当記事では、Webマーケティング(広告)の職務経歴書の書き方を解説します。また、そのフォーマットも用意してあるのでぜひ活用してください。
広告運用経験者の中でも、やや事業会社のマーケティング職を受ける人向けとなっています。
Webマーケティングの職務経歴書のセオリー
マーケティングの基本は、一般的に下記セオリーが大事だと言われますよね。
「誰に(=セグメンテーション・ターゲティング)」
「何を(=ベネフィット・差別化)」
「どのように(=4P)届けるか」
実際、日々の業務もこちらのセオリーを基本に遂行しているかと思います。
マーケティングの職務経歴書の作成も同じです。職務経歴書上に、「誰に(=セグメンテーション・ターゲティング)」「何を(=ベネフィット・差別化)」「どのように(=4P)」届けてきたのかを表現できていれば問題ありません。
しかしながら、多くの職務経歴書からはそれが表現できていません。広告の運用額、媒体、実績などの羅列だけになっていることが多いのです。
それだと、何をやってきたことはわかりますが、その人のマーケティングの能力は見ることができません。Webマーケティングの職務経歴書は誰に、何を、どのように届けてきたかを丁寧に記載するのが、優れた職務経歴書の作成に繋がっていきます。
職務経歴書の参考例
職務経歴書の書き方のポイント5点
職務要約
職務要約はできるだけ簡潔に、かつ、自分の職務や経歴全体をうまく説明できるように書きましょう。
文字数の目安は「200~300文字」くらいに留めるのが良いでしょう。人が1分で話す文字は「300文字」と言われています。職務要約は長くなり過ぎると冗長なイメージを与えてしまいますので、書き過ぎに注意したいところです。
活かせるスキル・経験・知識
活かせるスキル・経験・知識は、自分を俯瞰して「箇条書き」にするのがおススメです。コツは、「自分の経験が最大公約数になるイメージ」になるように書き出すことです。下記のような順番で書き出してみるといいでしょう。
経験媒体や広告手法
↓
業界知識
↓
利用可能なツール
↓
ユーザー属性(BtoB,BtoC)
↓
マーケティングの経験範囲
広告運用以外にもCRMやSEOなどの業務経験がある場合は、マーケティングの経験範囲を記載をしましょう。その他、マネジメント経験やマーケティング以外の経験などもあれば、積極的に記載をしてもらえればと思います。
主な業務と業務詳細は分けて書く
職務内容に関しては、「主な職務内容」と「職務内容の詳細」と2つの粒度に分けて記載をしましょう。
なぜ、主な職務内容と職務内容の詳細で分けて書くのかというと、職務内容の詳細だけだと、スキルの羅列となってしまい、どのような役割を担ってきたのかが不鮮明となってしまうからです。その結果、作業者としての印象しか見て取れない職務経歴書になってしまうのです。
面接官の立場で考えると予想がつくのですが、広告運用の作業者であれば代理店に外注すれば良いという考えに行きついてしまいます。わざわざ広告運用を自社で内製化するメリットを訴求しなければなりません。
そうならないように、主な職務内容は、粒度を大きくして担当職務のミッションを分かりやすく書くのがいいでしょう。
業務内容は具体的に書く
職務経歴書を読んでくれる人事や面接官は、あなたが勤めている会社のことやサービスについて詳しくは知らないでしょう。そのため、人事や面接官があなたの会社やサービスを知らない前提で、職務経歴書を書くとよいでしょう。
そして、「誰に(=セグメンテーション・ターゲティング)」「何を(=ベネフィット・差別化)」「どのように(=4P)」届けてきたのかを表現していきましょう。
<具体的に書いてほしい内容例>
・勤めている会社はどのような業態なのか
・なんという名前のサービスなのか
・どのようなサービスなのか(EC / Saas / IT / 教育etc)
・新規サービス or 既存なのか、toC or toBなのか
・誰向けなのか(ユーザー属性)
・どのように(媒体や広告手法など)
・どのような役職 / 役割を担当しているのか
実績と工夫した点について
実績と紐づけて工夫したポイントを書くようにしてください。なぜなら、実績数値だけ見てもそれが本当に評価に値する数値なのか判断が付かないからです。
仮に、CVが前年比120%の成果を残せたとします。しかし、その成果は広告予算を増えたから出た成果かもしれませんし、外部環境がよくてたまたま出た成果かもしれません。数字だけではわからないのです。
人事や面接官は、どのような工夫をして広告効果を出してきたのかを見たがっています。
そのためには、マーケティング施策の課題や仮説、背景などもなるべく書きましょう。「誰に(=セグメンテーション・ターゲティング)」「何を(=ベネフィット・差別化)」「どのように(=4P)」工夫してきたのか、を少し意識して書くだけで魅力的な職務経歴書に変わっていくはずです。
自己PRの参考例(切り口)
自己PRは、職務内容や実績で書ききれなかったエピソードなどを積極的に記載していきましょう。マーケティング領域に関連したアピールをするのがおすすめです。
尚、何を書こうか迷っている人は下記を参考にしてもらえればと思います。自己PRを考える際の「切り口」を洗い出しています。
デジタルマーケティングスキル
- データ分析を活用した戦略立案
- CRMの導入と推進
- ユーザーコミュニケーションの設計
- クリエイティブ思考力
- プロジェクト管理能力
- SNSマーケティングの経験
- ストーリーテリング力
- ユーザー体験の設計
- 目標設定と結果モニタリング
- ブランドイメージ構築の経験
- バイラルマーケティングの導入
- マイクロターゲティング戦略の立案
- BtoBマーケティングの経験
マーケティング以外のビジネススキル
- 専門的な知識と経験
- AIとビッグデータの活用
- マーケティングや統計手法に関する知識
- プレゼンテーションスキル
- プロジェクト管理能力
- 資格等のアピール
コミュニケーションに関するスキル
- コミュニケーション力
- 成果志向
- 主体性
- 協調性、柔軟性
- 論理性、課題解決力
- リーダーシップ、チームビルディング
- ストレス耐性
- チャレンジ精神
広告用語
職務経歴書を作成する際に、言い回しや用語で困った場合は下記を参照ください。インスピレーションが湧くかもしれません。
広告の種類に関する用語
- リスティング広告
検索エンジンで一般ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面に表示する広告。
- ディスプレイ広告
ウェブサイトやアプリに表示されるバナー形式の広告。視覚的なアプローチで訴求力が高い。
- アドネットワーク広告
複数の広告媒体(Webサイトやソーシャルメディア、ブログ等)を集めて広告配信ネットワークを作り、それらの媒体に広告をまとめて配信する仕組みのこと。
- リターゲティング広告
リタゲ。一度Webサイトに来訪したユーザーへ広告を表示させることができるWeb広告のこと。
- 純広告
広告主がWebなど媒体の広告枠を買い取って掲載する広告のこと。
- SNS広告–Meta
Meta社が提供する、SNSのFacebookやInstagramに広告を掲載できる広告サービス。
- SNS広告–X(旧Twitter)
コアユーザーは10代や20代の若年層ユーザーが多い。若年層と親和性の高い商材やサービスには打ってつけのプラットフォーム。
マーケティング指標に関する用語
- KGI(Key Goal Indicator)
経営目標達成指標、あるいは、追いかけている成果点。
- KPI(Key Performance Indicator)
重要業績評価指標。KGIが最終目標(ゴール)の指標であるのに対して、KPIはそのゴールまでのプロセスの達成状況を定点観測するための定量的な指標。
- Impression(インプレッション)
Webのコンテンツ、広告、SNSの投稿などが表示された回数のこと。
- CTR(Click Through Rate)
ユーザーに広告が表示された回数(impression数)のうち、広告がクリックされた回数の割合のこと。
- CPC(Cost Per Click)
広告を見たユーザーが1クリックするたびに何円かかったのかの費用指標。
- CVR(Conversion Rate)
Web広告を介してサイトに集客したユーザーのうち、どのくらいの割合がコンバージョンに到達したかを表す指標。
- CPM(Cost Per Mille)
広告が1000回表示されるごとに発生する費用。
- CPA(Cost Per Action)
1件のコンバージョンを獲得するためにかかった費用「顧客獲得単価」を算出した指標。広告費用÷コンバージョン数で計算する。
- CPV(Cost Per View)
広告視聴1回あたりのコスト”のこと。動画広告で主に使われる。
- CPI(Cost Per Install)
スマートフォン広告においてのアプリのインストール単価指標。
- CPF(Cost Per Fan)
FacebookやXなどのSNS広告を利用してファン及びフォロワーを獲得する際の費用指標。
- エンゲージメント
SNSなどで「ファンと運営者の繋がりを測る指標」。いいねやコメントなどで構成。
- ROI(Return On Investment)
投資額(広告費)に対してどれだけの利益を得ることができたのかを測る指標。ROI=利益額÷広告費×100(%)で計算する。
- ROAS(Return On Advertising Spend)
広告費に対して、どれだけ売上として貢献できているのかを表す指標。売上÷広告費×100(%)で計算する。
アドテクノロジーに関する用語
- アドネットワーク
複数の広告スペースを集約するプラットフォーム。広告枠の買い付けや配信、クリエイティブ分析までを自動で行い、最適化を行ってくれる。
- DSP(Demand-Side Platform)
広告主が複数の広告枠を一元的に管理し、入札するためのプラットフォーム。SSPの反対側。
- SSP(Supply-Side Platform)
広告枠を持つメディアが利用する広告枠管理ツール。DSPツールと連携して動き、一番高い入札価格を提示したDSPを選んで広告の掲載を行う。DSPの反対側。
- RTB(Real Time Bidding)
即時入札のことで、ネット上の広告枠を売買する方法のひとつ。今では当たり前となっている。
- DMP(Data Management Platform)
広告主を中心とした事業会社が、自社と外部の様々なデータを一元管理・分析する基盤のこと。DMPを活用することで、自社で取得したお問い合わせのデータや、外部ツールで取得したWebサイト内での行動履歴などのさまざまな情報をセグメントすることができる。
- アトリビューション
ユーザーが最終的にコンバージョンに至るまでに、間接的に影響を広告やコンテンツを貢献度に応じて評価すること。
アクセス解析に関する用語
- PV(Page View)
ウェブページが表示された回数。サイトの人気やトラフィックの指標となる。
- 検索クエリ
ユーザーが検索エンジンで入力した語句や文章のこと。【Knowクエリ】知りたい、【Goクエリ】行きたい、【Doクエリ】やってみたい、【Buyクエリ】買いたいの4つに分類される。
- セッション
ユーザーがサイトを訪れた一連の活動。訪問回数を計測し、サイト利用状況を把握する。
- UU(Unique User)
一定期間内にサイトを訪れたユニークのユーザー数。重複を排除してカウントされる。
- 直帰率
訪問者が最初のページだけ見て離脱する割合。サイトのエンゲージメントを測る指標。
- 離脱率
ページごとの訪問者がそのページでサイトを離れる割合。サイト改善のヒントとなる。
- リファラー
訪問者がサイトに来る前にいたウェブページの情報。トラフィック元を特定できる。
以上で、「Webマーケティング(広告)|職務経歴書の作り方とフォーマット。用語集、自己PRの切り口付き。」の内容は終わりとなります。
ぜひ、読み手(人事や面接官)を意識して、「誰に(=セグメンテーション・ターゲティング)」「何を(=ベネフィット・差別化)」「どのように(=4P)」届けてきたのかを表現していきましょう。
それができれば、評価はがらりと変わってくるはずです。