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【IPO企業×先回り転職情報】知育アプリ「ごっこランド」のキッズスター

知育アプリ「ごっこランド」のキッズスター

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当記事では、IPO(上場)を予定している企業の魅力をリサーチし、転職やキャリアに役立ててもらうための情報を発信します。

企業にとって上場はゴールではなく通過点です。この先、更に成長して有名な企業へ変貌するかもしれません。そんな金の卵をちょっとでも早くに知ってもらうために企業を調査し、解説していきます。

株式会社キッズスターの会社概要

キッズスターのトップ画像

会社概要と業績

企業名:株式会社キッズスタ
本社:東京都 渋谷区
資本金:資本金9,000万円(IPO前)
社員数:約57名(2024年7月時点)
上場区分:東証グロース(予定)
事業内容:ファミリー向けデジタルコンテンツ事業
上場予定日:2024年9月26日(木)

■決算情報(単体)

会計年度 売上高 昨年との比較 営業利益 昨年との比較
2019年12月期 251百万円 --- 51百万円 ---
2020年12月期 425百万円 +69.3% 72百万円 +41.1%
2021年12月期  478百万円 +12.4% 92百万円 +27.7%
2022年12月期 564百万円 +17.9% 104百万円 +13.0%
2023年12月期 764百万円 +35.4% 155百万円 +49.0%

事業内容

株式会社キッズスターは、2013年5月より同社の主力サービスである「ごっこランド」の配信開始をしている、知育アプリの運営企業です。

子どもの夢中に寄り添い、育て、活性化することで、子どもの成長をサポートしていくことを目的として、「子どもの夢中を育て、応援する」をミッションに掲げています。インターネットメディア事業として、主にファミリー向けデジタルコンテンツの開発及び提供をしています。

3つのサービス内容

ごっこランド

「ごっこランド」は、配信開始以来、累計700万のダウンロード数を記録し、かつ、月間のプレイ回数は2,000万回を超える多くの子育て世代(ファミリー)に、利用されているサービスです。

Google PLay公式
iOS公式

子どもたちが大好きな“ごっこ遊び”を通して、インタラクティブに“社会のしくみ”が学べる無料の社会体験ができるのが特徴です。 子どもユーザーの利用を無料とする一方、企業・団体から、出店料を収受しています。

<企業の出店数>
「ごっこランド」にコンテンツを提供する企業の出店数は、2024年6月末において78店に及んでいます。出店企業は、(執筆時点)はぼろもフーズ、アート引越センター、白洋舎、QBB、ファイザー、サントリーなどそうそうたる企業となっています。

<「ごっこランド」のリアル展開>
スマートデバイス向け社会体験アプリのリアル展開の第1弾として、2024年7月から、大規模なモールや商業施設におけるファミリー向けイベント「ごっこランドEXPO」を開催しています。アプリで慣れ親しんだ世界観をリアルで再現することで、子供の体験をさらにリアルに広げています。

ジモトガイド

「ジモトガイド」は、2021年4月より社会体験アプリ「ごっこランド」内の新設カテゴリーとして開始されています。

「地域の魅力を発掘し、その素晴らしさを認識することや、子どもたちが地域への憧れや住んでいる街に誇りを持つことで、地域の活性化へ繋げていきたい」という想いが込められた、子ども目線で見つけた地域の魅力が詰まったデジタルガイドブックを提供するサービスとなります。

動画を再生するように、自動でナレーションが再生されてページ送りされる仕様で、まだ文字の読めない子どもでも楽しむことが可能です。本サービスは、掲載する各地方自治体や地場の協賛企業から、掲載料を収受するビジネスモデルとなります。

<各都市ガイドの例(プレスリリース)>
神奈川県横浜市のジモトガイド
広島県呉市のジモトガイド
山口県下関市のジモトガイド

サービスデザイン(受託事業 / 開発支援)

「サービスデザイン」は、同社がこれまで培ってきた子ども向けアプリの企画・開発のノウハウを、顧客である企業に対して提供することで、企業が持つコンテンツ資産の活用を一気通貫でサポートするサービスとなります。いわゆる受託事業です。

具体的には、各企業キャラクターのアプリ化、企業独自のアプリ展開、スマートデバイス向けコンテンツの受託開発等の開発支援、PoC(試作開発)支援を行っています。本サービスは、共同開発パートナーや顧客との間において開発支援契約等を締結し、収益を得ています。

なお、2023年12月期の決算ではサービスデザインの売上は101,690千円となっており、全体の売上の13.29%を占めています

キッズスターの7つの魅力

1. ごっこランドがとにかくおもしろい

ごっこランドは簡単にスマホからDLできますので、よければぜひ試してみてください。

見た目はカジュアルで、雰囲気は桃太郎電鉄のようなポップな感じで、音楽は平和そのものですがなんとなくワクワクを駆り立てます。子供の好奇心をくすぐるアプリですが、大人もつい遊んじゃう無邪気さを感じさせるものとなっています。

試しに、はごろもフーズのページでシーチキンを作ってみたのですが、音声ガイダンスに誘われてついつい最後まで作ってしまう気楽なUXになっています。ユーザー(お子さん)、広告主の企業ともにWin-winな知育アプリになっていると言えるでしょう。

2. 社会貢献性(SDGs)の高さ

キッズスターは非常に社会貢献性の高いサービスを提供している企業です。実際、「誰一人取り残さない」教育環境をつくるというスローガンを掲げ、教育領域におけるSDGsの取り組みを行っています。

・企業・団体とパートナーシップ組み、社会を学べるサービスを提供
・SDGs達成への取り組みを楽しく学べるコンテンツ化して発信
・お手元のスマートフォンで「いつでも・どこでも・だれとでも」
・「消費者教育の実現」「原体験を通じた、未来の消費者育成」

また、ジモトガイドでは地方活性にも繋がる事業を行っており、教育と地方活性という2点において、社会貢献性の高い事業を行っています。

社会貢献性が高い分野はマネタイズがなかなか難しい領域も多いのですが、その点、キッズスターのサービスは社会貢献とマネタイズのバランスがうまく取れた稀有なサービス展開をしていると言えるでしょう。

3.市場の大きさ

株式会社矢野経済研究所が公表する「こども関連ビジネス市場に関する調査を実施(2024年)」によると、日本国内における2024年度の子ども関連ビジネスの市場規模は、前年度比0.9%増の10兆7,938億円と予測されています。

また、子ども一人当たりの年間教育費は増加傾向にあり、2017年には年間37.1万円に上っています。

同社の主力サービスである「ごっこランド」は、主に3歳から10歳の子供に多く利用されているサービスで、まさにこの子ども関連ビジネスのど真ん中で勝負しています。競合企業やサービスこそ多いものの、市場規模から考えるとキッズスターにとっては成長の余地しか残っていない状況となっているのです。

3. 複数事業による経営の多角化

キッズスターでは大きく分けて4つのサービスを展開しています。ごっこランドとジモトガイドの売上占有率は86%を超えているものの、他にも収益が立っているのは多少なりでも安心感を与えてくれます。

・社会体験アプリ「ごっこランド」
・地域体験ガイドブック「ジモトガイド」
・事業開発支援・受託開発「サービスデザイン」
・BtoCサービス(NTTドコモのdキッズ内)

また、今はまだ子ども向けの知育・社会体験サービスに限った事業展開を中心に行っておりますが、サービスの対象範囲を広げたり応用をかけていく余地も多分にあることでしょう。事業の領域や範囲の拡大に関して、期待を持てそうです。

4. アジアでの事業展開の足掛かりに成功

「ごっこランド」の海外版である「Gokko World」の展開を始めています。

2023年8月に、第1弾として、ベトナム版の配信を開始し、ベトナム版の配信開始以降、2024年6月末時点で78万の累計ダウンロード数を記録し、2024年内に120万を超える進捗で推移しています。

総務省統計局が公表する「世界の統計2024」によると、世界人口は2020年の78億人から2030年には85億人に達する見込みとなっています。しかも、その内の約23%が15歳未満の人口と予測されており、子育て世代をターゲットとする同社サービスの潜在的な市場規模は大きいと考えられています。

他方、日本の人口は、2008年にピークを迎え1億2,808万人、2023年時点で 2011年以降1億2,242万人(-4.4%)で2011年を境に11年連続で人口は減少しています。

人口減少の日本から、人口が増え続ける世界を見据え、世界にも打って出ようとしているわけです。

5. 5期連続増収増益

キッズスターは少なくとも直近5年は増収増益となっています。コロナの時期を挟んだ2019年から2024年の決算では黒字をずっと維持し、前年対比で売上も経常利益も伸び続けております。

上場のタイミングで売上や利益の天井を迎える企業も稀にありますが、その点、キッズスターはここまで自力で成長して来ており、事業の足腰がしっかりしていると言えるでしょう。IPOで資金を調達し、それを新たな投資に回すことでさらなる成長が期待できるのではないでしょうか。

6. 珍しい非ゲーム分野のアプリ開発企業

アプリの開発技術を持っているエンジニアやゲームやエンタメ以外のコンテンツ作りをしたいと思っている人にとって、キッズスターはとても魅力ある会社となっています。

アプリのセールスランキングを見ると、売上の上位はほとんどがゲームやエンターテインメントの会社のサービスで占められています。2024年9月時点の上位の顔ぶれは、LINEマンガ、ピッコマ、パズル&ドラゴンズ、ウマ娘といったアプリとなっています。

もちろん、エンタメやゲームが悪いというわけではありません。ただ、ゲームやエンタメ以外のアプリのサービスでそれなりに売上を上げているサービスはとても少ないのです。

下部の採用状況で触れますが、アプリ(Unity)のエンジニアやコンテンツのディレクターにとっては魅力的な選択肢の会社となることでしょう。

7. くふうカンパニーグループ

キッズスターは、2021年1月にくふうカンパニー(くふう住まい)の連結子会社となっています。

くふうカンパニーは、あの「穐田誉輝さん」が代表を務める会社です。穐田さんはぜひ知っておいてほしい方で、「食べログ」を作り「カカクコム」「クックパッド」を育てた名物経営者です。巨大なインターネットサービスを複数回育てた、信じられないくらい凄い方です。

そして、IPO段階では穐田さんはキッズスターの主要株主(36.11%)でもあります。

何を伝えたいかと言うと、何度も有名なサービスを創り上げてきた穐田さんの目利きに適った会社なので、今後が期待できそうということです。この先、食べログやクックパッドほどにキッズスターが成長する可能性もあるのかもしれません。

キッズスターの不安要素

魅力の多いキッズスターですが、あえて気になる点を挙げるとすれば月次のプレイ回数が伸びていないことです。

2022年頃に月次プレイ回数2,000万回を超えてから、直近はその水準を行ったり来たりしています。IPOで資金調達してから、ここの数値をどこまで伸ばせられるかは今後の業績を左右する大事なKPIとなってくることでしょう。

ごっごランドのプレイ回数の月次推移

採用状況

(2024年09月現在)キッズスターの採用状況を覗いてみましょう。Wantedlyに募集が出ているようです。募集職種を見る限り、Unityエンジニア、デザイナー、ディレクターなど、コンテンツ作りに関する職種の募集に目がいきます。

アプリの技術で、子ども向けに社会体験に繋がるコンテンツを作り、クライアントのプロモーションのお手伝いもするので、納得の募集ですね。ゲームやエンタメ以外でもコンテンツ作りに携わりたいと持っている人にとっては、キッズスターは本当に魅力ある会社なのではないかと思います。

なぜ、IPO(上場)企業を取り上げるの?

順番が前後しましたが、なぜIPO(上場)企業を取り上げているのか、少しだけ前提について触れておこうと思います。

安定と成長を追えるから

まず、IPO(上場)をすると投資家から多額の出資をしてもらうので、企業は財務面で安定性が出ます。そして、調達した資本を使って積極的に事業にお金をかけられるので成長が期待できます。

上場直後というのは、調達したお金が最も残っている状態でもありますし、知名度が一気に高まります。そして、企業の安定度は飛躍的にアップしつつも、これから更に調達をした資金を使って成長しようというタイミングでもあるのです。

社員として働く側からすれば、IPOをするタイミングで入社できれば、財務面的にも安定だし、成長性も追うことができるので、二兎追うことができるタイミングとなるのです。

決算や財務情報が公開され透明性が増すから

IPO(株式公開)をすると決算情報や財務情報の開示義務が生まれます

非上場時代は決算を公開していない企業も多く存在します。どれだけ優秀な企業であっても、決算や財務情報がない段階では、その会社の安全性をどこまで信じていいかわかりません。

チャレンジはしてみたいけど、ベンチャーやスタートアップほどにリスクは取りたくないなというタイプの人にとっては、IPOのタイミングは企業の情報がたくさん出てくるのでチャンスとなります。

先回り転職のチャンスがあるから

先回り転職とは、わかりやすく言うと「人気が出る前にその会社に入って、会社が大きくなるのと一緒に恩恵を受けてしまおう」という考えになります。

yahooや楽天、メルカリといったメガベンチャーはご存じですよね。これらメガベンチャーに転職しようとすると、その人気から高い競争率を勝ち抜かなければなりません。採用ハードルはとても高いです。

しかし、これらメガベンチャーにも規模が小さくそこまで有名ではない時代がありました。もしもタイムマシンがあって、上場前の有名になる前に選考を受ける機会があったらどうでしょうか。きっと、今ほどに採用倍率は高くないことでしょう。この考えを「先回り転職」と名付けています

とはいえ、未来のメガベンチャーや有名企業を探すのは簡単ではありません。その点、IPO(株式公開)をしてタイミングであれば、大多数の中から一歩抜きんでた状態となり、一方で、資金もあって成長性も残しているので、未来のメガベンチャー発掘の可能性は高まります。

これからIPOをして羽ばたこうとする会社を早い段階で知って、未来の金の卵に先回り転職できるチャンスを探していこうと思っています。


以上で、「【IPO企業×先回り転職情報】知育アプリ「ごっこランド」のキッズスター」の解説は終わりとなります。

同社の魅力で記載をしましたが、ごっこランドは大人から見てもとてもワクワクするアプリです。お子様がいる方はもとより、子どもがいない方でも一度ダウンロードしてみることをおすすめします。

その世界観とこだわりにきっと共感できることでしょう。

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