転職活動において、志望動機をどう書けばよいか悩むことありますよね。面接官に好印象を与えたい、会社の文化に合った動機を伝えたい、といったプレッシャーを感じることもあります。
しかし、実際には中途採用の志望動機は「シンプル」で「明確」であれば十分です。この記事では、シンプルに志望動機を作成するためのコツをお伝えします。
当コンテンツのポイント
#志望動機の書き方 #中途採用
#できるだけ簡単に #切り口を多数用意
志望動機は10分で作れる
人事や面接官が聞きたいことは単純
志望動機は難しく考える必要はありません。
よく見かける誤解は、「志望動機を聞かれる=自分の深い動機を詳細に説明すること」と捉えてしまうことです。しかし、面接官が考えているのは、もっとシンプルな疑問です。
- ×「なぜ当社を志望しましたか?」(深い動機を期待していると思い込んでしまう)
- 〇「なぜ当社に興味を持ったのですか?」(面接官の脳内の真実)
このように、志望動機は「興味を持った理由」を端的に説明するものです。深く考えすぎず、なぜこの会社に興味を持ったかをシンプルに伝えることが大切です。
面接官の心の声を覗いてみよう
下記の絵は、とある会社の社長の面接シーンです。上の段が社長が聞いてきた内容、下の段が社長の質問をしてきた時の「心の声」を映しています。
どうでしょうか、案外と面接官は呑気な気持ちで志望動機を聞いていると思いませんか?
もちろん、中には問いただすように志望理由を聞いてくる面接官もいるかもしれませんが、多くの面接官は上の図のようなシンプルな心理で志望動機を聞いてきます。
社長の脳内をもう少し覗いてみると、下記のようなことを考えているかもしれません。
・先月に新しい製品を発表したから、それを知って応募してくれたのかな(ワクワク)
・なんでうちみたいな小さな会社を受けてくれたのかな(ワクワク)
・あのTVCMお金かかったんだよな~。やっぱCM効果かな(ワクワク)
・この人だったらもっといい会社受けれそうなのに、なんでうちをうけてくれたのかなぁ(ドキドキ)
社長(面接官)の脳内が分かれば、志望動機の回答作りは案外うまく進むのではないでしょうか。
大切なのは、志望動機が次の会話に繋がる潤滑剤になることです。「なんでうちに興味もってくれたん?」と友達と会話している感覚で考えて行くといいです。必要以上に恐れずに、難しく考えずにいきましょう。
志望動機を書く時の5つ切り口
それでは早速に前置きなしに、志望動機の切り口を書きだしてみましょう。自分の中で、あっ、この切り口なら書けるかもというのを探してもらえればと思います。
尚、書きの例は履歴書に記載する場合を想定して簡素な内容にまとめてあります。あくまで切り口として、捉えてもらえればと思います。
切り口1.『スキルや経験を活かす』
自分の持っているスキルや経験を活かせそうだから応募する、というのは立派な志望動機となります。
この場合は、「自分のどのスキルや経験」が「企業のどの部分」で貢献できそうかイメージすることが大事です。そのためには、求人票の仕事内容や求める経験の読み込み「共通項」を探していくといいでしょう。
下記に、活かせる内容を書きだしてみたので参考にしてもらえれば幸いです。
例:業界知識を活かす
業界知識は志望動機へ繋げやすいでしょう。
世の中、自動車、不動産、飲食、医療、金融、人材、物流・・とさまざまな業界があります。働いていると自分の業界のことしか目に入らないのですが、その業界知識を持っていない人からすればその知識は専門性なのです。
「これまで培ってきた〇〇の業界知識を活かしたいと思い転職活動をしております。御社では〇〇の業界で製品展開をしており、ぜひ自身の知識や経験を活かして活躍したいと思い志望させていただきました。」といった具合で書くことができるでしょう。
例:顧客特性を活かす
顧客特性(規模、業種など)も志望動機へ繋げやすいでしょう。
BtoBの場合は、顧客に大企業が多い、ベンチャー・スタートアップが多い、医療関係が多いなどが顧客特性です。例えば、「これまで大企業(エンタープライズ)向けの製品を多数取り扱ってきた経験があるため、御社でもその経験を活かせると思い応募しました。」という感じです。
BtoCの場合は、F2層、F1層に強い、あるいは、人数などの規模感に触れてもいいでしょう。例えば、「これまで〇〇万人規模のウェブサービスのプロモーションを行ってきた経験があり、御社であればサービスの規模感も合い経験を活かしやすいと思って応募しました。」というイメージです。
例:マネジメント経験を活かす
応募する求人がマネジメント経験を求めている場合は、それを志望動機に変えていくのもいいでしょう。
マネジメント経験を志望理由に繋げていく場合は、評価の有無、チームの部署、人数や業界などにも触れていくとより良くなります。例えば、「物流業界において営業チ〇〇名のチームマネジメントを行い、部下の評価やチームの目標管理を行って参りました。この経験を御社で活かせると思い志望させてもらいました。」という感じです。
例:職種特有のスキルを活かす
応募する職種が自身の経験職種と同じ場合は、活かせる経験がたくさんありますので、ぜひそれを志望動機に繋げてみてください。
もしかしたら、実際に記載をしていくと、前職の経験を活かすのは当たり前すぎて味気なく感じるかもしれません。しかし、活かしたい経験と活かせる項目がきちんと一致していれば問題ありません、
例えば、「(連結決算の企業なので)連結決算の経理経験を活かせると思った」、「(代理店を活用した販促をしているので)代理店営業のノウハウが活かせると思った」、「(医療業界向けの広告を出しているので)医療向けの広告運用経験を活かしたいと思った」という感じで、活かしたい経験がその先と一致していれば、納得の志望動機となります。
切り口2.『共感や憧れ』
共感した、憧れている、というのも立派な志望動機となります。
共感や憧れがあると、企業や組織に愛着を持ってモチベーション高く働けるでしょう。愛着を持って働けるのは、企業にとっても働く社員にとっても双方に有益な状態です。そのため、共感や憧れを持っているから、愛着を持って働けそうという内容で志望動機を書いていくといいでしょう。
下記にを参考にしてもらえれば幸いです。
例:経営者や経営陣の考えに共感
経営者や経営陣の考えなどを見て、共感できるというのは十分な応募動機となります。ただし、「憧れがあるから、感銘を受けたから志望しました」、だけでは志望動機としては弱くなってしまいます。そのため、付加的な書き方にするといいでしょう。
具体的には、「これまでの経験を活かし、〇〇の業界で転職先を探していたのですが、〇〇の業界の中でも御社は代表の考えが分かりやすいと感じております。せっかく働くのであれば、経営者の考えに共感できる企業でモチベーション高く働きたいため、志望させていただきました。」という感じです。
例:サービスや製品への共感
自社のサービスや製品に愛着が持てるのはとても素晴らしいことです。企業側もサービスや製品が良いと言われて嫌な気になることはありません。志望動機に繋げていくのは問題ないでしょう。
例えば、「御社の〇〇のサービスはユーザーから高い評価を受けています。私も同様に好感を抱いており、もしご縁をいただけた場合、愛着を持って仕事ができると思い志望させていただきました。」というイメージです。
製品やサービスへの好感を持てるため、モチベーション高く働けそうという流れで記載していくことで、ただの製品やサービスへの感想とならず志望動機としての文章にまとまるでしょう。
例:クリエイティブに共感
デザイナーを中心としたクリエイティブに関わる方は、クリエイティブへの共感という志望動機もあるでしょう。
実際、デザイナー、ディレクター、マーケティングの転職活動の支援をしていた際、応募したい企業を探す際にクリエイティブの善し悪しが応募動機に繋がることは多々見受けられました。
企業側もクリエイティブの中身をしっかりチェックしてもらえると喜んでくれるはずです。あとは、単にクリエイティブが良かったというだけでなく、クリエイティブのどこが良かったかなどに言及して、志望理由へ繋げていきましょう。
切り口3.『成長やキャリアアップ』
成長できそうだから応募した、というのも立派な志望動機となります。
共感や憧れがあると、企業や組織に愛着を持ってモチベーション高く働けるでしょう。愛着を持って働けるのは、企業にとっても働く社員にとっても双方に有益な状態です。そのため、共感や憧れを持っているから、愛着を持って働けそうという内容で志望動機を書いていくといいでしょう。
下記にを参考にしてもらえれば幸いです。
例:商流を上げられる
システム開発会社や制作会社などに勤めている方で、商流が上げられそうな場合は、それを志望理由とするのもよいでしょう。
例えば、「現職では基本的に2次請け、3次請けの開発案件が過半となっており、商流を上げて仕事をしたいと思って転職活動をしております。その点、御社の場合はプライムがメインとなっているため、転職軸と適うために志望させていただきました。」といった感じです。
プライムだったらどこでも良いの?と言われてはいけないので、追加の理由も考えておきたいところですが、履歴書に書くレベルの場合は十分かと思います。
例:ベンチャー企業で成長できそう
選考を受ける企業が、スタートアップやベンチャーの場合は経営のスピード感に着目して志望動機を書くといいでしょう。
「御社のような早い成長環境の中で働いた方が、早く成長できると思い志望させていただきました。」といった感じです。実際、ベンチャー企業の場合は経営陣との距離も近く、意思決定までの階層も少ないため、成長スピードは早くなる傾向があります。
ただし、上記の書き方だと、他のベンチャーでもよくない?となってしまうので、更に、追加の理由も添えてもらえればと思います。
例:より大規模な仕事にチャレンジできそう
現職が中小企業勤めの人や、未上場企業から上場企業へチャレンジしたい人にとってはおすすめの志望動機となります。
大企業や知名度の高い企業で働く醍醐味のひとつは、仕事の規模感の大きさだったり、影響力の強さだったりします。「御社のような大企業へ転職することで規模感の大きな環境に身を移し、より影響力の高い仕事にチャレンジできると思って志望しました。」というような書き方をするとポジティブな印象を与えることができるでしょう。
例:優れた同僚との切磋琢磨
切磋琢磨できる環境に移りたい、というのも志望動機となるでしょう。
現職には同年代の社員がほとんどいない、あるいは、あまり成長がし辛い環境であるといった転職理由もあるでしょう。その場合、次の会社に切磋琢磨して成長がしやすい環境を求めると言うのは自然な行動となります。
この場合は、採用ページなどでどういった社員がいるのか、どういう組織カラーがあるのかなどを目を通して、魅力的な職場環境そうであれば「切磋琢磨」をキーワードに志望動機を組み立ててみていいでしょう。
切り口4.『チャレンジしたい』
チャレンジしたいという気持ちも、立派な志望動機となります。
チャレンジとは今できないことをできる状態に持っていこうとする前向きな姿勢となり高評価です。ただし、未熟あるいは未経験な状態で挑戦するという形になるため、チャレンジだけを前面に押し出すと、企業にとっては育成負担だけが残ってしまいます。そこのバランスをうまく汲み取りながら志望動機を形成しましょう。
下記にを参考にしてもらえれば幸いです。
例:未経験職種へチャレンジしたい
未経験職種へチャレンジする場合は、それ自体が応募動機に当たるのでそのまま記載します。
ただ、なぜ未経験職種へチャレンジしたいのかその理由、あるいは、未経験だとしても他にアピールポイントがあればそれを記載して、志望理由を作り上げていくといいでしょう。
具体的には、「今回、未経験歓迎という求人を見て応募をさせていただきました。エンジニアの職務経験はありませんが、営業の経験があるので、顧客折衝も得意なエンジニアを目指して御社に貢献していければと考えております。」という感じです。
例:事業会社へ挑戦したい
現職が、SIer、広告代理店、制作会社などに勤務している方で事業会社へ転身を目指している方は、それを志望理由としてよいでしょう。
例えば、「現職はSIer勤務のため、事業会社に転身したいと思って転職活動をしております。その点、御社は旅行のWebサービスを展開しており、事業会社に転身できるだけなく、以前に旅行システムの開発経験もあるため志望させていただきました。」という感じです。
事業会社だから志望しました、という理由だけだと「事業会社ならどこでも良いの?」となってしまうので、プラスアルファの志望理由も添えて作成するとよいでしょう。
例:マネジメントに挑戦したい
マネジメント機会を探している人におすすめの切り口です。
実力や素養はがあっても、現職の組織構成などでマネジメント機会に恵まれなかった方もいるでしょう。ただし、マネジメント経験のありなしは結構シビアに見られます。そのため、企業側もいきなりマネジメント経験がない人にマネジメントポジションは用意しないでしょう。
そのため、なぜマネジメントにチャレンジしたいのかに触れつつ、「すぐにマネジメントができなくともチャンス機会がマネジメントに挑戦したい」というような言い回しで志望動機を伝えていくのがいいでしょう。
切り口5.『転職の悩み解決』
転職の悩みを解決できるからという志望動機もありますが、ここの内容は少し注意しながら書いていきます。
基本的には負の感情やストレスがあり、それを転職で払しょくしたいという内容です。そのため、負ばかりに視点が行き、自分本位の転職動機と捉えられないようにしたいところです。
どうしても志望動機が書けない!と言う場合に、下記の例を参考としてもらえればと思います。
例:給料が上げたい
ぶっちゃけ、年収が上がりそうだからその会社を受けてみた、という志望動機はあると思います。とはいえ、給料が上がりそうだから受けました!とストレートに言うと印象があまりよくありません。
志望動機としては少々書きづらい内容ですが、どうしても記載をした場合は、「公正な評価制度がある会社を探していて、御社であれば頑張った分の適性な評価をもらえそうだったので応募しました。」というような言い回しをすればOKかと思います。ポイントは「評価制度」というキーワードを入れることです。
例:残業が減らしたい
残業が少なそうだからその会社を受けてみた、という志望理由もあると思います。とはいえ、残業が減りそうだから受けました!とストレートに伝えづらいので言い回しを変えていきましょう。
たとえば、「組織全体の負荷が高まっており離職者も多く、職場全体に活気がない状態となっています。社員が生き生きと働いている会社を探していたのですすが、御社の社員紹介を見て楽しそうな職場だと感じて、応募をさせていただきました。」というようなイメージです。
例:業績が安定した環境で働きたい
現職がの業績が不安定だった人にとっては、経営が安定した環境で働きたいというだけでも志望理由へ繋げることは可能です。ただし、安定した会社で働きたい、という理由だけだと弱いので他の理由と織り交ぜるようにしてください。
例えば、「現職では経営が不安定だったため、安定した企業で働きたいと思い転職活動をしております。その点、御社は経営が安定しているこだけでなく、自身の医療業界でのマーケティング経験も活かせるため、志望させていただきました。」という感じです。
例:ブラック企業から卒業したい
現職がブラック企業なので、とにかくホワイトな企業へ転職したい、という志望動機もありますよね。この場合は、本音をうまく隠しながらどうやって伝えていけばいいでしょうか。
例えば、「組織全体の負荷が高まっており離職者も多く、職場全体に活気がない状態となっており転職活動を進めております。その点、御社の場合は組織が活発な状態と推察しており、顧客へ視線を向けて仕事ができそうだと思い志望させていただきました。」という感じです。
できれば避けたい志望理由(経営理念)
経営理念への共感を理由とした志望理由は、できれば避けることをおすすめします。というのは、経営理念は抽象度が高すぎて個人の志望動機を繋げるには難易度が高いからです。
具体例を挙げた方が分かりやすいと思うので、2社の経営理念を引用します。上はサイバーエージェント、下はカルピスの経営理念です。
- 21世紀を代表する会社を創る。
- “魅力と価値のある商品や技術”を提供して、 “心とからだの健康”に役立ち、 社会に貢献できる企業グループを目指します。
書いてある内容はどちらも素晴らしいのですが、志望理由と繋げるには話が壮大過ぎてぼやけてしまいます。面接官からしても、志望動機が製品やサービス、その方のキャリアなどの話題の方が会話を続けやすいです。日々の業務で経営理念の話はしないですしね。
シンプルに経営理念以外の志望動機を考えることをおすすめします。
志望動機はシンプルに、自然に
志望動機に悩むのは自然なことですが、難しく考えすぎる必要はありません。
シンプルに「なぜその企業に前向きな興味を持ったのか」を伝えることで、企業側にも自分の意欲や関心がしっかり伝わります。志望動機の作成においては、完璧さよりも自然さを大切にしましょう。
最後に、下記の例を見て終わりとしましょう。
<いい感じの例>
面接官:なんでうちに関心もってくれたん?
あなた:製品が魅力的なんで興味もったんです。
面接官:え、マジで!?嬉しいな。どの辺が良かった?
あなた:だって見た目がめっちゃかっこいいっすよね。
面接官:嬉しいね。そうなのよ、そこがうちの売りなのよ。
<あまりよくない例>
面接官:なんでうちに関心もってくれたん?
あなた:御社は大企業で安定しているからです。
面接官:あ、、そうなの。なんで安定したいん?
あなた:安定していた方がワークライフバランス取れるからです。
面接官:そか、あんまり仕事好きじゃない・・・?
面接官は友達ではありませんが、友達みたいな会話の雰囲気で考えるときっと自然な志望動機が出てくると思います。がんばってください^^