人生で一番高価な買い物は不動産と言われる。高価な買い物をして貰うということは、それだけ不動産の営業職には高いスキルが求められる。
一方で、ハウスメーカーや不動産の流通業者は多数存在し、競合ひしめく業界でもある。営業の裏には競合との激しい競争も起こっているだろう。不動産営業の経験者は職務経歴書でアピールできるポイントが多数ある。
当ページでは、そんな不動産営業職(個人)の方向けの職務経歴書の作り方を解説する。
職務経歴書の参考例
※PDF中の「👉Point」は、下部の職務経歴書の書き方のポイント5点を参照ください。
職務経歴書作成時の全体的なアドバイス
職務経歴書を作成する時は、販売件数や売上の実績や訪問件数の数だけの羅列にならないように注意してほしい。というのも、数値を並べただけの職務経歴書だとその人の本当の実力が読み取れないからだ。
不動産は高級商材だ。高価な商材は簡単には売れない。相当な工夫があるはずだ。人事や面接官はその工夫してきた姿が見たい。
もしも、その工夫をしっかりアピールできた場合、他の営業職の求職者とは一線を画す魅力的な職務経歴書が作れるはずだ。それだけ不動産は売るのが難しい。自信を持って書いてほしい。
職務経歴書の書き方のポイント5点
※PDF中の「☞Point」を参照しながら確認ください。
ポイント1.職務要約
職務要約とは分かりやすく言うと、自己紹介。できるだけ簡潔に、かつ、自分の職務や経歴全体をうまく説明できるように書くといい。
文字数の目安は「200~300文字」くらいに留めるのが良い。人が1分で話す文字は「300文字」と言われているからだ。1分間人が一方的に話すのを聞くのは結構大変だ。職務要約は長くなり過ぎると冗長なイメージを与えてしまうので、書き過ぎないように注意しよう。
ポイント2.活かせるスキル・経験・知識
ここの項目は、自分を俯瞰して「箇条書き」にする。コツは、「自分の経験が最大公約数になるイメージ」になるように書き出すことだ。
不動産販売のどのうような工程に携わったのか、どういう販売の手法をとってきたのか、営業以外に行ってきたこと(例:SNS運用)もあれば記載しよう。また、マネジメントや育成などの経験があればぜひ記載しよう。
ポイント3.担当製品
不動産営業の経験なので不動産以外に何を売るつもりなのか?と突っ込まれそうだが、必ず書こう。
ただし、値段や機能、特徴などを盛り込んで「どのような不動産」を売ってきたのかを記載しよう。同じ不動産業界の営業で転職する場合ならいざ知らず、他業種の営業を受ける場合は不動産に精通していない人事や面接官も多い。
どういった層に、どれくらいの単価でどのような特徴がある不動産を売ってきたのか、自分の売ってきた状況を不動産の素人にもわかる粒度で記載をしよう。そうすると、面接官もあなたの理解度があがるため、面接の会話もうまく進むことだろう。
ポイント4.実績に関連するポイント
不動産営業に従事した人と面接をする場合、面接官は何を聞きたいだろうか。
おそらく、不動産という高額商品をどのように売ってきたのか聞きたいはずだ。競合多数ひしめく中で、売るためにどのような工夫をしてきたのかを聞きたいはずだ。
そのため、日々の営業活の中で不動産を販売するために工夫をしてきたポイントをしっかりと書いてほしい。ヒアリングで気を付けた点、競合調査を頑張った点、見込み客をどのように見極めてきたか、自社不動産をどのように差別化し価値化したか、などだ。真のあなたの実力をアピールする機会となるだろう。
ポイント5.自己PR
自己PRはあなたというキャラクターを表現する最適な場になる。ワクワクするようなあなたの自己PRを記載していこう。
これまでの販売で印象的だったエピソードを記載し、そこから得たエピソードなどを書いても良い。不動産営業という仕事はライフスタイルの提案を行う仕事なので、仕事から得た体験や学びは多数あるはずだ。
下記に参考例を用意してみた。少しでも着想を得てくれれば幸いだ。
自己PRの参考例|17選
参考例はこちら
- 販売時のエピソード
不動産の販売を通じて感謝されたエピソードでもよし、顧客の叶えた希望でもよし、暮らしの提案をして得られたエピソードを書いてみよう。職務経歴書にあなたらしさがにじみ出てくるだろう。
- 販売時の失敗談
不動産という高額商品の販売においては、ミスはなかなか許されない。しかし、ミスのない仕事もないだろう。どようなミスをして、どのようにリカバリーをしてきたか苦労話があればそれを書いても良いだろう。
- どのような提案をしてきたのか
できる営業マンは、単なる製品やサービスではなく、顧客が得られる体験や価値を売っている。職務経歴書でも、売上に繋がった具体的な成果とともに、どのようにして顧客に価値を提供したかを記載することが求められる。例えば、「顧客の課題解決にフォーカスし、提案内容をカスタマイズした」といったエピソードを盛り込むと良い。
- 受注率について
不動産は高額商品ゆえに年間10件も販売できれば上位プレイヤーになるだろう。そのため、件数のアピールよりも受注率のアピールの方が効果的かもしれない。社内や社外に目を向けてみて、契約受注率をアピールできそうな場合は記載していこう。
- 目標志向 / 目標から行動量が逆算ができる
目標に向かって逆算して行動する能力は、営業マンにとって必須である。職務経歴書では、どのようにして目標やKPIを設定し、それを達成するためにどのようなアプローチを取ったかを具体的に記載しよう。例えば、「年間目標を四半期ごとに分解し、達成率を常にモニタリングして調整を行った」といった方法を説明すると良い。
- 打たれ強さについて
営業は失敗や拒絶に直面することが多いため、打たれ強さが求められる。職務経歴書には、困難な状況をどのように乗り越えたか、そしてそれが成果にどう結びついたかを記載することが有効である。例えば、「厳しい営業環境での継続的なアプローチにより、最終的に大型契約を獲得した」といったエピソードを盛り込むと良い。
- 責任感がある
責任感のある営業マンは、自分の仕事に対して強い責任感を持っている。職務経歴書には、どのようにして責任感を発揮し、組織やチームに貢献したかを記載しよう。例えば、「チームの目標達成に向けてリーダーシップを発揮し、メンバーをサポートした」といった具体的な行動を示すことが効果的である。
- 好奇心旺盛である
営業マンには、常に新しい知識や情報を求める好奇心が必要である。職務経歴書には、どのようにして自分の知識を深め、それを営業活動に活かしてきたかを記載しよう。例えば、「新製品の知識を積極的に学び、それを活用してクロージング率を向上させた」といった事例を挙げると良い。
- アフターフォローができる
顧客へのアフターサービスができる場合、顧客との関係構築において大きなアドバンテージとなる。アフターフォローは大事とわかっていても、どうしても新規営業の方に時間が割かれてしまうためだ。顧客との定期的なフォローアップにより、リピーターを増やせた事例などがあれば、積極的に記載すると良いだろう。
- 競争心がある
競争心のある営業マンは、自らの成長に対して意欲的である。職務経歴書には、競争心を発揮して成果を上げたエピソードを記載しよう。例えば、「社内営業コンテストで上位に入賞した」といった実績を示すことで、競争心と成果をリンクさせることができる。
- 事前に仮説を立てている
優れた営業マンは、商談の前に必ず仮説を立て、それに基づいて行動する。職務経歴書では、どのようにして仮説を立て、それを実行に移したかを具体的に記載しよう。例えば、「顧客のニーズを事前にリサーチし、それに基づいた提案を行った結果、契約に結びつけた」といった内容を盛り込むと良い。
- 顧客のベネフィットを伝えられる
顧客に対して製品やサービスのベネフィットを明確に伝えることは、営業の基本である。職務経歴書には、どのようにして顧客のベネフィットを伝え、それがどのように成果に繋がったかを記載しよう。例えば、「製品のコストパフォーマンスを強調し、価格以上の価値を提案した」といった具体的な事例を示すと効果的である。
- デメリットの話ができる
デメリットについても正直に話せる営業マンは、顧客から信頼される。職務経歴書には、デメリットを伝えた上で、それをどのように克服したかを記載すると良い。例えば、「製品の欠点を正直に説明し、それを補うためのサポート体制を提案した」といった具体例を盛り込むと良い。
- 費用の話を厭わない
費用に関する話題は、営業マンにとって避けて通れないものである。職務経歴書には、費用に関する交渉をどのように行い、それをどのように成功に導いたかを記載しよう。例えば、「価格交渉において顧客の予算内で最大限の価値を提供した」といったエピソードを盛り込むと良い。
- マーケティングに理解がある
営業マンであっても、マーケティングの知識があることは大きな武器になる。職務経歴書には、マーケティングの知識や経験をどのように活かしたかを記載しよう。例えば、「マーケティングデータを活用して顧客ターゲティングを行い、効果的な営業活動を展開した」といった具体的な事例を示すと良い。
- PDCAを回したことがある
PDCAサイクルを回して業務を改善する能力は、営業マンにとって重要である。職務経歴書には、どのようにPDCAを実行し、それによってどのような成果を上げたかを記載しよう。例えば、「営業プロセスをPDCAで改善し、クロージング率を向上させた」といった具体例を挙げると良い。
- リストアップに関する話
営業活動において、ターゲットリストの作成は基本中の基本である。職務経歴書には、リストアップをどのように行い、それをどのように活用したかを具体的に記載することが求められる。例えば、「新規開拓のためのリストを作成し、アプローチの優先順位をつけて成果を上げた」といった内容を盛り込むと効果的である。リストアップはマーケティングの素養も求められるからだ。
以上で、「不動産営業職(個人)|職務経歴書の作り方とフォーマット。自分のキャリアの設計も忘れずに。」の内容は終わりとなる。
ぜひ、不動産という高額商品をどのように売ってきたのか、そこから得た経験や苦しみなどを盛り込んで書いてほしい。多くの求職者は数字の羅列ばかり書いた職務経歴書になっているので、しっかりと中身まで書ければ、人事や面接官の目を引く職務経歴書ができあがることだろう。