチすること。採用においてはここも見ている。

部活動の入部において、全国常勝のチームに愛好会レベルの人が入ると受け入れる側も入る側も大変になる。それと同じだ。

ただ、ここで注意してほしい点がひとるある。それは、カルチャーという言葉に騙されないことだ。カルチャーという言葉の印象はついつい社内の雰囲気、大事にする価値観みたいな連想させるだろう。

けれども、選考におけるカルチャーというのは、仕事のスピードであったり、何度も挑戦するチャレンジ精神であったり、もっと具体的な仕事の取り組み方みたいなものも該当する。

「個人の尊重」「コミュニケーションで社員を幸せにする」といった、ビジョンを抱える会社があるとする。抽象度が高くて実際の選考の場でこちらから相性をアピールすることは難しいだろう。そういう場合、仕事のスピードやチャレンジ精神など、解像度少し掘り下げてイメージしていくと良いだろう。

組織バランスとのミスマッチ

この不合格理由も案外とある。人事は中途採用をする時に、チームメンバーとのバランスは結構大事にしている。人事の目線で具体的にイメージすればわかるだろう。

例えば、10名の事業部で事業部長がオラオラ系の体育会系気質の性格だとする。その場合、候補者が見合った能力を持っていても、ストレス耐性が弱そうに見えた場合は「組織バランスの関係でお見送り」となる。

その逆もしかりだ。課長が優しいタイプの女性の方だとしよう。その場合、候補者が見合った能力を持っていても、協調性がなさそうな人は組織バランスの関係でお見送りになるだろう。

では、組織バランスの関係でお見送り、と言わせないためにはどうしたらいいだろう。解は2つある。

一つめは、癖がないと思わせること。人事や面接官にマネジメントコストがかからない人と思われないようにしたい。

二つめは、面接の場でどういう選考を受ける事業部がどういう組織構成なのか聞くことだろう。上司はどういう人か?何名くらいの事業部か?男女どちらが多い?など。

無理に組織構成を聞いて合わせる必要はないだろう。ただ、事前に組織構成を聞くことで入社後のミスマッチは減らすことができる。こちらからも、組織バランスの相性を確認することは大事だろう。

調査不足

企業に関するリサーチ不足

面接官はこの候補者は調べてから面接のに臨んでいるかどうかはすぐに分かる。事前に調べていれば候補者と調べていない候補者とでは、質問んのレベルが全然違うからだ。そして、企業理解の甘さは、志望度の浅さに繋がってしまう。

まずは求人票を丁寧に読み込もう。仕事内容、必須要件、歓迎要件、求める人物像など順を追ってチェックしよう。

そして、会社のHPや採用ページを見る。採用ページには企業文化や先輩社員の情報も載っている。せめて、自分が受ける部署や職種の情報はチェックしておこう。あと、忘れがちなのがサービスサイトのチェックだ。

サービス特性や機能などを見て、どういう顧客を対象としているかなどを見ていけば、自分のスキルや経験から活かせる領域など見えてくる。しっかりと企業やサービスのことを理解してくれているという印象に繋がるだろう。

業界に関するリサーチ不足

異業種からの転職をする人も多いだろう。異業種からの転職だからといってその業界のことを調べないでよいわけではない。仮に同じ業界未経験の候補者同士で選考を争った場合、業界のことを少しでも調べている人を採用するだろう。調べている人の方が熱意を感じるからだ。

業界に関して調べるのは、簡単ではない。やみくもに調べても、何を調べていいかわからないかもしれない。

ワンポイントアドバイスをするとすれば、その業界のNo1~No3の企業とサービスを見ておくことをおすすめしたい。〇〇の業界ではNo1のシェアを持っているのは△△で導入企業は✖✖社ある、といった感じだ。

あとは、「カオスマップ」を見るのも良いだろう。カオスマップとはビジュアルでわかりやすく表現された業界地図で、その業界やサービスの大手や影響力のある会社をさっと確認できる。

転職軸 / キャリアビジョン

転職軸がぶれている

転職軸とは、転職先を選ぶ際に自分が最も重要視する条件のこと。

たとえば、業界の超大手企業の面接で「自分はチャレンジ精神が旺盛なのでチャレンジできるベンチャー企業を中心に受けています」と面接官に話したとしよう。面接官からすれば、ベンチャー企業を中心に受けているのに、なぜうちみたいな大手の選考を受けているのだろう?と疑問が湧いてしまう。

こういった転職軸を新卒の時から時系列でみた時に、ぶれていると感じられた場合は見送られてしまう傾向がある。転職軸を見定め、選考を受けている企業がそれを満たせるのか、落ち着いて見直してみることをおすすめする。

キャリアビジョン(キャリアパス)が不明瞭

面接の場で今後どのようなキャリアビジョンを持っていますか?どういうキャリアを描きたいですか?と聞かれることがある。どのように回答したら良いか分からない人が半数近くいるのでないかと思う。

キャリアビジョンとはキャリアパスととらえても良いだろう。職種ごとにキャリアビジョン / キャリアパスの思考例を出していくので参考にしてほしい。

  1. エンジニア / SEの場合
    エンジニアのキャリアは選択肢が多い。PLやPMのようにプロジェクトマネジメント側に進んでいくか、フルスタックエンジニアのように技術を極めていくか、あるいは社内SEとして進む選択肢もある。はたまたコンサルの道へ進むことも可能だ。

    PLやPMなどを目指していく場合はPMPなどの資格目標などを入れて話すのも良いだろう。フルスタックエンジニアの場合は、今ある技術をベースにバックエンドを伸ばすのか、フロント技術を磨くのか、インフラを強化するのか、どういう取り組みをしているのか話すとよいだろう。

    社内SEの場合はなぜ社内SEを目指したいのか、そこの大事な理由を話せるように準備してほしい。
  2. マーケティング職の場合
    マーケティング職の人は、まずは縦にキャリアを伸ばしたいのか、横に伸ばしたいのかをシンプルに考えると良いだろう。縦に伸ばすというのは、Pdmのようにプロダクトや製品のマーケティングマネジャーや責任者を目指すイメージ。横に伸ばすというのは、広告、SEO、CRMなどマーケティングのスキル経験値を横に広げるイメージだ。

    認知から獲得、育成などきちんとマーケティング理論に従って、自分がどういうマーケターになっていきたいのか語れるように準備してほしい。
  3. デザイナー職の場合
    デザイナーもグラフィックデザインからWebデザイン、UI/UXデザインなどいくつかのキャリアパスがある。UI/UXを経験をした後に、デザイナーあがりのPdmとしてキャリアを歩んでいる人もいるだろう。

    クリエイティブを極めていきたいのか、その先の体験まで考えたデザインを作り上げていきたいのか。デザインだけをやっていければよい時代ではない。

    気を付けて欲しいのが、デザイナーは制作会社の場合は社内でキャリアパスは豊富にあるだろう。しかし、事業会社の場合、デザイナーだけで見た場合のキャリアパスは限られてしまう。そもそもインハウスでデザインをしていない会社もあるだろう。

    そのため、キャリアビジョンを聞かれた場合、現実的にその会社の中で達成できそうなキャリアビジョンを語っていく必要がある。そこは注意をしておいてほしい。
  4. 営業職の場合
    やはりシンプルにスペシャリストかマネジメントの2つのパスがあるだろう。スペシャリストの場合は、際立つスキルや業界の深い知識を得て年収を上げていける。マネジメントの場合は、組織マネジメントなどに上がっていく形だ。

    それ以外にも、営業企画などの斜め上のキャリアもあるだろう。経営企画の場合は、営業以外にもITや財務やコーポレート畑の業務知識が要るので難易度は高い。しかし、営業企画であれば現場の知見を活かしながらチャレンジできるので、キャリアビジョン / キャリアパスとしては十分考えられるだろう。

    その他、営業職といっても、商社やメーカーなどの有形営業とソフトウェアや広告などの無形営業の2つがある。それ以外にも数字分析にも強い営業になりたいっといった横に能力を広げる話もできるだろう。

他責思考

他責思考とは、うまく行かない事例が発生した時に他人や周囲の環境などに原因や理由があるとする考え方。他責思考と面接官にとらえられてしまった場合は、高確率で面接は不合格になってしまうだろう。特に注意して貰いたいポイントだ。

他責思考はうまく行かなった時に、自分以外の他人や環境にうまくいかなかった原因を求めようとする。そのため、他責思考になった時点で、改善を求めずより良くしようという発想が途絶えてしまう。

一方で、自責思考の場合は、自分にうまく行かなかった原因を探そうとする。自責思考の方が改善しようとする意志があるし、責任感が強い傾向にある。 自分に責任があると捉えられることから、与えられた仕事に対して最後までやり遂げる意志も強い。

そのため、圧倒的に自責思考の方が選考においては良い評価を得られやすく、他責思考の場合は不合格に繋がりやすい。他責思考と思われないためにも、事例ごとに他責な言い方と自責な言い方を見てみよう。

残業が多い

転職理由の本音毎日終電近くまで働く職場環境で、土日出勤もたまにありとてもではないがやっていけない。
他責な転職理由毎日終電近くまで仕事をし、土日に出勤することもたまにあります。他チームから玉突きで仕事が来るため、会社全体が効率が悪く、生産性の低い職場に嫌気が刺して転職活動をしています。
自責な言い回しこれまで残業も厭わずに働いてきたのですが、どうせ働くのであればもっと効率よく働き、顧客に適切に時間をかけられる職場を探して転職活動をしています。

ぼくが新卒で勤めていた会社も忙しかった。証券会社は朝が早かったし夜遅くまで働いていた。昭和時代の名残のせいか仕事が終わった後に深夜までほぼ毎日飲みに付き合わさせられた。

当時は、遅くまで働くことが嫌だったわけではない。深夜の飲みに費やすエネルギーを仕事に持っていき、もう少しバランスを取りたかった。

ワンマン社長についていけない

転職理由の本音社長がワンマンで、昨日言っていたことと今日言っていることが全然違う。能力がある人よりも、イエスマンを使う社員を重用するので好きになれない。
他責な言い回し今の社長についていけません。自分以外にも社長についていけず辞めてしまう人が続出しており、もっと雰囲気の良い会社で働きたいと思っています。
自責な言い回し会社と同じ方向を向いて働きたいと思って転職活動をしています。今の職場は離職率が高いのですが、できれば離職率が低く、同じ仲間と長く働ける環境を探しています。

実際に社長がワンマンでパワハラチックな人もいるだろう。ブラックな上司が未だに残っている会社もあるだろう。さすがに、直接殴られたなどの行為を受けた場合などの極端なケースは別だが、原則は上司批判は避けた方が良い。

発想を変えて、ワンマン社長がどういう社長だったら良かったのか?どういう職場だったら仕事に集中できたのか?ポジティブな思考に切り替えて話していくと良いだろう。

年収が上がらない

転職理由の本音毎日22:00頃まで働いているが、賞与も出ないし年収も上がらない。物価も上がってきているし、早く転職したい。
他責な言い回しがむしゃらに働いているのですが、1on1の場でも色々話していますが、年収が上がらないため転職活動をしています。
自責な言い回し毎年、目標に対して結果は残しているのですが、評価制度が不明瞭なためなかなか年収が上がりません。透明性のある制度の下で、成果をきちんと評価してくれる職場で働きたいと思っています。

年収が上がらないと不平不満を聞いても、「もしかしたらあなたに原因があるのでは?」と思われてしまう。あるいは、お金しか考えていないと思われてしまっても損だ。

職場の人間関係に嫌気がさした

転職理由の本音結果や売上ばかりを重視する上司と反りが合わない。結果も大事だがプロセスだったり、顧客満足度だったり、もう少しバランスが取れた人の下で働きたい。
他責な言い回し人間関係で嫌なことがあり転職活動をしています。具体的には、プロセスや定性面をあまり評価してくれない上司がいて考え方が合いません。
自責な言い回し現職では、結果のコミットばかりが追い求められて個人主義的な風土になっています。ただ、より高い成果を上げていくにはチームの協力も必要と思っており、協働できる環境を探して転職を決意しました。

人間関係については話す時は細心の注意が必要だ。なぜなら、「人間関係を理由にまたすぐ辞めてしまわないか」「うちの会社でも人間関係でつまづかないか」など思われてしまうからだ。また、建設的な会話が苦手なのかなとも思われてしまう。

上司や合わない人間関係の原因を掘り下げてみて、その土壌に何があるのかを特定しよう。社風なのか評価制度なのか、はたまた別のものか。一歩掘り下げた内容について話して行けば、他責を回避できるだろう。

身だしなみや印象の問題

第一印象も重要な評価基準となる。以下のような点が問題となることがある。

身だしなみの不備

人の印象は3秒で決まると言われ、また過半が見た目で決まると言われている。有名なメラビアンの法則だ。

コロナ以降、オンライン面接は本当に増えた。インターネットやIT系企業は8-9割近く、一次面接はオンライン選考だろう。以前に比べれば、面接での身だしなみはそこまで緊張しないかもしれない。しかし、最終面接は対面の企業も比較的多くあるので身だしなみチェックは怠らずにしてほしい。

寝癖や清潔感などは当たり前の内容だと思うので、転職ギルドではその辺の話は割愛しよう。そして、あえて少し踏み込んだ身だしなみについて触れてみようと思う。

ずばり、固くなり過ぎないことをおすすめしたい。具体的にはリクルートスーツは避けた方が良いと思っている。理由は新卒感が出て、頼りなく見えてしまうからだ。

インターネット系の企業は普段もTシャツやジーンズで仕事をしている企業は多い。そういった会社に(男女ともに)真っ黒なリクルートスーツで、新卒のような雰囲気で臨んでも、カルチャーに合わないのだ。

銀行や証券会社などの金融機関の選考を臨む場合は別だが、その会社のカルチャーに合わせた格好で臨むのが良いだろう。面接の時にも普段の格好(職場での)で臨んでください、とわざわざ書いてくる企業もある。企業としても、普段の自然体の仕事をしているあなたの姿と話がしたいのだ。

スーツが自分の戦闘服だ!というこだわりのある人もいるだろう。それなら全く問題ない。面接だからといって、いたずらに守りに入らず、自分の自然体で臨むことをおすすめしたい。

カメラや音声などの不備

カメラや音声などの問題も時には印象に大きな影響を及ぼす。

電気やガス、水道といったインフラは止まらいことが当たり前。それと同じで、カメラや音声は快適に動いて当たり前で、動かない場合は損を招いてしまう。

電波に関しては祈るのみだが、それ以外の部分はマストで整えよう。下記がオンライン / Web面接時の注意事項だ。

  1. カメラの高さは目線と同じで。
    目線が合っていないと、見上げたり、見下したり不自然となる。
  2. カメラの距離は近すぎず。
    肩くらいは映っている距離が良いだろう。
  3. 背景に気を付ける。
    衣類や洗濯ものなど、生活感が映らないように。
  4. 画面は暗い場合は、照明を購入。
    背景が暗いと印象が悪い。
  5. 周囲の音声を拾わないように配慮を。
    単一指向性のマイクがあるとベスト。スピーカーで音を出し、イヤホンなどを付けないと、音が反響するので注意を。カフェなどでの面接はもってのほか。
  6. カンペは常用は避ける。
    見ると目線が泳いで不自然に映る。逆質問などのポイント利用くらいがおすすめ。
  7. 履歴書・職務経歴書は紙で準備。
    画面上に用意してもいいが、焦る原因となる。画面を2分してそちらに映しておく手もあるが上級者用。
  8. 携帯からのカメラは、原則避ける。
    ITリテラシー低さや自宅環境(パソコンすら持っていない)と変な印象を持たれてしまう。

まとめ

これまで転職ギルドマスターが見てきた面接不合格理由をまとめてみたがどうだろう。改めて大別すると下記7つの傾向がある。

・コミュニケーション上の問題
・スキルや経験のミスマッチ
・企業文化や組織バランスとのアンマッチ
・調査不足
・転職軸 / キャリアビジョン
・他責思考
・身だしなみや印象の問題

これかで面接を受ける人は先回りして学習してほしい。既に面接を受けて該当する不合格理由がある人は、内容を確認して対策を考えよう。

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