企業研究は3C分析を
さて、それでは面接対策の一環で企業研究を進めていこう。企業研究には「3C分析」を念頭に進めて行くといいぞ。3C分析って知ってるかな?
さて、転職騎士ともこネコがすごい3Cを並べてきたけども、残念ながら全然違うぞ。3C分析とは、マーケティング分析のフレームワークで、具体的には「Company(自社)、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)」の3つの頭文字を取ったものとなるぞ。
3つのCを分析すると、その会社のことが良く見えてくるというマーケティング手法なんだ。それを、面接企業に当てはめて見てみようというわけだ。本来は自社の経営戦略を考えるときや、新規事業を考えるときによく使われるフレームワークだぞ。なので結構ガチのビジネス思考法と思ってくれて大丈夫だ。
ただ、本気で3C分析をやっちゃうと数時間で済まなくなってしまうからね。3C分析と同じ考え方で受ける会社を俯瞰して見てみよう、というレベルで1社あたり30~60分でもかけられたらOKだぞ。1社1社の分析に何時間もかける余裕はないと思うからね。
■自社(Company)
・どんなサービスを展開しているか
・事業モデル
・経営理念・戦略
など
■顧客・市場(Customer)
・業界の状況
・顧客が求めているもの
・市場の成長性
など
■競合(Competitor)
・どんな競合他社があるか
・競合商品や売れ行き
・競合の業界でのポジション
など
因みに、3C分析は40年以上前に、元マッキンゼー日本支社長で経営コンサルタントの大前研一さんが提唱した手法なんだって。マーケティングのフレームワークで日本発のものがあったなんて、管理人は知らなかったよ。大前研一さんはMBAが取れるビジネスブレークスルー大学院の学長さんでもあるんだ。雑学程度に、知らなかった人は覚えておいてくれたらと思うぞ。
面接対策における企業分析の実例/スターバックス
さて、ちょっと具体例を示しながら3C分析を見てみようか。まずは、ベタ過ぎるかもしれないが、カフェ業界でお馴染みのスターバックスさんの例を見てみよう。転職ギルドの管理人が、自分も面接を受けるつもりでスターバックスについて調べてみるぞ。
内容の正確性については保証しないので注意しておくれ。自分で調べて貰うために、管理人なりに調べる切り口を例示したいというのが目的だ。ただ、管理人なりに調べ始めると結構ガチになり始めてしまって、もはや転職メディアのそれではなくなって来たかもしれない(笑)。
スターバックスにおける「Company」
まず、規模を把握するために店舗数から見てみよう。2024年時点におけるスターバックスの店舗数はなんと圧倒的な1位の1,917店舗。47都道府県で均等に割ったとしても、ひとつの県に40店舗もある計算。2位はドトールで1,021店舗で圧倒的な差が開いている感じだね。
次に、単価なんだけどスターバックスのコーヒーショートで350円、ドトールで250円だった。店舗数は2倍、コーヒーだけで見た場合の単価で1.4倍の差があることが分かったぞ。
そして、決算を調べてみたら下記の通りだったぞ。スターバックスとドトール以外にも調べてみたら、コメダ珈琲の利益率がすごかったので、コメダHDの決算も載せさせて貰ったぞ。
<カフェ業界の3社決算/売上>
・スターバックス コーヒー(2023年)
売上高 2894億円/営業利益 214億円/利益率 7.4%
・ドトール・日レスホールディングス(2023年)
売上高 755億円/営業利益 11億円/利益率 1.4%
※同社決算短信のドトールコーヒーグループの売上より
・コメダHD(2023年)
売上高 378億円/営業利益 80億円/利益率 21.2%
スターバックスにおける「Customer(市場・顧客)」
まずは、コーヒー業界の市場について調べてみよう。飲食やコーヒー業界に無知な管理人だけれども、コーヒー業界の伸びについて調べてみたら面白いことがわかったぞ。全日本コーヒー協会という所が「コーヒー需給表」というデータで国内のコーヒー消費量をまとめているんだ。
それを見る限りでは、国内消費は2016年にピークを打っているようだ。やっぱり、自分でデータを調べてみるというのは良いよね。そのデータソースまで見れた時は満足感があって、つい自慢げに誰かに話したくなってくる(笑)。
次に、スターバックスの顧客についても調べてみよう。同社の顧客はまずは珈琲を飲みたいと思っている人だよね。あとはその中でも、多少値が張ったとしても美味しいコーヒーを飲みたい人や、落ち着ける空間で時間を過ごしたいと考えている人を顧客にしていると考えられる。逆に、短時間の暇をつぶしたい人やビジネスで使いたいと思っている人たちは、あまりスターバックスにとっての顧客ではないのかもしれないね。
スターバックスにおける「Competitor」
直接的競合はやはりコーヒーチェーン店で、「ドトール」「タリーズ」「コメダ珈琲」などの店名を挙げられるよね。一方で、間接的競合として、ファミリーレストランやファーストフード店など。コンビニコーヒーの存在も挙げられると思う。
ただ、スターバックスは日本に初出店以来、ずっと「サードプレイス」という概念を提唱していて、自宅でも職場でもない、第3のリラックスできる場所でありたいと考えて経営をしているらしいぞ。その意味で言えば、カフェやバー、マンガ喫茶、広い意味ではジムや公園なども競合に当たると言えるかもしれない。
3Cの調べた切り口
さて、スターバックスの3C分析をしていたら、もはや転職メディアのそれではなくなってしまったね。ただ、少しでも面接対策の企業研究の調べる切り口は見えてきたかな?ちなみに、ここまで管理人がスターバックスさんの3Cを調べる時間だけで言えば45分くらいだったかな。
- 会社の売上/決算
- 社員数/店舗数/立地
- 業界の中ではどれくらいの規模感か
- どんなサービスを展開しているか
- サービスの単価はどれくらいか
- 所属している業界の伸び率
- 直接的な競合他社はどこか
- 間接的な競合他社はどこか
面接で活かせると思ったこと
調べる過程の中で知った、「サードプレイス」という概念を持ってサービス運営をしていたこと。これを知れて本当に良かったと思っているぞ。スターバックスがただのカフェ屋さんではないということが学べたからね。もともとスターバックスの知識として持っていた、「高級感」「ゆっくりできる」「社員教育レベルが高い」という断片的な情報の上位概念が頭に入ってきたという感じだ。
サードプレイスという概念を知っていなければ、面接の志望動機は本当に品祖なものになっていと思う。スターバックスを少しでも知っている人から見れば、かなり基礎的な分析かもしれないが、珈琲屋さんとしてのスターバックスかサードプレイスとしてのスターバックスの違いに気づくだけでも、本当に大きいよね。
長くなったけど、スターバックスさんの3C分析はこの辺にしておこう。
面接対策における企業分析の実例/タイミー
次の3C分析は、「スキマ時間にすぐ働ける」で有名なアルバイトアプリを手掛けるタイミーさんを取り上げてみたいと思うぞ。タイミーさんを取り上げてみた理由は、従来のアルバイト媒体と違って3C分析がしやすいんじゃないかな?と思って取り上げてみたぞ。
でも、自分の知らない業界を調べるのは大変だね。書き始めて、他の分かりやすくてもっと有名な会社さんを取り上げれば良かったかなと少し後悔をしている所だよ(汗)。間違っていたらかなり恥ずかしいしね。
でも、実際の転職活動では自分の知らない会社・業界をゼロから調べることが多いと思うので、あえて管理人も詳しくないタイミーさんの企業分析(3C分析)を進めてみようと思うぞ。一緒に悩んで考えて行くのが、転職ギルドの良い所だと自画自賛しているので頑張って企業分析していくぞー。
タイミーにおける「Company」
まず、スキマ時間にすぐ働けるをコンセプトにアルバイトアプリを運営しているよね。いわゆる、短期雇用におけるマッチングビジネスを展開している会社だ。ユーザーは700万人を超え、導入企業数は98,000社を突破している。
次に同社のビジネスモデルを見て行こう。同社はアルバイトをしたい人と採用をしたい企業のマッチングビジネスを展開している。そのため、繋ぎ合う2つの着眼で企業の特徴を見なければならない。具体的には下記のような感じだ。
アルバイトをしたい人側のメリットは、履歴書なくてもすぐ働けて、働いてすぐに給料が支払われ、最短1時間から全国どこでも求人がみつかりやすい点。企業側のメリットはアルバイトやパートのスタッフを自社で雇わなくて、必要な時だけその労働力が手に入るという点。
そのほか、タイミーに関しては創業者の「小川 嶺」さんが若くて凄いということも抑えておかないといけないだろう。2024年現在でなんとまだ27歳なんだって。累計の資本調達額は合計約403億円となっていて、普通のベンチャーのそれじゃないレベル。在学中に自作したアプリを投資家に見せて1,200万円の資本調達をして、2019年の22歳の段階では累計で23億円の資本調達をしている。
単純に資本調達額やスピードの速さが凄いということもあるけど、ここから読み取りたいのは、チャレンジ精神旺盛そうな社風という点かな。実際、タイミーが掲げるビジョン(会社として追っている理想像)は下記4点となっていて、資本調達の経緯から予想する社風もそんなに間違っていないかなと考えているぞ。
■理想ファースト
└ 前提にとらわれず、あるべき姿から逆算し更なる高みを目指そう
■オールスクラム
└ 自身の責務を果たすだけでなく、チームや会社の成功にも全力を注ごう
■バトンツナギ
└ できたことは仕組み化し、未来のタイミーを強くしよう
■やっていき
└ 失敗を恐れず、大胆に挑戦し泥臭くやりぬこう
タイミーにおける「Customer(市場・顧客)」
市場に関しては、短期雇用を探している採用市場ということで良いんじゃないかな。2024年2月のパートタイムを含む有効求人倍率は、全国で1.34倍、ただし、東京都で1.85倍、愛知県で1.4倍、大阪府で1.3倍となっていて、東京は人手不足がかなり深刻化しているということが言えると思うぞ。
※厚生労働省の「一般職業紹介状況」のデータを参照。
顧客に関しては、タイミー社のヘルプページから参照してみたぞ。メインの働き手側のユーザー層は20代〜40代、男女比率はほぼ同等。 ワーカーさんのうち、半数以上が会社員やパート・アルバイターが登録者になっているそうだ。 学生や専業主婦(専業主夫)の方も利用しているらしいぞ。採用企業側はホテル・旅館、農業、介護、ブライダル・葬祭、レンタカー、ドラッグストアが多いそうだ。
タイミーにおける「Competitor」
競合他社は思った以上にあったぞ。直接的競合はシェアフル、ショットワークス、ショットワークスコンビニ、スキマワークスといったサービス/企業様かな。間接的競合としては、フリーランス、副業みたいな領域がそれに当たるんじゃないのかな。アルバイトやパートタイムは時間ごとに労働対価を貰うことに対して、フリーランスは案件ごとに報酬も貰う形なので、似て非なる性質を持っている。
転職ギルドマスターなりにタイミーさんのことを調べてみたぞ。タイミーさんはアルバイトアプリを運営しているけど、アルバイトという概念は何十年も前から昔からたくさんあるよね。正確には戦後1950年ごろには既にあったようだ。そういう意味で、従来のアルバイト求人媒体と何が違うのかを意識しながら調べてみたぞ。
もしかしたら、タイミーさんから見たら少し間違った視点もあるかもしれないけど、少しでも面接対策の企業研究の調べる切り口は見えてきたかな?何か一つでも参考になってくれていたらと心から願うばかりだ。
調べた切り口
- タイミーのビジネスモデル
- タイミーのサービス特徴
- 従来のアルバイト媒体と異なる点
- 資本金の調達経緯や状況
- 創業者の「小川 嶺」さんについて
- どんなサービスを展開しているか
- 短期雇用の求人条項について
- 直接的な競合他社はどこか
- 間接的な競合他社はどこか
面接で活かせると思ったこと
タイミーさんのサービスは、採用というマッチングビジネスなので、ワーカーと企業両方のメリットを調べるようにしたぞ。そうすると、ワーカーさんと企業双方のメリットがあるていどしっかり見ることができたぞ。マッチングビジネスにおいてはとても大事な視点だと思うので、これは面接で役立つのではないかな。また、経営者の経歴や起業前の情報を調べたことで、同社の社風みたいなのも想像できたのは良い収穫だったかな。
一方で、ここでは割愛するけど、スキマ(短期)バイトのデメリットみたいなものも調べると結構色々な所に記載があったぞ。無敵に見えるサービスでも、サービス面でポジティブな面とネガティブな面が両方あるということに気づけたの大きかったぞ。そして、思った以上に競合他社も多いことには驚いたよ。あの、メルカリさんもスキマバイトに参入したみたいだしね。これから群雄割拠の時代に突入していくのかな。
短時間ではあるけれども、短時間でいろいろ調べたことはきっと面接の役に立つことと思うよ。面接に受かるためだけでなく、本当にその会社で働きたいと思うかを判断する材料にも繋がるしね。
以上、2つの事例で3C分析を参考までにやってみたよ。複数選考が入っている人は1社に1時間もかけられないとは思うけど、15分でも20分でも良いからどんな会社でどんなサービスをしていて、お客さんはどういう人で、競合他社がどんな顔ぶれなのかを考えて欲しい。きっと、選考を受ける会社に興味を持てて選考を少しでもワクワクしながら受けられると思うぞ。