
事業会社か支援会社か――現役転職エージェントが解説
事業会社に転職すべきか、支援会社に転職すべきか…。
現役の転職エージェントとして日々多くの転職希望者と話していますが、この相談を受けない日はほとんどありません。
「自分に合った働き方がわからない」「どちらのキャリアが正解かわからない」と悩む方は、本当に多いのです。
特に支援会社で働く方の中には、30〜40代になって「そろそろ事業会社に移ったほうがいいのか」と考える人も少なくありません。
でも、安易に「事業会社のほうが安定している」「支援会社は忙しそう」というイメージだけで判断すると、入社後にミスマッチが起きることもあります。
事業会社と支援会社では、働き方のスタイルも、キャリアの伸び方も大きく違います。
だからこそ、自分の性格や将来のビジョンに合った選択が欠かせません。
本記事では、現役転職エージェントの視点から、事業会社と支援会社の違い・メリット・デメリット・向いている人を徹底比較します。
読み進めれば、あなたが「どちらで働くべきか」を判断するヒントがつかめるはずです。
特に、こんな疑問を持つ方におすすめです:
- 飽き性・刺激を求めるタイプは、支援会社のほうが向いている?
- 独立や副業に活かせるキャリアは、どちらで作るのが効率的?
- 将来の安定や成長スピードを重視するなら、事業会社?支援会社?
- 市場価値を短期間で伸ばすなら、どちらが有利?
この記事を読み終えれば、**あなた自身にぴったりな「働き方の方向性」**を見つけ、迷いを減らして次の一歩を踏み出すための具体的なヒントを得られるはずです。
1. まず押さえたい|事業会社と支援会社の違い
事業会社とは
まずは「事業会社」の働き方から見ていきましょう。
事業会社とは、自社のプロダクトやサービスを企画・開発し、提供している会社のことです。
メーカー、ITプロダクト企業、飲食チェーン、アパレル、教育、金融など、身の回りにあるさまざまなサービスを“自分たちで作っている”のが事業会社です。
事業会社の特徴
事業会社の仕事は、基本的に「自社の事業を成長させること」が中心です。
そのため、
- 自社サービスの改善にじっくり向き合える
- 長期的に成果を積み上げられる
- ユーザーの反応を身近に感じやすい
- 事業の大きな意思決定や方向性に関われることもある
といった“腰を据えて取り組む働き方”になりやすいのが特徴です。
こんな人に向いています
- 一つのサービスや事業を深く育てていきたい
- 長期的なキャリアの安定感を大事にしたい
- プロダクト愛が強い
- 地道に改善を続けることが苦じゃない
特に サービスの成長を自分の成長と重ねたいタイプ にとっては、事業会社は非常に相性がいい働き方です。
支援会社とは
次に「支援会社」について見ていきましょう。
支援会社とは、クライアント企業の課題解決をサポートする会社の総称です。
コンサル、広告代理店、制作会社、SES、マーケ支援、採用支援など、多くの会社がこの支援型に分類されます。
支援会社の特徴
支援会社は、プロジェクトやクライアントごとに課題が違うため、
- 多様な業界・事業に触れられる
- 新しい知識やノウハウを高速で吸収できる
- 行動量が多く、成長スピードが速い
- 問題解決力や提案力が自然と鍛えられる
といった “変化の多い働き方・スピード感のある働き方” になりやすいのが特徴です。
こんな人に向いています
- 飽き性で同じ仕事を繰り返すのが苦手
- いろんな業界を渡り歩きながら成長したい
- 若いうちにスキルを爆速でつけたい
- コミュニケーション力や提案力を伸ばしたい
特に、**「とにかく短期間で市場価値を上げたい!」**というタイプは支援会社で力を発揮しやすいです。
事業会社と支援会社の“ざっくり比較”
ここまでをまとめると、両者の違いは次のように整理できます。
| 項目 | 事業会社 | 支援会社 |
|---|---|---|
| 仕事の中心 | 自社事業の成長 | クライアント支援 |
| スタイル | 長期的・深く携わる | 多様・短期サイクル |
| 学べること | 事業運営、プロダクト改善 | 課題解決力、提案力、業界知識 |
| 向く人 | コツコツ型・安定志向 | 変化好き・成長欲が強い |
2. 事業会社のメリット・デメリット
事業会社のメリット
① 自社サービスを深く育てられる(腰を据えて成長に関わりたい人向け)
事業会社の大きな魅力は、ひとつのサービスを長期で育てられることです。
「企画 → 改善 → 成果確認 → さらに改善」というサイクルを数年かけて回すため、サービスの成長が “自分の成果”として実感しやすい のが特徴です。
- ユーザーの声を直接聞ける
- データを見ながら改善策を考えられる
- 小さな変更が大きな成果につながる楽しさがある
こうした積み重ねが“事業づくりの面白さ”につながり、長く働くほどサービスへの愛着が深まっていきます。
しかも、企業によっては新機能開発や新規事業に携われるチャンス もあり、プロダクト志向の人には最高の環境です。
② キャリアの安定性が高い(落ち着いて働きたい人に合う)
事業会社は基本的に「事業を継続させる」のが前提なので、業務内容やキャリアの流れが比較的安定しています。
- 採用→研修→配属→育成という流れが整っている
- ロール(役割)が明確で成果基準がわかりやすい
- 長期的な昇給・昇格制度がある
そのため、
「急激な環境変化でバタバタするのは苦手…」
「腰を据えてキャリアを作っていきたい」
というタイプにはぴったりです。
また、同じ職種を続けることで専門性が深まり評価されやすい というメリットもあります。
③ 事業運営スキルがしっかり身につく(ビジネスの基礎力が鍛えられる)
事業会社では、日々の業務を通じて「事業を回すための実務スキル」が自然と身についていきます。
例えば、
- 数値管理(KPI/売上/コスト)
- PDCAの回し方
- ユーザー理解・マーケティング基礎
- チーム運営・コミュニケーション
- プロセス改善・仕組みづくり
など、ビジネス全般に役立つ “普遍的なスキル” を鍛えることができます。これらは転職市場でも評価されやすく、事業会社で数年働くことで「地力がつく」と言われる理由でもあります。
事業会社のデメリット
① 変化が少なく飽きやすいことがある(刺激を求める人は物足りるかも)
ひとつのサービスを長く担当するため、良くも悪くも 「変化が少なめ」 です。
- 一度決まった仕組みは急に変わらない
- 同じ改善業務が続くこともある
- 扱う商材が固定されている
そのため、
「いろんな領域に関わりたい」
「次々と新しいことに挑戦したい」
というタイプには、ペースが遅く感じる場合があります。飽き性な人ほど支援会社の方を面白く感じやすいのも、この点が理由です。
② スキルの幅が広がりにくい場合がある(深さはあるが広さが足りない)
事業会社で身につくスキルは深まる一方で、携われる領域が限定されがち という側面もあります。
例えば…
- 携わるサービスが1つ
- 仕事内容も職種ごとに分業されている
- 他の領域は他部署が担当
こうなると、
「縦には深くなるけど、横には広がらない」 という状態になりやすいです。
転職時に「経験していない領域」を求められた場合、不利になってしまうケースもあります。
③ 市場価値の伸びは“会社の成長”に左右される(個人の努力だけでは伸びにくい)
事業会社の評価は、どうしても自社サービスの成長とセット で語られます。
- 会社が伸びていれば市場価値も伸びる
- 逆に、事業が伸びていないと経験が評価されづらい
- 担当サービスが縮小するとキャリアの停滞につながる
つまり、個人が頑張っていても「会社の成長スピード」がキャリアに影響する ということです。特にスタートアップでは、事業の浮き沈みが激しくリスクもあります。
3. 支援会社のメリット・デメリット
支援会社のメリット
① 多様な業界・課題に触れられる(経験値が一気に増える)
支援会社の最大の魅力は、扱う案件のバリエーションが圧倒的に多い ことです。
- IT、メーカー、広告、教育、小売など幅広い業界
- 企業ごとに違う課題や予算規模
- 目的も「集客」「改善」「採用」「組織改革」など多様
毎回違うテーマで仕事に向き合うため、自然と 「経験の厚み」 が増えていきます。
「1年で3〜5社の課題を解決した」
「半年ごとに新しい業界に挑戦している」
ということも珍しくなく、短期間で“幅の広いスキル”が身につく のは支援会社ならではです。
② 成長スピードがとにかく速い(特に若手)
支援会社は、クライアントの成果が最優先なので、若手でも早いうちから責任ある仕事を任されます。
そのため、
- 提案スキル
- ロジカルシンキング
- 課題発見力
- コミュニケーション力
- 進行管理・タスク管理
- 仮説検証スピード
こういった 「どの業界でも通用する実戦スキル」 が速い速度で鍛えられます。
特に20代で支援会社を経験すると、他社へ転職する際にも評価されやすく、市場価値の成長スピードが明らかに違います。
③ 独立しやすいスキルが身につく(フリーランス・起業の土台になる)
支援会社で学べるスキルは、そのまま独立やフリーランスに直結します。
なぜなら、
- 課題整理
- 改善提案
- 実行支援
- 数値分析
- クライアント折衝
これらは**どんなビジネスでも必要になる“コアスキル”**だからです。
実際、
支援会社→フリーランス(コンサル/マーケ/広告運用)というキャリアは非常に多く、独立したい人からすると支援会社は「最短ルート」といえます。
支援会社のデメリット
① 業務量やスピードがハードになりやすい(マルチタスクが苦手だとキツい)
支援会社は複数案件を同時並行することが多いため、どうしてもハードワークになりがちです。
- 月5〜10社を担当することもある
- クライアントの都合で予定が変わる
- スピード感が早く常に動き続ける必要がある
そのため、
「ひとつのことをじっくり進めたい」
というタイプにはストレスになりやすい傾向があります。
② 長期的な成果を実感しづらい(“育てる手触り”は薄め)
支援会社の仕事は基本的にプロジェクト単位なので、本質的には「伴走」ではなく「サポート役」です。
- 案件が数ヶ月で終了する
- 改善策を提案しても、最終決定はクライアント
- 「サービスを育てている感」が薄くなりがち
そのため、事業づくりの達成感を求める人は物足りなさを感じやすい です。
③ コントロールできない変数が多い(顧客次第で成果が左右される)
支援会社は“相手あっての仕事”なので、どうしても成果がクライアント側の状況に左右されます。
- 施策が通らない
- 反対される
- 予算が急に下りない
- 事業方針が変わる
- 社内の政治・社長の気分で変わることも…
こうした 「不確定要素の多さ」 に疲れる人もいます。
自分の思い通りに事業を動かしたい場合は、支援会社より事業会社の方が向いています。
4. 事業会社と支援会社:どんな人が向いている?
事業会社が向いている人の特徴
① 目標や意思決定が“自分ごと”のほうが頑張れる人
事業会社は、自分が携わった仕事の結果がそのまま業績に直結します。「会社を育てる感覚が好き」「成果が見えるほうがやる気が出る」というタイプには最高の環境です。
・一つのプロダクトをじっくり育てたい
・自社サービスへの愛着を持って働きたい
・意思決定に参加して、会社の未来をつくりたい
こんな価値観を持つ人は、事業会社で活躍しやすいです。
② 一つの分野を深く極めたい“専門志向”タイプ
事業会社は担当領域が比較的固定されることが多く、専門性を磨きやすい環境です。とくに、マーケ・営業・CS・企画・エンジニアなどは高い専門スキルが身につきます。
・スペシャリストとして強みを伸ばしたい
・腰を据えて専門性を高めたい
・異動はあっても同じ領域でキャリアを積みたい
こういう方は事業会社と相性がいいです。
③ 長期的なキャリアの安定を重視する人
事業会社は、プロジェクト単位ではなく“組織”で動くため、仕事の波が比較的読めます。福利厚生や制度も整っていることが多く、安定性という面では非常に強い選択肢です。
・ワークライフバランスを大事にしたい
・長期で腰を据えて働きたい
・安定した評価制度のもとで成長したい
こうした価値観を持つ方にはフィットしやすい環境です。
支援会社が向いている人の特徴
① 色々な業界・案件を経験したい“変化好き”タイプ
支援会社は、クライアントごとに業界も課題もやることも全部変わります。飽き性にはむしろ天国。「毎回違う景色を見たい」人に向いている働き方です。
・新しいことにチャレンジするのが好き
・変化が刺激になって成長できる
・多様な業界の知識を短期間で身につけたい
支援会社は、テンポよく経験を積みたい人にピッタリです。
② 本質課題の整理や“問題解決”が得意な人
クライアントの成果が仕事の成果なので、状況分析や課題抽出、改善提案などの“コンサル的”能力が必須です。
・物事を構造的に考えるのが得意
・課題解決のプロになりたい
・「何が正しいか」をロジカルに判断できる
そんなタイプは支援会社でバリバリ活躍できます。
③ 市場価値を短期間でグッと引き上げたい人
マルチタスク・高速PDCA・幅広い業務経験が求められるので、自然とスキルが積み上がります。いわゆる「鍛えられる環境」なので、市場価値は伸びやすいです。
・若いうちにスキルを一気に伸ばしたい
・将来は独立やフリーランスにも興味がある
・どこでも通用するビジネススキルを身につけたい
こういう人は支援会社のスピード感と相性抜群です。
5.迷ったときの判断軸/判断ステップ
迷ったらどう判断する?シンプルな考え方
価値観・優先したいことを軸にする
転職先として「事業会社」と「支援会社」のどちらを選ぶか迷ったとき、まずは 「自分が今何を重視しているか」 を見極めるのがいちばんです。以下のような軸です:
- 安定性を重視するか/変化・刺激を重視するか
- 深く専門性を磨きたいか/幅広く多様な経験を積みたいか
- 長期的に同じサービスに腰を据えたいか/多業界・多案件を経験したいか
- 将来的な独立も視野に入れたいか/会社の中でキャリアを積みたいか
この価値観が、 どの働き方が“自分らしい”かを決めるカギ になります。
“短期重視”か“長期重視”かで判断する
- 「とにかく今スピード感を持って成長したい/早くスキルを身につけたい」なら → 支援会社
- 「ゆっくり確実に、じっくりキャリアを築きたい/安定感を重視したい」なら → 事業会社
どちらが良い/悪いではなく、 あなたが「今、何を大事にしたいか」 で選ぶのが自然です。
迷わないための判断ステップ — 自分に合う会社を見つける
転職先として「事業会社」と「支援会社」のどちらを選ぶか迷ってしまうときは、まずシンプルなステップで自分に合う会社を見つけること が大切です。ここでは、誰でも実践できる3つのステップをご紹介します。
ステップ1|自分の価値観・優先したいことを整理する
まずは「自分が働くうえで何を大事にしたいか」を言葉にしてみましょう。
例:
- 安定した環境で腰を据えてキャリアを積みたい
- 多様な経験を積んでスキルを早く伸ばしたい
- 専門性を磨いて市場価値を高めたい
- 将来的に独立や副業も視野に入れたい
この段階で、自分の優先順位や働き方の方向性を明確にしておくと、判断の軸がぶれにくくなります。
ステップ2|それぞれの会社の特徴を自分に当てはめて考える
次に、事業会社と支援会社の特徴を、自分の価値観と照らし合わせてみましょう。
- 「安定感や専門性を重視」 → 事業会社の方が合いやすい
- 「幅広い経験や成長スピードを重視」 → 支援会社の方が合いやすい
ここで大切なのは、絶対的な正解を探すのではなく、自分の感覚で“しっくりくるか”を優先すること です。
ステップ3|仮の選択肢で未来をイメージする
最後に、「もし事業会社に入ったら」「もし支援会社に入ったら」と、それぞれの未来を具体的に想像してみます。
- 半年後・1年後の働き方や学びをイメージする
- 日常業務やチームでの立場、スキルの伸びを考える
- 感覚的に心地よい方が、あなたに合う会社の目安になります
この3ステップを踏むだけで、迷いや不安がぐっと減り、自分に合った会社を見つけやすくなります。
💡 ポイントまとめ
- 自分の価値観・優先順位を言語化する
- 会社の特徴を自分に当てはめて比較する
- 仮の選択肢で未来をイメージして“納得感”を確認する
6.まとめ/最終的な考え方 — “自分にとっての正解”の見つけ方
キャリア選択で大切なのは“納得できる自分の答え”を見つけること
転職やキャリア選択で悩むとき、よくあるのが「どちらが正解なのか」と迷ってしまうパターンです。でも、ここで大事なのは 誰かの正解を探すことではなく、自分が納得できる答えを見つけること です。
正解は人それぞれ
事業会社と支援会社にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
- 「安定感や専門性を重視したい」 → 事業会社が合う場合も
- 「多様な経験や成長スピードを重視したい」 → 支援会社が合う場合も
でも最終的には、あなた自身が「ここで働きたい」「この働き方で挑戦したい」と思えるかどうか が正解の基準になります。
他人の意見や世間一般の“正しいキャリア”に惑わされすぎないことが大切です。
納得感を持つと迷いが減る
自分の価値観や優先順位を整理し、事業会社・支援会社それぞれの特徴や働き方を照らし合わせることで、納得感のある選択ができます。
納得して決めた選択は、入社後の行動や学びに自然と前向きな影響 を与えます。結果的に、キャリアを自分の手で切り開く力が身につくのです。
行動を伴う選択こそキャリアをつくる
大切なのは選ぶだけで終わらせないこと。どんな会社に入るかよりも、入社後に自分が何を学び、どう成長するか がキャリアを大きく左右します。
納得して決めた選択は、迷いや不安を最小限にし、あなたが本当に伸びたい方向へ進むための大きな武器になります。
💡 まとめのポイント
- キャリア選択に“絶対の正解”はない
- 自分の価値観・優先順位を軸に納得できる選択をする
- 入社後の行動・学びを意識することで、選んだ会社で最大限の成長ができる