人材紹介業の特徴
この記事では、人材紹介で働く魅力を伝えていければと思う。これから人材紹介/転職エージェントで働くことを検討している人、あるいは、現在働いているけれどもモチベーションをうまく保てない人に少しでも参考になればと思う。
ぼくは10年超、人材業界で揉まれて来たからね。人材紹介の魅力をリアルに解説していくよ。
もこも人材紹介のお仕事やってみたいニャ。なにが楽しいか教えてくれニャ。
人材紹介のビジネスは転職の仲介 / 斡旋にしかすぎず、採用の中間コストがかかるだけなので不要な業態と言われることがある。また、AIにとってかわれるのでは?と揶揄されることもある。
しかし、エージェントがいてこそ生み出せる価値がたくさんある。実際、人材紹介を通じて転職する人/採用する企業が増えており、まだまだ伸びていく業界と思われる。どういった点にやりがいがあるのか、実際に人材業界で10年超働いていた筆者が、その内側を解説していく。
早速本題に入ろう。人材紹介会社で働く醍醐味を知るためにも、まずは人材紹介会社の特徴から見ていこう。
未来創造とパートナーシップの文化
人材紹介業の文化を表すとどういう表現が適切だろうか。転職ギルドでは、「未来創造とパートナーシップの文化」ではないかと思っている。
転職というのは企業と求職者のマッチングで生まれる、雇用の創出だ。企業は中途社員の力を借りて、会社の未来を作っていく。求職者は新しいキャリアを通して人生を創り上げていく。未来の創造がビジネスの本質といっても過言ではない。
また、人材紹介という仕事は絶えずパートナーが存在する。社外においては企業の人事とRA、求職者とCAがパートナーを組む。社内においてはRAとCAがパートナーを組む。一人では人材紹介はできない。
パートナーと協力しながら企業の成長と求職者の未来を創っていくのが人材紹介なのだ。とてもワクワクする文化を持っている業界だと思っている。
2つの顧客の存在
人材紹介の特徴で外せないのが、2つの顧客がいるということだ。具体的には、企業と求職者という顧客だ。2つの顧客を相手にするのは珍しいのではないだろうか。
企業からは求人を貰い、要件にあった転職希望者の紹介をする。求職者からは転職したいという要望に沿って、希望に合った企業の紹介を行う。厳密には、採用が決まった時点で企業からお金を貰い、求職者からはお金を貰うわけではないので、顧客は企業になるかもしれない。しかしながら、実態としては採用をしたい企業と転職したい求職者の双方が顧客になる。
2つの異なる顧客を抱えるという本質を理解することは重要だ。企業の利益と求職者の利益、双方を両立させないといけないからだ。
2つの顧客の異なる要望を満たすために、人材紹介では日々悪戦苦闘をすることになる。2つの顧客があるという特性が、人材紹介のビジネスを難しくもしつつ、やりがいを生み出す源泉ともなっている。
RA、CAの異なる仕事の役割
人材紹介は、企業と求職者に対してサービスを提供しなければならい。企業側も求職者側もゴールは「採用(転職)」なので同じなのだか、提供すべきサービスは異なる。そのため、社内の組織(機能)構造は大きく分けてRAと呼ばれる人たちとCAと呼ばれる人たちに2分される。
RAとCAで役割が異なるのが、これまた面白い。RAは企業の代理人の立場であり、CAは求職者の代理人の立場にある。同じ採用(転職)というゴールに向かっているはずなのに、視点や立場が異なるだけで、仕事の見え方がまるで変るのだ。
例えば、年収を安く採用したい企業と高い年収で転職したい求職者がいるとする。お互いを納得してもらうにはどうすべきだろうか。人材紹介はこのような事案と向かいながら、最適解を探していく楽しみがある。
RA(リクルーティングアドバイザー)の役割
採用する側の企業の立場に立ちサービスを行う。求人の採用要件に応じて、最適な人材を紹介を行う。具体的には、企業との連絡を密にして求人の作成、候補者の選定・紹介、面接の調整、採用に関する(企業への)アドバイスなどを行う。
CA(キャリアカウンセラー / キャリアコンサルタント)の役割
求職者の立場に立ちサービスを行う役割を行う。カウンセリングを通して、求職者のスキル、経験、希望条件を理解し、それに適した求人情報を紹介する。履歴書や職務経歴書の作成支援、面接対策のアドバイスも行い、求職者が理想の職に就けるようにサポートする。
人材紹介会社で働く魅力
さて、ここからはCA/RA別に仕事の魅力を見ていこう。求職者を相手にするCAと企業を相手にするRAでは、仕事の中身からして異なるため、やりがいや醍醐味もまるで異なってくる。
少しでも共感できる魅力があり、人材紹介に興味を持ってもらえれば幸いだ。これから選考を受ける人は、志望理由のヒントとしても使ってもらえたらと思う。
CA業務のやりがい / 魅力5点
1.求職者の人生に影響を与えられる点
転職というのは、その人の人生の分岐にあたる。こちらからの紹介する求人やサポート次第で、その求職者のキャリアアップや夢の実現に貢献できる。他の仕事ではなかなか味わえない、人材紹介ゆえの魅力であり醍醐味だろう。
本人がキャリアビジョンをしっかりと持っている時は、その実現に向けての伴走。持てていなくて、迷っている時は、キャリアビジョンの見直しからお手伝いをする。
転職活動は想像しているほどに簡単にはうまくいかない。書類選考の通過が悪い時は、履歴書・職務経歴書の作成から手伝いをする。面接の不合格が続いて、求職者が自信をなくして気持ちが揺らいでしまうこともある。そういった時は、不合格理由と向かい合い、面接対策をすることもあるだろう。
こちらの持ちうる限りの情報や経験を駆使して転職のサポートを行う。少しでも本人の希望に近い転職ができれば最高だ。
2.人材マッチングの奥深さを味わえる点
働く魅力のひとつに、人材マッチングの難しさも挙げたい。マッチングとは、簡単に言うとその求職者に合った求人を紹介することだ。
筆者は一貫してIT専門エージェントで働いてきた。ITに関わる人たちはプログラミング言語だったり、デザインだったり、マーケティングだったりでわかりやすいスキルを有している人たちが多い。一見すると簡単そうなITの人材マッチングであっても、採用要件を正しく理解し、求職者の要望に沿った求人を案内することは簡単ではない。
そもそも、求職者本人が自身のスキルを正しく把握していないケースもあるし、概念化スキル(コンセプチュアルスキル)と呼ばれるような目に見えないスキルもある。時に、企業側が自分たちの採用要件を分かっていないケースがあったりもする。求職者の要望が高すぎるケースなんかもある。
マッチングはこれらさまざまな因子を考え抜いて、企業と求職者が結びつくように考えなければならない。難しいからこそ、探求しがいがあるのだ。
3.課題の抽象化と言語化スキルが磨かれる点
求職者と面談をしていると、課題の抽象化と言語化スキルが磨かれる。
自分のことを棚に上げさせていただくが、自分のことをうまく話せない求職者は実に多い。なぜ転職したいと思っているのか、これまでどういう職務経験をしてきて、自分のどこがストロングポイントでどこがウィークポイントなのかうまく話せない。
言語化スキルは、転職エージェントの仕事をし始めて一朝一夕で身につくものでもない。しかしながら、CAとして経験を積んでいくと、本人の本当の要望やスキル・経験などをうまく言語化できるようになってくる。本人が気づいていないスキルや能力をみつけようものなら、求職者から絶大な信頼を得ることができる。
また、求人の提案を行うときはその紹介する企業や求人のことを魅力付けて話す必要がある。この求人紹介を通すことで、わかりやすい説明能力が一段と磨かれる。
4.企業や関連する業界に詳しくなれる点
CA業務はさまざまなことにアンテナを立てていなければ務まらない。
面談を行う際は、その求職者の職種や所属している業界についての精通も求めらえる。求人を紹介する際は、その求人企業についてだけでなく、業界知識なども有しておく必要がある。自分よりも知識が浅く、仕事や業界のことをを大して知らないキャリアカウンセラーに信頼は寄せてもらえないだろう。
それゆえ、CAは日々、さまざま情報のインプットが求められる。絶えず、最新のトレンドやニュース、最新の採用ニーズや企業の動きなどを頭に入れ、求職者の期待値を超えていく必要がある。
その代わり、自身が知識を蓄えるほどに信頼を置いてもらえるようになる。企業や業界について詳しくなれるのは、CA業務の醍醐味と言えるだろう。
5.多様なビジネスキャリアを持った人と会える点
医師専門、看護師専門などの職種特化型の人材紹介もあるが、多くのエージェントでは多様な職種の方と会うことになる。職種だけでなく、性別、年齢、役職など多岐に渡る人たちと会えるのがCAの魅力のひとつだろう。
時に、自分よりも社会時経験や能力などが高い人たちと会えることも多々ある。人材紹介を始めて最初の内は、エージェントとしての経験は浅い。そういった時期に、求職者の方がビジネススキルが高いような際は、かなり緊張をしながら面談をリードすることとなる。
人材紹介は多様な職種、経験値の人と会うことができる。求職者へリスペクトを持ちながら仕事をしていけるだろう。
RA業務のやりがい / 魅力5点
1.企業の成長に関われる点
RA業務の一番のやりがい、魅力は、企業の成長に関われることだと言える。
企業はたった一人の優秀な社員が入るだけで、一気に成長することがある。自分が紹介して入社した社員が、いつしかその会社の中枢で仕事をしているようなこともある。同じ会社に複数人の採用実績を出すことで、組織がどんどん強くなっていく。
企業の人事と信頼関係が増してくると、企業側から採用に関する相談が持ちかけられる。相談内容は、選考オペレーションの見直しから、採用ブランディングの仕方、母集団の集め方から、惹きつけの方法までさまざまだ。
関わるステージもさまざまだ。社員が10名レベルのスタートアップの時期から、数十名、数百名、あるいは上場ステージまで、いろいろなでステージがある。そして、そのステージごとにアドバイスの内容も変わる。
自分の頑張り次第でクライアントの成長角度が変わると考えると、RA業務のやりがいは無限大に広がっていくだろう。
2.世の中のトレンドをキャッチしやすい点
RAは担当クライアントと定期的に採用の打ち合わせをする。その際、人事だけでなく現場の社員や役職者の人たちと採用について打ち合わせを行う。
打ち合わせの際は、その企業の最新の取り組みや、業界のことについて最新の情報を仕入れることになる。競合他社との比較情報なども得ることになる。つぎつぎと最新の情報が入ってくる。
そのため、RA業務で熟練が増してくると、担当している業界のトレンドなどに敏感になってくる。新聞やニュースで知る情報の実際の生の話を、打ち合わせの際に、人事やその会社の役職者などから聞くことになる。スタートアップやベンチャー企業を担当する場合は、商談時に資金調達やIPO(株式公開)の情報を聞くこともあるだろう。
RAはビジネスの臨場感を感じとり、時代の最先端を追いかけていくことになる。
3.ビジネススキルの向上ができる点
RAはCAと違い、法人との対応となるためビジネススキルを磨きやすい。
人材紹介契約を結び、転職決定後は成功報酬のやり取う。CAの場合は、原則お金のやり取りはない。そのため、CA専業の場合はビジネスという感覚は持ちづらいが、RAをしているとビジネスをしている感覚をしっかりと持つことができる。
また、採用の商談を行う際に、クライアントの代表が出てくることもしばしばある。相手が相応の方だとやはり緊張する。インターネット企業界隈では、オンラインで商談を行うことが主流となり、先方に出向くということはほぼなくなった。もしも対面で商談となった際はかなり緊張するだろう。
そして、商談準備も入念に必要だ。初見の場合は、相手の企業を調べニュースリリースなども調べる。こちらのエージェントとしての紹介実績なども用意しておく。データの取り扱いスキルも向上する。
これら一連の対応を通して、RAはビジネススキルを磨くことができることだろう。
4.長期的な信頼関係の構築ができる点
CAとの対比となってくるが、RAの場合は顧客と長期的な関係を構築できる点が魅力だ。
CAの場合は、求職者が転職が無事決まると基本的にはそこでサービスは終了する。転職活動は一過性ゆえに、CAと求職者の関係は、一期一会の関係の方が圧倒的に多い。
一方で、RAの場合は採用が決まってもまだ次がある。1企業1名ポジションのみの採用ということはあまりない。逆に、1名採用が決まると、関係が強固になり二人目、三人目と累積して採用決定が生まれやすくなってくる。
最初は、クライアント企業の人事担当者かアシスタントとの関係しかないかもしれない。しかし、関係を構築するごとに人事部長や役員、代表と上のレイヤーの人が出てくる。クライアントから真っ先にファーストエージェントとして指名して貰えるようになれれば、RAとしての最高の境地に至ったと言えることだろう。
5.人事とパイプ(人脈)ができる点
長くRAをしているといろいろな会社に人事を通したパイプ(人脈)ができる。
人材業界は村社会で狭い。懇意にしていた人事が退職したけれども、次の会社へ人事として転職し、そこで再度繋がりができるということもしばしばある。あるいは、仲良くなった人事から、採用に困っている別の会社や子会社などを紹介して貰うこともある。
繋がりが大事にされる業界なので、RAとして信頼を貯めていけると、新しい取引先の開拓で新規営業をするということはほぼなくなってくる。人事と太いパイプができると、その会社とはよほどのことがない限り取引が途切れることもない。
また、人事と仲良くなっておくと、その後、その会社の人事をしないか?とクライアントから誘われたり、業務委託での採用の手伝いを打診されたりと、その後のキャリアにも繋がっていく。
太く長く仕事をしたい、信頼関係を大事にしながら仕事をしたいという願望を持っている人には、人材紹介のRAはうってつけの仕事ではないかと思う。
人材紹介会社で働く3つの辛さ
雇用の斡旋という限界を感じる点
人材紹介業は「雇用の斡旋」でしかないため、影響範囲が限られている点で辛く(物足りない)感じる時がある。自分たちで新しい価値を生み出すわけではないのだ。職業紹介という大きな枠組み以上のサービスは難しい。
証券会社が株式に関わる業務を主に取り扱い、銀行が融資や預金に関わる業務を主に取り扱っているように、人材紹介は職業紹介の範囲からなかなか出づらい。転職支援の実績を積めば積むほど、「仲介」という仕事の性質に縛られることになる。
CAとして力量を積めば、求人紹介や面接支援だけでなく、人材育成的な観点でコーチング寄りのアドバイスをすることもあるだろう。RAとして力量を積めば、採用コンサルのような形でバリューを発揮することもあるだろう。
ただ、本質的には仲介ビジネスなので雇用創出以上の価値を出しづらいのだ。その結果、長く人材紹介の仕事をしていると、ふと自分が残してきた成果に懐疑的になってしまうことがある。自分なりに人材紹介のやりがいを見出していくことが求めらえるだろう。
覚えること / やるべき仕事が多い点
人材紹介はストレートに言って、忙しい。一部の天才肌のエージェントを除けば、暇な人材紹介会社などないと断言できる。そもそもで、企業と求職者という2つの顧客がいる。その時点で、顧客対応は2倍あるのだ。
表現は不適切かもしれないが、求人と求職者という2つの仕入れからしないといけない。RAは企業と商談をし求人を仕入れて、求人を作り、進捗の進行を勧めなければならない。CAはスカウトをして、面談をして、履歴書・職務経歴書を作成し、面接対策もしなければならない。
求人を覚えるために企業のことを研究し、企業だけでなく業界ニュースもチェックしなければならない。一人に求職者に10社企業を紹介する場合は、10社調べる必要がある。毎月、取引先が10社増える場合、10社新たに企業や求人のことをインプットし、求人票を作らなければならない。
人材紹介ビジネスに関わった場合、永遠とこれらの情報インプットやタスクに追い回される。楽して人材紹介はできない。コツコツとインプットができる人にしか向かない職業と言える。
夜遅くまで働くことが多い点
人材紹介ビジネスに携わる場合、「夜遅くまで働くことが多くなる」のは避けられない。こればかりはどしようもない。
人材紹介業は「人」を相手とする。昼間は求職者は働いている人が過半のため、面談も連絡も、面接も夜に集中する。今はオンラインが発達していて、以前よりも昼間に面接や面談が入ることも多いが、7-8割がたは夕方以降の時間に顧客対応業務が入る。
夜型になるのはRAもCAもどちらもだ。夜に面接が行われると、RAは夜に人事とコミュニケーションが発生するし、CAは夜の面接後に求職者と面接所感などを確認することとなる。
面接は20:00開始まで行うことが多いため、面接終了を待って人事や求職者と連絡を取り終わると時間は余裕で21:00を過ぎる。そこからあと後片付けをすると、デフォルトで22:00退社ということになってしまう。
独身の場合は夜型のライフスタイルも良いかもしれないが、家庭を持っている人は夜型スタイルで家庭の理解を得られるか慎重に確認してほしい。1,2年頑張ればいいというわけではない。きちんと構造を理解したうえで、長く働ける余地があるかを確認してほしい。
人材紹介会社で活躍している人の特徴
ここまで、人材紹介会社で働く魅力と辛さを見てきた。
比較的夜遅くまで働き、忙しいという弱点はある。ただ、それ以上に魅力的な点も多々ある。上には書いていないが、人材紹介はうまくいけば年収は高くなる。年収1,000万円プレイヤーも十分に目指せられる。
夜はもこの元気な時間なので問題ないニャ。毎朝4時に起こしてあげるニャ。
もこちゃん。毎朝4時に起こすの勘弁してちょうだい。寝不足になって困るの。。
人材紹介は、転職が無事決まった場合、成功報酬で転職者の年収の30-50%程度を企業からいただくことができる。年収が500万円の人が転職決定すると成功報酬は150-250万円程度になる。軽自動車が1台売れると約50万円程度の粗利と言われているから、高単価なビジネスだと分かるだろう。
それゆえ、腕のいいエージェントはコンスタントに年収1,000万円を超えるような人も出てくるのだ。どういう人が人材紹介会社で活躍しする傾向があるか見ていこう。
継続した努力ができる人
どのような業界や職種にも言えることがかもしれないが、人材紹介では特に「継続力がある人」が成功しやすい。
既にふれた通り、人材紹介は覚えることやタスクが多い。企業と求職者双方に対応をしないといけないため、インプットすべき情報も多岐に渡る。自分より知識がない人の言うことを聞いてくれる求職者もいないであろう。それゆえ、勉強し続けないといけない。
筆者が見てきた範囲で言うと、継続してインプットをし続けられる人は高い確率で成功を収めているように思える。人材紹介はマラソンに例えられることがしばしばある。短距離みたいにガーっと気合を入れたり、センスや人当たりの良さだけで成果が出てくるものでもない。
コツコツ積み上げることが得意な人は、人材業界に向いている。
御用聞きではなく、提案ができる人
人材紹介は御用聞きだけではなかなかうまく行かない。御用聞きというのは、求職者の要望をそのまま聞いたり、求人企業の採用要件をそのまま受け取ったりすることだ。
時に求職者は、自分のスキルや経験から遠くは離れた希望を伝えてくることもある。こちらは、経験則からその希望が無茶だということはわかっている。求職者へその希望が通りづらいことをうまく伝え、代替え案を提案しないといけない。
時に企業は、採用市場の常識から外れた要望を出してきたり、採用が進まない明確な理由があるのに気づいていなかったりする。そういう時はデータなどを見せながら、求人の採用要件を下げてもらったり、ボトルネックになっている選考フローを変更してもらったりするように提案をしなければならい。
人材紹介はどうしても「人」を相手にするので、相手の心情を考えてしまい、本当はこうしたらいいのになということでも言えなくなってしまうことがある。しかし、そういう時にこそ、心を鬼にしてボトルネックの部分をしっかり指摘し、アドバイスしなければならない。
御用聞きではなく提案ができる人は、人材紹介で高い成功を収められることだろう。
人も企業も好きな人
人材紹介で高い成功を収めるには、人も企業も両方好きになれることが条件のひとつになるだろう。
人材紹介はCA(キャリアカウンセラー / キャリアカウンセラーコンサルタント)の方が寄り添いのイメージがあるせいか、CA偏重になりがちな人が多い。しかし、RA(リクルーティングアドバイザー)の役割あってこそ、CAが活きるということを忘れてはならない。
求人は企業から貰うので、RAの業務をきちんと回せなければ人材紹介は成り立たない。RA/CA両方のバランスを取らないといけない。
「人とキャリア」と「企業と組織」、両方に対して同じくらい情熱と関心を持てるようになれば最高だ。求職者の希望を優先するのではなく、企業の採用ニーズや要件に耳を傾け、バランスをとる。
CAの方が好き、RAの方が好きとどちらか一方に強い偏りが出た場合は、どこかで歪が生じる。人と企業のマッチングが人材紹介なので、両方に関心を持てることが、人材紹介で成功する条件だと言えるだろう。
人材紹介会社で働く魅力と辛さのまとめ
人材紹介は企業と求職者の未来を一緒にパートナーシップを組み、未来を創造していく。
RA(リクルーティングアドバイザー)とCA(キャリアカウンセラー / キャリアコンサルタント)に役割を分かれ、企業と求職者の代理人として雇用創出に向けた仲介を行っていく。企業の採用を人事と共に考え、企業の成長を支援していく。求職者と並走しキャリアビジョンを一緒に考え、その実現に向けた支援を行っていく。
自分たちのアドバイス次第で、企業の成長角度が変わり、求職者の未来が変わりうる。人材紹介は責任重大だが、やりがいに満ち溢れた仕事なのだ。