企業・業界・仕事研究

【地方創生×スタートアップ15選】転職を通して社会貢献しよう

地方創生に関わる転職ノウハウ。

地方創生を通しての社会貢献

地方創生は、日本各地の地域経済や生活環境を活性化させるための重要な取り組みである。地方創生を通じて社会貢献を果たす企業への転職は、個人が自らのスキルや経験を活かしながら、地域社会に貢献する絶好の機会である。

地方創生に関わる仕事は、多岐にわたり、様々な形で社会貢献を実現できる。地方創生への取り組みを理解し、自分に合った転職先を見つけることが、やりがいのあるキャリア形成につながる。

お散歩もこ
お散歩もこ

地方創生のためにパトロールしてくるニャ。

もこちゃん、それは地域パトロールというかただのお散歩よ。

美人事
美人事

さて、もこネコなりに地方創生に意欲を出してくれているようで何よりだ。早速、続きを見ていこう。

社会課題の裏には企業あり

これまで長年、転職エージェントとして何千名かの求職者さんと面談をしてきた。地方創生に関わりたいという人は結構多い。

そして、地方創生に携わりたい人は、動機がはっきりしていて色々な想いを持っていることが多い。実家が地方の事業主で地方の大変さを見てきたため、何等か貢献したいと考えている人もいたし、温泉を周るのが趣味(日本温泉協会の会員)で地方の温泉地の活性化に携わりたい、と考えている人もいた。やりたいことを明確に持っているケースが多い。

問題なのは地方創生に関わる求人は見つけづらいということだ。多くのケースで地方創生に携わりたいけど、企業や求人がみつからないという人を見てきた。

ただ、安心してほしい。地方創生に関わる企業や求人は、探せば案外とある。探す切り口に気付けるかどうかにかかっている。

地方創生、地域創生と一言でいっても実は様々な切り口でアプローチすることができる。地域社会に対して観光からアプローチもできるし、交通からアプローチもできるし、医療や住まいから、食や農業、エンターテインメントまでありとあらゆる角度から働きかけることができる。

下記に地方創生に関わる課題(探すための切り口)とその課題に関わるスタートアップ/ベンチャー企業をセットでを紹介していく。自分で会社や求人を探すときのヒントとしてもらえれば幸いだ。

地方創生×観光支援

観光支援で取り組むべき課題

地域創生と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは「観光」ではないだろうか。地方の大自然や秘境、湧き上がる天然温泉、地元の美味しい食事に地方のテーマパークや美術館。神社仏閣のような文化遺産もあるだろう。

地域創生×観光支援は地方の経済発展や生活環境の向上を目指す取り組みを行う。観光業が発展することで、地域に新たな雇用が生まれ、経済が活性化する。また、観光客が増えることで、地域の魅力が広まり、地方の価値が再評価される。

一般的には、観光振興の評価指標は来訪者の消費金額で現される。消費金額=「来訪者」×「金額」だ。ただ、単純にたくさん人を集めてお金を落として貰えればいいわけではない。域内消費と域内循環が求められる。

能登半島地震でも観光支援ばかりに意識が向いて、観光業以外に携わる人たちにお金が回るのか?という指摘があるが同じ構図だ。こういうバランスをうまく取りながら、地域創生×観光支援は行わないといけない。

観光支援は、観光業は、季節による需要の変動を考慮しつつ、観光資源を維持し、インフラを整備しながら地元住民と共存し観光のプロモーションをかけていく。インバウンドも積極的に呼び込みたい。やるべきことが多方面に渡る、とても大変な課題なのだ。

観光支援で地方創生に取り組む企業

①アソビュー株式会社

本社:東京都 品川区
資本金:資本金10億円(資本準備金含む)
社員数:約200名(2023年4月時点)
上場区分:非上場
事業内容:レジャー・体験予約サイト「アソビュー」を運営。会員数 1,000万人突破(2023年)。

②ベルトラ株式会社

本社:東京都 中央区
資本金:20億7,800万円(2024年3月31日現在)
社員数:約235名(連結)
上場区分:上場(東証グロース)
事業内容:海外オプショナルツアー(アクティビティ)予約サイト「VELTRA(ベルトラ)」の運営。

③vivit株式会社

本社:東京都 目黒区
資本金:4,000万円
社員数:約60名
上場区分:非上場
事業内容:「hinata」を中心とした今話題のアウトドア情報をお届けするサービスを運営。

地方創生×事業承継(M&A)

事業承継(M&A)で取り組むべき課題

地方の中小企業、あるいは日本社会が直面する大きな課題の一つが事業承継である。後継者不足により、多くの企業が廃業の危機に瀕している。

日本全体において、令和7年(2025年)までに、平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人、うち約半数の約127万人が後継者未定と見込まれている。

※引用:中小企業庁作成資料「中小 M&A ガイドライン(令和2年3月) 」より。

通常、事業承継と聞いてもなかなか馴染みがない。M&Aと聞くと新聞やニュースで見るような大企業がに目が行きがちだが、実は社会問題にまで発展している。

円滑に事業承継が行える環境がなければ、まずは地方は経済が停滞してしまい雇用も失われてしまう可能性がある。ひいては、日本全体の経済の循環が悪くなってしまう。政府や自治体もこの問題を認識して様々な手を打ってはいるが、まだまだ課題解決には至っていない。

地方の事業承継に関する領域は、日本経済を支えるレベルで重要な課題だ。参考までに地方事業承継で活躍している企業を少し紹介したい。

事業承継(M&A)で地方創生に取り組む企業

①株式会社バトンズ

本社:東京都 中央区
資本金:1億円(2023年3月末時点)
社員数:66名
上場区分:非上場
事業内容:インターネットを利用したM&Aマッチングプラットフォーム「BATONZ」の運営。

②株式会社トランビ

本社:東京都 港区
資本金:1億円
上場区分:非上場
事業内容:国内最大級の事業承継・M&AプラットフォームのTRANBI【トランビ】を運営。

③株式会社M&Aサクシード

本社:東京都 港区
資本金:1,000万円
社員数:約40名
上場区分:東証プライム企業の子会社
事業内容:ビジョナル傘下の法人・審査制M&AマッチングサイトのM&Aサクシードを運営。

地方創生×医療

医療で取り組むべき課題

「2025年問題」と「2040年問題」が大きくあると言われている。

2025年問題は、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで、国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えることを言う。2040年問題は、団塊ジュニア世代が65歳以上人口の約30%が65歳以上となり、高齢化社会がさらに進むことを言っている。

●医療費の抑制
高齢者の増加とともに、国民医療費は年々増大しており、2025年には約50兆円に達すると予想されている。世代間の負担格差を解消するためにも医療費の抑制は必要だろう。

●医療従事者の不足
高齢者が増える一方で、医療従事者の数は思ったように増えていない。特に高齢者が多い地方の過疎地では、深刻な問題となっている。医療従事者の確保や医療効率などを上げるイノベーションが求められている。

医療で地方創生に取り組む企業

①株式会社MICIN(マイシン)

本社:東京都 千代田区
資本金:3,000万円(2023年12月末現在)
社員数:約120名
上場区分:未上場
事業内容:オンライン診療サービス「クロンオンライン診療」を中心に医療サービスを展開。

②リバーフィールド株式会社

本社:東京都 港区
資本金:1億円
社員数:58名(2023年9月現在)
上場区分:未上場
事業内容:手術支援ロボットSaroa(サロア)等の医療機器研究開発および販売を行う。

③株式会社メディカロイド

本社:兵庫県神戸市
資本金:51億円
社員数:139名(2024年6月)
上場区分:未上場
事業内容:医療用ロボット「hinotori™」を中心に開発を行う。

地方創生×住まい・空き家問題

住まい・空き家問題で取り組むべき課題

高齢化社会が進む日本では、団塊世代の相続が進み空き家が急速に増加している。2033年頃には空き家数1,955万戸、なんと全住宅の4戸に1戸が空き家になってしまうという民間予測もある。適切に管理されず放置された空き家は損傷しやすく危険であることに加え、利活用もされず勿体ない状況となってしまう。

一方で、うまく空き家を活用・リノベーションできれば、古民家としての活用や住宅弱者への提供など色々な形で価値をリバイバルできる。この住まい・空き家問題に取り組んでいる企業を見ていこう。

※出典:2030年の住宅市場と課題 | NRIメディアフォーラム | 野村総合研究所(NRI)

住まい・空き家問題で地方創生に取り組む企業

①株式会社LIFULL

本社:東京都 千代田区
資本金:97億1,600万円
社員数:1,696 名(2023年9月30日現在)
上場区分:東証プライム
事業内容:日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S(ライフル ホームズ)」の運営

②株式会社クラッソーネ

本社:愛知県 名古屋市
資本金:27億7,300万円
社員数:約70名
上場区分:非上場
事業内容:解体工事一括見積サービス 「クラッソーネ」を中心としたサービスを提供。

③リノべる株式会社

本社:東京都 港区
資本金:4億9,083万円
社員数:約280名(2022年12月現在)
上場区分:非上場
事業内容:中古住宅のワンストップリノベーション「リノベる。」などを展開。

地方創生×農業・食糧問題

農業・食糧問題で取り組むべき課題

日本の農業には課題が山積みだ。日本の食料自給率は先進国の中でも最低ランクの38%(2022年)。食料品の半分以上を外国からの輸入品に頼っているいうえに、少子高齢化で農業の担い手も少ない。

そのため、農業や食料の分野ではアグリテック・スマート農業が注目されている。農業は地域経済の重要な柱であり、地方創生の一環として多くの取り組みが行われている。しかし、農業には難しい下記のような課題が存在する。

  1. 高齢化と労働力不足
    日本の農業は高齢化が進んでおり、農業従事者の平均年齢は約67歳と非常に高い。この高齢化に伴い、農業を支える若い世代の労働力不足が深刻な問題となっている。若者が農業に参入しない理由として、収益性の低さや厳しい労働環境が挙げられる。
  2. 耕作放棄地の増加
    高齢化と労働力不足の影響で、耕作放棄地が増加している。耕作放棄地は、農地の生産性低下を招き、地域の経済に悪影響を及ぼす。また、放棄された農地は環境問題にもつながるため、早急な対策が必要である。
  3. 収益性の低さ
    日本の農業は収益性が低いことが多い。高齢化や労働力不足に加えて、市場競争の激化や農作物の価格変動が影響している。収益性を向上させるためには、効率的な農業経営や付加価値の高い農産物の生産が求められる。

これらの課題を克服するために様々なスタートアップや新技術が登場している。農業×地方創生における課題を整理しそれに取り組むスタートアップを紹介する。

農業・食糧問題で地方創生に取り組む企業

①株式会社雨風太陽

本社:岩手県 花巻市
資本金:5億9,500万円
社員数:約60名
上場区分:東証グロース
事業内容:日本最大級の産地直送通販「ポケットマルシェ(ポケマル)」を運営。

②リデン株式会社

本社:東京都 新宿区
資本金:1億1,500万円
社員数:未確認
上場区分:未上場
事業内容:農業作業記録アプリ「agmiru(アグミル)」の運営。

③AGRIST株式会社

本社:宮崎県 児湯郡
資本金:1億円
社員数:未確認
上場区分:未上場
事業内容:AIを活用した農業自動収穫ロボット等の開発。

地方創生とキャリアは繋げられる

地方創生と一言でまとめてしまうと何に貢献できるか見えづらい。自分のスキルや経験もどう生かして良いかわかりづらい。しかし、地域の課題を自分でも理解ができる生活レベルで見てみよう。いろいろな問題が見えてくるはずだ。

自分のスキルや経験を活かせる分野で貢献することが、持続可能な地域社会の発展に繋がる。多岐にわたる地方創生の取り組みを理解し、自分に合った転職先を見つけることで、やりがいのあるキャリアを築くことができる。

漠然と「社会貢献」、「CSR」などといったキーワードで企業を探すのではなく、日本社会の課題から逆算して企業を探そう。そうすることで、求人は飛躍的にみつけやすくなるし、自身との繋がりも見えてくるはずだ。

地方創生を通じて、より良い社会を作る一翼を担うことができるのは、大きな魅力である。

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