当記事では、転職時の給与・年収交渉のノウハウをお伝えします。年収交渉はうまくいけばメリットも大きいですが、リスクも伴います。
下手な交渉をしてしまうと、、
「〇〇さんもう来なくていいよ。」
「だったら採用しなくていいんじゃない?」
「他社で高い年収出たの?でも、他社は他社でしょ。」
なんてことを言われかねません。
脅かしてごめんなさい。でも、これらの言葉を見てでも年収交渉の可能性を覗いてみたい人は、記事を読み進めてもらえればと思います。給与・年収交渉の成功率を1%でも高める方法や例文などを具体的に紹介します。
実際、転職時に給与交渉はできる?
可能。だが、成功するとは限らない
給与交渉は可能です。ただ、成功率はあまり高くないです。
筆者のエージェント経験から言うと、年収交渉に応じてくれる企業は半数程度ではないかと思います。あくまで半数が話を聞いてくれるというだけです。そこから、実際に年収が上がるケースはその中の半分程度ではないかと思います。
つまり、年収交渉をして成功する確率は1/4くらいではないかと思います。上がるとしても、若手の場合は月給1万円程度が現実的でしょう。
給与のことしか見ていないと思われてしまうリスクも
タイミングや伝え方を間違えた交渉をしてしまうと、「自分の要求だけする人」と思われてしまい、自身の印象を大きく下げてしまうこともあります。
実際、エージェントとしてそういうシーンはいくつも見てきました。事前に人事に年収交渉ができる余地があるか探りを入れたうえで慎重に交渉を行っても、それでも印象が下がるような事案は出てきます。
年収交渉はリスクと裏腹というのは、頭にしっかり入れてもらえればと思います。
年収ってどれくらい上がるの?
仮に年収交渉に企業が応じてくれた場合、どれくらい年収が上がる余地があるのでしょうか。
世の中、言い値で年収を決めてくれる会社はまずありません。年収の上り幅を知るために、世の中の給与レンジについて理解を深めましょう。下記の図を参照ください。
こちら図のは、左側が職位、3つの色がその職位の中での等級を示しています。そして、等級ごとの年収を記載しています。新卒~第二新までがジュニア、一人前レベルがタレント、部下を持てたらリーダー、その上はマネジャーになるというイメージです。
この図からお伝えしたいポイントは、年収は給与レンジがありそこで決まっているということです。そのため、給与レンジからかけ離れた交渉をしてもうまく行きません。
現実的に交渉を行う場合は、給与レンジを意識して現実的な交渉を心掛けましょう。
年収交渉を行う上での絶対的ルール
年収交渉を行う際に絶対に守ってほしいルールがあります。そのルールに気付いてもらうために、ちょっと下記のシーンを見てください。
年収交渉の例ではないのですが、高い買い物をする際の、値切り交渉の例を用意しました。そして、値切り交渉の言い回しを2つ(A,B)用意していますので、どちらが良いか判断してほしいのです。
おそらく、Bですよね。
Bのポイントは「購入する意思をしっかりと店主に伝えていること」です。これは、年収交渉においても同じことが言えます。
翻って、年収交渉で絶対に守ってほしいルールは、「希望年収が出れば入社する意思がある」という点を伝えることです。入社意思を感じられな人とは、企業も交渉のテーブルに付いてくれないでしょう。
給与交渉をうまくいかせる5つのコツ
どうでしょうか、少しは給与・年収交渉のイメージは付いてきたでしょうか。ここからは1%でも年収交渉の成功率を高める具体的なコツを5つご紹介します。
希望条件が叶えば入社する意思をはっきり伝える
この内容は既にお伝えしましたが、入社可能性がない人と企業は交渉しません。求職者がどれだけ優秀であっても同じです。
「入社したい意志はあります。ただし、条件が見合わないため交渉させてください。」という論法で先方に交渉を持ち掛けましょう。
自分なりに適性年収を考えてみる
年収交渉をするにしても、自分の実力(評価)を客観的に見ることが大事です。
もしも、身近にエージェント経験者や人事がいる場合は、客観的な意見を求めましょう。身近に相談できる人がいない場合は、間違ってでも良いので、自身の年収を客観視しましょう。そして、交渉金額を具体的に決めましょう。
具体的には下記のステップで行います。
<自分の適性年収を考えるステップ>
- 求人票の年収欄をチェック
まずは求人票の年収欄とその周辺状況をしっかりと確認します。求人票によっては、職位ごとの年収レンジが載っています。募集されている求人の年収上限が基本的にはアッパーとなります。 - 同規模クラスの企業の求人をチェック
同じ業界でできるだけ同じ規模の企業で、同じ職種の求人の年収をチェックします。同業界の平均年収をチェックしよう!と書いてあるサイトもありますが、ブレ幅が大きすぎるためもっと細かく見ないと意味がありません。 - 応募職種での業務経験年数を振り返る
強引な区分け(イメージ)ですが、3年未満の場合はジュニア、3-5年程度でタレント、5-10年程度でリーダーレベル、それ以上でマネジャーレベルに当てはめられます。現実的な自己レベルを見つめましょう。
交渉の武器を用意する(他社で提示された年収等)
他社の提示年収を示すことで、給与交渉を有利に進められる時があります。客観的な数値や実績は企業側にとっても分かりやすいため、他社で内定が出ていて条件が分かっている場合は提示しましょう。
ただし、どれだけ他社で良い条件の内定が出ていたとしても、
「他社で高い年収出たの?でも、他社は他社でしょ。」
と言われてしまう可能性は(そこそこ)あります。他社の内定があれば必ず交渉がうまく行くわけではないので、そこは注意してください。
転職活動の状況を隠さず報告する
他社の選考状況があればそれは伝えることをおすすめします。他社の進捗を伝えることで企業側に「今決断しなければならない」という印象を与えやすくなります。
その際、できるだけその会社の社名も記載しましょう。人事も社内で調整がしやすくなるからです。下記のイメージです。
「〇〇社で二次選考に進んでいるのか、優秀だな。」
「〇〇社で選考が進んでいるなら社長にかけあいやすいな」
「〇〇社が〇〇万円出すなら、同業界として負けられないな」
など、いろいろな思考を巡らし社内で調整をしてくれるかもしれません。人事に社内調整をしやすいように武器を渡してあげてほしいと思います。
希望年収を伝える際に感想を求める
希望年収を尋ねられた場合には、事前に自分の希望額を提示するチャンスであるとともに、反応を得るチャンスでもあります。
そのため、希望年収を聞かれた際に、「〇〇万円を希望しています。ちなみに、〇〇万円は高いですか?」と素直に感想を聞いてみてください。年収に関してかなり有効的な回答(反応)を得られるでしょう。
相手がそれなりの立場であれば、率直な感想を言ってくれるでしょう。
注意点として、人事やお偉いさん以外に聞いても反応を得られない、ということを頭に入れておいてください。若手の面接官に希望年収が妥当かどうか聞いても、自分以外の社員の年収を知らないので回答が帰ってこないのです。
給与交渉のタイミングはいつ?
基本的には、給与交渉ができるタイミングは「1.5回」でしょう。微妙な数ですが1.5回で合ってます。
最初の0.5回目は、前述しましたが選考途中で希望条件をヒアリングされたタイミングです。この時は、厳密には年収交渉ではないのですが、希望年収を伝えつつ、その年収が高すぎないかの「あたりを付ける」タイミングとなります。
次のタイミングは、内定後のオファー面談です。雇用条件通知書(オファーレター)を受け取った後に、細かなすり合わせをします。詳しくは、こちらの「劇的にオファー面談が有意義になるたった一つの準備 (^^)/」を読んでいただけるとかなり細かく書いています。
給与交渉の例文とポイント
実際に年収交渉をする際の書き方を例示します。交渉の際は、ただ年収を上げてほしいと伝えるのではなく、入社意思を明記しつつ、年収交渉をしたい理由をしっかりと明記するようにしましょう。
【例文】
〇〇様
お世話になっております。△△です。
この度は、労働条件通知書をいただきありがとうございます。
素直に嬉しく思っています。前向きに入社を検討しているのですが、ご提示いただいた年収500万円について、530万円に変更していただくことは可能でしょうか。希望年収が届けば、ぜひ御社にお世話になりたいと思っています。
勝手な理由なのですが、他社の××社で520万円の提示を受けておりまして、家族からダメもとで御社に相談してみてほしいと言われ、お伺いを立てさせていただきました。
尚、現状下記の他社選考が控えておりますが、希望条件をいただければ基本的に御社のオファーを承諾させていただきたいと思っています。
<他社進捗一覧>
内定企業:御社、××社
選考中企業:××社、××社、××社まだ御社で成果を出しているわけではないのですが、憂いなく働くためにも一度ご検討いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
【ポイント】
①条件が通れば入社したいという意思表示
②年収交渉をする理由を添える
③転職活動の他社進捗を伝える
ポイントの①~③を抑えるのがおすすめです。
以上で「転職時の給与・条件交渉|1%でも成功率を高める5つの方法。」の解説は終わりとなります。
条件・年収交渉はリスクも伴うため、ここぞという時だけの手段と認識ください。それでも、どうしても交渉をしたい時は、当記事を一読して1%でも成功率を高める動きを取ってもらえればと思います。